HYPER BURN──IRONSTONE/愛染 eyezen、インタビュー – Qetic

POP

Interviewed by JAZZCUZZ
Photo by OSK

先鋭的なビートを量産し、耳の早いリスナーの間で話題沸騰中のIRONSTONEが、世界を席巻するドリル・ミュージックを落とし込んで作り上げたソロデビュー作『LET THE DOG IN THE HOUSE, LET THE HUMAN DIE OUTSIDE』。「魔ミュージック」と提唱された本作は、2022年3月、高田馬場にあるクリエイティブレストラン「九州珠-KUSUDAMA-」が2021年末に始動させた新鋭レーベル〈Hoodish Recordings〉からリリースされた。
収録曲の“HYPER BURN”は2022年を怪しく彩るクラブバンガーとして、各地のフロアを毎晩のように揺らしている。ダンスホール定番のスレンテン・リディムを踏襲した本楽曲で、お構いなしにスピットするのはラッパー・愛染 eyezen。7月末には<FUJI ROCK FESTIVAL’22>のDAY DREAMINGステージに出演を果たし、自らDJとして音を操りながら、MOMO(LafLife)、Lil Cotetsuらとともに1時間の高純度のダンスミュージックを届けた。
【MV】IRONSTONE – HYPER BURN feat. 愛染 eyezen
先日公開された“HYPER BURN”のMVは、渋谷 Contactで行われ大盛況に終わったパーティ<OUT OF THE KITCHEN -三巴- >や同日clubasiaで開催されたLafLife主催<JUNXION>で撮影が行われた。脈打つ音に渦巻く熱狂……いま求められるパーティのエッセンスが濃縮された一夜を収めた映像の撮影、編集はOshirasamaが担当した。
夜な夜な東京のフロアで鳴り響くアンセムを作り上げた2人は、これまで数多の現場に出没し、感性を研ぎ澄ませてきた。そしてこれからも、そのアンテナで受信してきた最先端のダンスミュージックを、ユーモラスに昇華してくれるはずだ。
レーベルのショーケースを<りんご音楽祭>で行うことが発表された〈Hoodish Recordings〉。レーベル主宰の1人で、中野heavysickZEROでは低音が炸裂しまくる<ON FIRE>を主催するDJ・JAZZCUZZがMV公開に際して、2人それぞれにインタビューを決行。その記録を公開する。
──コロナ禍で楽曲制作を始めたと聞いてますが、ドリルを制作し始めた経緯について教えてください。
POP SMOKEの“WELCOME TO THE PARTY”のビートを聴いて衝撃を受けてからです。プロデュースは808 Melo。「何この緊張感!?」」みたいな。
そのときはトラップ的なビートを作ってたからドリルも「イケるっしょ!」って思って作ろうと思ったら全然思うように出来なくて。ムカついて狂った様にドリル研究を始めて気付いた頃には完全に憑かれてる状態でした。
そこから気が狂った様に毎日作り続けて、聴き過ぎて作り過ぎてもう一ミリも聴きたくない!って何度も大嫌いになってるんですけど気付いたら「やっぱ最高だ!」ってなるのを繰り返して魔す。この感じは魔というか恋、同棲中の恋人のようです。2021年は完全にDRILL YEARです。
WESTOKYO DRILL since 2021
──“HYPER BURN”の元ネタ、スレンテン・リディムについての思い、印象などあれば教えてください。
ドラえもん。コロコロしたキュートな感じとか一発で耳にこびり付く絶対にメロディーとか色々と奇跡的なキラーリディムだと思い魔す。
結構前から現場でよく聴くしめっちゃ好きなフレーズだったんですが詳しくは何も知らなくて、なんかこのフレーズの曲めっちゃ色んな種類あるな〜ってくらいで。そしたらスレンテンっていう名前とかその発祥とかをいまやってるバンドのメンバーに教えて貰って感銘を受け、翌日に即ドリル化し魔した。2021年末くらい?
そこからリディム文化ってものも調べ出したらめっちゃ面白くて、ブロンクス・ドリルのシーンとかめっちゃリディム文化と共鳴してる感じがする。スレンテンも808も日本生まれなんだな〜って思うとかなりの嵐です。
Hail Hiroko Okuda
Thank you Yuri Zuizenji
──ドリルは一部から暴力的な音楽という印象もありますが、どう思いますか?
魔違いなくそうだと思い魔すが、ドリルという音楽そのものは音楽でしかないと思い魔す。
自分はVICEの特集で初めてドリルってものを知り魔した。当時のDRILLはいまみたいな音楽スタイルではないけどCHIRAQなんて背景もあるから実際の暴力や犯罪とも密接。いまでも政府から規制入るくらい危ないシーンだし。
けど、そんな緊張感と同時にめちゃくちゃ愛のある音楽だと感じて魔す。そもそも愛がなければこんな凄い音楽生み出せる訳がないと思うんですよね。ハードコア・パンクと近しい匂いを感じたり感じなかったり、やっぱ凶暴な音楽が好きなんだと思い魔す。
世界各地でいまも色んな方向に進化しててめちゃくちゃ面白くて、次々と新しいスタイルのドリルが誕生して魔す。トラップと同じくらい吸収力も自由度も高いしこれからも魔だ魔だ凄いの出てくると思うんでワクワクです。
そこらへんめっちゃパワーバイオレンスを感じて魔す。個人的にこんなむちゃくちゃ没頭してディグが続いてるのもパワーバイオレンスに出会ったとき以来です。
だから単にドリルをトレンドとして直輸入&模倣するのは失礼だしただの消費、普通に音楽としても寒いと思います。なので自分はバッチリ影響受けて噛み砕いて、しっかり消化して自分の血と骨として、ドリルの恩はドリルで返したいなと思って魔す。
noisey CHIRAQ シカゴの闇から生まれたドリル・ミュージック
──UKドリルとUSドリルの違いを教えて下さい。
俺はほぼビートで聴いてるのでそっちの話ばっかになっちゃうんですけど、UKプロデューサー陣の方が圧倒的に緻密でビート構築が繊細。めっちゃ細かく部分的にメインのハットとは違う音色のハットを入れてたり気付かないくらいのパーカッション入れてたり。絶妙に808の動きを変えたり上ネタにメロディーを重ねて展開させたりとか芸が細かいっす。職人って感じ。
POP SMOKEとか22gz、FIVIO FOREIGNあたりの最初期ブルックリン・ドリルのプロデューサーはほぼみんなUKだからそんなに違いはないんだけど、SHEFF GとかSLEEPY HALLOWが初期の頃からメインで一緒にやってるGREAT JOHNってプロデューサーだけはニュージャージーの人で、この人のビートがむちゃくちゃ面白いっす。UKドリルの影響とかほとんどない感じだし、完全に新しいドリルやってるな〜っていうか、これドリルなのかな? っていうか、未だにこんな感じのビート作る人は居ない印象です。
Sleepy Hallow ft. Fousheé – Deep End Freestyle(Official Video Release)
ブロンクスとかクイーンズのドリルが盛り上がってきたあたりから、USプロデューサー陣も頭角表してきた印象なんですけど、ここが俺はめっちゃ好きっす。所謂サンプル・ドリルって言われる大胆なネタ使いのビートが多くて、タイプビートカルチャーともリンクして2021年は凄い盛り上がってた気がする。超流行ったビートだとめっちゃ使い回されてて色んなラッパーが違う曲として使ってて全部で5〜6バージョンくらいあったりとか、そこら辺がどことなくリディム文化を感じ魔したね。
現行UKドリルのビートは未だに厳格に基本BPM140あたりをキープしてる印象ですけど、最近のUSドリルは150〜160くらいが基本で、めっちゃ速いのだと180くらいあったり。なんていうか、そこら辺の大味なやっちゃえ! みたいな勢いがアメリカっぽくて好きです。あとジャージークラブと合体したドリルも超面白いっす。最近出たゆるふわギャングのアルバムにも2曲そのノリのヤツ入ってて「うお!」っとなり魔した。
ゆるふわギャング – E-CAN-Z
ラップのフロウ面だとUKは安定した流れる様なリズムと堅い韻でめちゃくちゃ音楽的、USはあえて崩した様なリズムっていうかノリ重視で前のめりな勢いのラッパーが多い印象。ここはドリルどうこうより、普通にイギリス英語とアメリカ英語の違いが大きいのかなっていう。
リリック面で言うとやっぱ鬼の様に恐いんすけど、USはやっぱり銃で、UKはナイフとかマチェーテ(山刀)って印象です。M1LLIONZの“LAGGA”って曲のMV冒頭は完全にマチェーテ祭りっす。銃もめっちゃ持ってるけど。
“ドリルニュース”的な感じでリリックと実際に起こった事件を照らし合わせてるYouTube動画とかあるんですけど、震え魔す。ちなみにいま一番ハマってるのはグリース・ドリルです。
M1LLIONZ – LAGGA(OFFICIAL VIDEO)
──提唱してる“魔MUSIC”について教えてください。
世間的にも浸透している最も霊が出やすいとされるのは午前2時の丑三つ時。皆様もご存知かと思い魔す。
では、魔物に遭遇すると言われている時間をご存知でしょうか。それは逢魔時(オウマガトキ)。
光と闇が交差する、昼から夜へと移り変わるその瞬間、多くの魔物がその姿を現すと言われているのです。英語で言うと、DUSK。DUSKというウィスコンシンのDOOM DEATH METALバンドめちゃくちゃカッコいいのでオススメです。
──DJもされてますが、どのようなことを意識してプレーしていますか?
とある尊敬するDJの人に選曲とか当日のプレイっていつもどう考えてるんですか?って聞いたとき「イベントに呼んでくれた人との関係性とか、その人の顔を思い浮かべて選んでる。あとは直感的にプレイしてる」って言われて胸を打たれて以来、モロにそうして魔す。
DJのときはあんまり自分の曲はかけないんですけど、ホントはどんな場面でも自分の曲だけでDJ出来る様になりたいのでやっぱ毎日ビートメイクですね。日々反省、日々成長して前に進む事。
【MV】IRONSTONE – WTT feat. BDR
──今年後半のIRONSTONEの動きを教えてください。
既に始めてるんですけど〈Hoodish〉からの2作品目の仕込み。アイワくん(AIWABEATZ)と一緒に作り魔くってるビート作品のリリースをはじめ、色んな人とのビート共作も進行中。
夏に向けた自分のビート集もそろそろ出そうかと思ってて、それ以外にもリリースはたくさんあり魔す。直近だとLafLifeのMOMOくんと作ったシングルがリリース予定です。
有難い事にライブオファーも増えてきてるんですが、いまは魔だラッパー呼ばないと出来ない状況なので、年内に1人でもライブ出来る様にしたいな〜とも考えて魔す。
あと映画をたくさん観ようと思い魔す。Jordan Peele監督の『NOPE』が超楽しみですね!
──楽曲制作にあたって、影響受けたアーティストはいますか?
あ魔りにも多いですが、1人挙げるなら岡本太郎氏。
──音楽以外最近やってることはありますか?
料理、勉強、農業、犬の写真や動画のスクショ、オシャレな老人の撮影。
──質問以外にも何かあればお願いします。
ビート欲しい方・一緒にビート共作したいって方がもしおり魔したら是非ともご連絡下さい。私はとてもキャッチーな人間です。
──最後に、愛染 eyezenのことを教えてください。
超ファンタジスタ、地獄の皇太子。
KUSUDAMAでライブ観てかなり喰らって、ライブ終わった後にビート聴いて下さい! って焼いてきたCD-R渡し魔した。その後もインスタのストーリーで「ビート募集!」って投稿してたの見てそこで魔た新しいビートも何曲か送ったり。
自分のビートに対して愛染ならではの視点から的確に意見してくれてむちゃくちゃ刺激的。ビートの抜き差しだったりとか上ネタの感じだったりとか音楽的な観点から細かい部分で意見してくれて、それがいつも面白いし発見あるしでワクワクする。そのときにハマってる音楽とか教えてくれるんだけどそれもいつも新感覚なのばっかでこれもめっちゃ刺激的。制作面からもディグ面からもこの人は完全に新しくてオリジナルな自分流の音楽を生み出そうとしてるなっていうのを感じて魔す。
自分が信じる音楽やカルチャーを純粋に深掘って追求して体感して体現しようとする姿も最高に挑戦的だしめちゃくちゃバイブス高い、リアルGINGIRAGIN。会う度に進化してる感じあるし、なんか一緒に居るだけで自然とこっちのバイブスも高めてくれる魔力があると思う。こないだ会ったときも逆にパワー貰った感覚すらあったし。
音楽に対してだけじゃなくて生活レベルで自分自身にも周りにもガッツリ向き合ってる感じ、めっちゃ呼吸してるな〜みたいな。そんなヤツのステージがカッコ悪い訳が無いし、そういう気持ちの入った音楽も呼吸すると思う。
友達として尊敬できるし、1人のアーティストとしてファンです。絶対にみんな生で愛染のステージ観た方がいい。ちなみに好きなパンチラインは「お前は足りない涙の数」です。
愛染 eyezen – 246
──IRONSTONEとの出会いは?
IRONSTONEとは2年ほど前に高田馬場にあるスーパーキッチンパワースポット・KUSUDAMAのパーティーで、自分がライブしているときに出会いましたね。ライブが終わった後「ライブ良かったですよ! 良かったら自分ドリルのビート作ってるんで、これ聴いてみて下さい」。そんな感じで10曲入りくらいのCD-Rをくれました。
自分もCD持ち歩いてるタイプなんで絶対家帰って聴こうと思いました。帰って聴いたら好みのやつが何個かあったんですよ。ガッツリ話した訳ではないですけどそれがファーストコンタクトです。
──”HYPER BURN”について教えてください。
この曲はとにかく踊り壊れる気持ちでアプローチしょうって決めてました。ここ最近の自分の曲はかなりダンスミュージックを意識してたんですよね。というか自分がいた場所がまさにそうだったんで。レイヴからクラブから。その中でもこの時期はアホになれる曲を作りたくて、とにかく発声とか、力んでるんだけどしっかりアホに抜けていく声とか、声を弾くっていうか、ビートに一列、新たに上ネタ乗せる感覚ですかね。
普段は曲の構成とかフック、バースとか色々考えるんですけど、この曲のリリックに関してはフリースタイルのように30分で書き上げてそのまま録りました。最初にフロウを決めて、そっから出てくる歌詞を連続で止めずにつなげただけですね。
トラップとか“フリースタイルな”歌詞はとにかく浮かんできたものを止めずに書くって事を意識しています。俺の中のフリースタイルはとにかく書いたものを書き直さない事を指していて。「ボールペンでいく」って感じで、この曲はシャーペンじゃないです。まぁ書くのは携帯なんですけどね(笑)。IRONSTONEもレコーディングの早さに驚いてました。
実際流れで作ってこのクオリティに仕上げられたのは自分でもできたときにビックリしました。フリースタイルで書くリリック(書き直さない15〜20分)にはそういった良さがあるっすね。それを踏まえ楽しんで欲しいです。
──数あるIRONSTONEのトラックから何故このトラックを使うことになったんですか?
元々IRONSTONEとは曲を作る約束をしていて、ストックを8個くらい送ってもらいました。それがCD-Rをもらったときからだいぶテイストが変わってて、もちろんドリルなんですけどよりレゲエっぽさが足されていたり、ハウスっぽいトラックが増えてて。自分はその時期、ベースミュージックとかアマピアノとか、レゲエっぽいサウンドを聴いていたので。俺の中では、ガッツリそのジャンルというより、何か混ざっているものからテイスト(ジャンル)を探すのが好きで、“HYPER BURN”を選びました。
このビートはBPM160なんですけど、俺全然早く感じなかったんですよ。それに南米とかアフリカっぽい雰囲気を出せるかなこれならって思って、とにかくバカになりたくてそんでこれ選びました。それが決め手です。ファベりたかったんですよ(ファベーラ感)。声を入れたときにIRONSTONEに言って、抜き差しもしようってことで、ビートを少しエディットしてます。
──IRONSTONEが提唱する”魔MUSIC”についてどう思いますか?
俺はIRONSTONEが作るトラックについて、あんまり悪魔だとか黒いとかそういった印象は全体の50%くらいのイメージな気がします。いつも俺が選ぶトラックは他の50%の方ですごい綺麗な上ネタだったり、ちょっとウルっとくる様なトラックで、そういうとこが好きです。ハードとソフトの行き来、それこそが“魔MUSIC”なのかなと思う。
とにかく新しい挑戦を一緒にしてくれる人で俺が好きなトラックにすぐに反応してくれて、短時間で声が乗せれる状態まで持っていってくれるんですよ。いま一番自分が作りたい新しい音楽に必要なのは魔違いなくIRONSTONEだと思います。新しく2人で作っている曲、既にビデオを撮った曲もあるんで楽しみにしてて欲しいです。
──ZEN RYDAZへの客演参加や全国各地でのパフォーマンスなど、多方面で活躍をしていますが現在の「愛染 eyezen」としてのスタイルを確立するまでの経緯など、意識していることがあれば教えて下さい。
このスタイルになるまで一番僕に影響を与えてくれたのは、間違いなく神宮前bonoboですね。今年で手伝い始めて3年になるんですけど、自分のスタイルに変化があったのはその時期からだと思います。あとは10年前に始めたバックパッカーの最初の目的地がタイのパンガン島だったんですけど、レイヴを無意識に感じれて。導きですよね。それでbonoboで働き始めたら過去7年間が一周して。完全に俺一周したなって。そっから音楽とか動きの意識が変わりましたね。
ラッパーとしてのキャリアを始めたのは5年前で、あいだの2年はずっと渋谷各所の箱に出入りしてて顔を売ってましたね。音楽を聴きに行くというよりは知り合いに会いに行く。ライブだけは見て、あとは酒を飲んで話すだけ。そんな感じでした。まあはっきり言って意識的に音楽は聴いてなかったです。モテる事とか売れる事とかそんなことばかり考えてたっす。
bonoboを手伝い始めてから、色んな角度からパーティーを見れるようになったことと、こんなに広い年齢層の方達が音楽をしていることに驚きましたね。人が入っていればいいパーティーだと思い込んでた俺は音の伝え方やクオリティー、とにかく人柄が音に反映されることを学びました。特に音に対しての情熱はこのときから芽生えました。いまの俺があるのは確実に大人を巻き込む、その人達すらも納得させたい、そういう所にあると思ってます。ZEN RYDAZともbonoboで出会いましたしね。あそこはパワースポットでどんなに有名な人もガードが下がってしまう場所なんだと思います。
全国各地のパフォーマンスに関しては、ラップを始める前から海外に、そして全国旅してたりして、そこで繋がった仲間をいまも大事にしているってことと、旅先で必ず作品や面白い出来事を残すということを意識してました。自分の中で音楽が手段で旅が目的なんですよね。そこが俺のスタイルで、旅ができなければ俺は音楽を作ることが出来ないんです。いつでも、他の人と違う景色を見て、他の人と違う体験をしていきたいです。
4K【ZEN TRAX2】CROSS-BORDER|Voice:愛染 eyezen, Turkish Flute & JewishHarp:GORO
──いまの東京の音楽シーンについてどう思いますか?
いまの東京はあんまりですね。良いサウンドシステムの箱が減ったようにも感じます。ぶっちゃけ名古屋の方が音やばいっす。MAGOあるし。あと神戸のH.Hbushとかマジでやばいっす。出来上がってる。
楽しいパーティーは確かにたくさんありますけど、メインストリームまでいい音楽が届いてないと思います、マジで。人が入ってるパーティほどつまらない。これが東京の現状だと思います。客を育てる気があるプレイヤーがいないというか、諦めというか。
売れたりするとプレイは違う才能を求められるのは分かるんですけど、(客に合わせる)いいプレーヤーが沢山埋もれてて、その人達自身も遊びやすいからアンダーグラウンドでいいやってなってると思います。村社会から出たくない、居心地がいいからそんな感じなんじゃないですかね。いいプレーヤーを、箱側やオーガナイザーの努力を除いて、安いギャラで使い回す。それじゃ本当に飯食えないんですよね。
東京で音楽やってて飯を食うには、メインストリームみたくダサくなるしかないんだと思います。俺は本当に悔しいっす。お互いの楽しみ方を知らないだけだから、伝え合ってもっともっとクロスオーバーさせていきたいって俺は思っています。
愛染 eyezen- bad saver(Dir. Yuta Koga)
愛染 eyezen – IRIOMOTE feat. Lil Cotetsu prod by ne4r
──これからの活動、心意気を教えてください。
ヒップホップ、ベースミュージック辺りに新しい風を吹かせたいって思ってます。俺はアイドルじゃないしライブ中にケータイでパシャパシャ撮るんじゃなくて、とにかく体感して踊って欲しい。
日本のシーンはもっと音楽身体で楽しんだ方がいいと思います。踊ってる人口が本当に少なくてしらけるパーティが多い。少なくとも俺の出るパーティだけはそうしたくないですね、ヤバいときは叫べばいいんですよ。俺は踊らせたい、とにかくそれだけです。歌ってくれなんて頼んでない。
本当の格好よさって格好つけることにあるんじゃないと思うし。人目を気にせず踊り狂う、そういうシーンが音楽であるべきだし、俺は必ず作りますね。俺はラッパーとじゃなくて、DJ達とこのシーンを作っていきたいって考えてます。もうダサい音楽が売れていくのを黙って見てられないですね。リアルとかフェイクとかそんな話じゃなくて本当に楽しむってことだけを伝えていきます。
女性を物としてアクセサリーみたく扱ってる様なヒップホップシーンに挑戦しますよ、この俺のスタイルで。あれは差別的だし失礼ですよね普通に。もっと音楽をいい音で聴けよって思っちゃいます。DJタイムが一番大事だからって感じです。同じ曲何回も流してる様な大箱とか、ラップの現場をマジで変えていきたいです。応援お願いします。だって、知らない曲で上がれる方が全然やばくないですか?
──質問以外にも何かあればお願いします。
俺は見た目の通り沢山のタトゥーが入ってるんですよ。顔にもね。
この事実がどんな現実をもたらすかは、与えられた者にしか分からない訳で。一つ言えることはこの景色は悪くない。色んな見られ方をしたし、嫌な思いも沢山したけど基本的には皆んな興味を示してくれる。
この先大丈夫かって心配してくる大人も沢山いますよ。逆に俺からしたらお前のその思考の方がこの先心配だわって感じです(笑)。行けない場所も沢山あって、人権侵害を感じちゃう日々ですが、俺には音楽があるんですよね。
これは最強のカウンター。東京っていうのは良い町で、これだけのタトゥーが入ってても仕事がある。選ばなければ本当にいくらでも。やり甲斐を取るまでは少し時間がかかるかもしれないけど、俺もやっとやり甲斐を取れるまでになった。一番重要なのはコミニュケーション。自分の状況を誰かに伝えるスキルさえあれば生きていける。この見た目でも余裕で生きていけるから、見た目に悩んでる奴は俺に連絡してきてくれ。救ってやるぜ。
Interviewed by JAZZCUZZ
Photo by OSK
IRONSTONE
西東京は吉祥寺を拠点とする DJ/BEATMAKER/PRODUCERの「IRONSTONE」。ハードコアバンドのギタリストとして音楽キャリアをスタートし、現在も自身のバンドからサポートを含め様々なバンドで活動中。2020年のコロナ禍を受けて自分一人で完結できる音楽を追求するべく本格的にビートメイクに没頭し始める。現行DRILL/TRAPに強い影響を受けた攻撃力高めの808ベースを回すサウンドを主軸に魔ミュージックを開拓。
TwitterInstagram
愛染 eyezen
語学留学にインドをチョイスするなど、作品を通じてトリップとラブの探求を表現するラッパー・愛染 eyezenはイスラエル・トルコの地中海エリアで制作したEP『BlueTrust』でデビュー。2020年3月10日にリリースした『2020 wit ma hope』の制作はカンボジア・プノンペンにて行われ、昨年わずか1ヶ月で制作資金40万円をクラウドファンディングで調達し話題となった。2021年7月5日、3rd epとなる「saver – ep」「DANCING OJISAN」をダブルリリース。現在東京を中心にライブ・パーティーオーガナイズと精力的に活動中。
TwitterInstagram
LET THE DOG IN THE HOUSE, LET THE HUMAN DIE OUTSIDE
1. INTRO -Let The Dog In The House, Let The Human Die Outside-
2. WTT(feat. BDR)
3. INSIDE OUT(feat. 東金B¥PASS)
4. ∞(feat. AIWABEATZ)
5. XXX呼んでDRILL -MaL’s Masking Dub-(feat. KMC)
6. HYPER BURN(feat. 愛染 eyezen)
7. Super Shining Stone(feat. Eclipse Sound System)
8. anmo(feat. RHYDA)
9. OUTRO -DOG RUN-
10. CURSE(feat. CHEN THE PHARAOH)
九州珠 -KUSUDAMA-Hoodish Recordings Insatgram
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