フラメンコギター奏者のパコ・デ・ルシアは「右手に伝統、左手に革新」が信条だった。伝統的な演奏の第一人者でありながら1970年代後半以降、ジャズミュージシャンと共演したり、バンド演奏したりと従来の枠を超えてフラメンコの音楽的可能性を追求し、ファンの裾野を広げた。
当時、幼かった記者は音楽鑑賞好きの父に聴かされて知り、最も好きなミュージシャン。民族音楽やジャズへの入り口にもなった。
代表曲の一つ「アルモライマ」ではギターのほか、アラブの弦楽器ウードを奏でる。フラメンコのパルマ(手拍子)も加わり異国情緒たっぷり。81年のライブ・アンダー・ザ・スカイではジャズピアノ奏者チック・コリアと共演。ジャズ・フュージョンギター奏者アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンとの共演も記憶に残る。2014年にパコが亡くなった時は父と一緒に聴いて、しのんだ。
伝統芸能や伝統音楽を取材するたび、パコの信条が思い浮かぶ。フラメンコ自体がマイナーで一般的な知名度は高いと言えないが、ジャズトランペット奏者のマイルス・デイビスに匹敵する巨人だと思う。(志)
=Sデジにロングバージョン=
→ 伝統と革新 フラメンコギター奏者 パコ・デ・ルシア <さんいん洋楽愛好会>
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