ジーンズの腰の辺りを大写しにしたＬＰジャケットをよく見てみると、中央部にあるのは、開閉可能な本物のジッパーだ。ベルトの辺りの切れ込みを開き、ジッパーを下ろすと、出てくるのは白のブリーフ。腰のあたりにブランド名のように小さく記された文字にニヤリとする。
「アンディ・ウォーホル」
２０世紀を代表するポップ・アートの巨匠が、このジャケットを制作したのだ。
このアルバム「スティッキー・フィンガーズ」はザ・ローリング・ストーンズが１９７１年に出した。「ブラウン・シュガー」に始まる全１０曲は、ブルースフリークのストーンズにとって、米国音楽愛の完成形だ。
ウォーホルの作品群は出世作「キャンベルのスープ缶」をはじめ、米国的商業主義を写す鏡のような存在だ。巨大ロックビジネスの先駆者・ストーンズとの競演は、持続可能な社会が叫ばれるようになった今日、振り返る意義が大きい。
２０２５年、倉吉市に開館予定の鳥取県立美術館では、ウォーホル作品が収蔵品に加えられそうだ。ぜひ館に足を運び、対峙（たいじ）しよう。そして右肩上がり経済の終焉（しゅうえん）と、２１世紀の行く末に思いをめぐらせたい。（示）
＝Ｓデジにロングバージョン＝
→ ストーンズとウォーホル ジャケットの切れ込みを開き、ジッパーを下ろすと・・・
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