MLBの魅力、音楽で解き明かす…「ベースボール・イズ・ミュージック!」著者のオカモト“MOBY”タクヤに聞く – Au Webポータル

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「ミスターとは同じ千葉県の出身なんですよ。野球どころですからね」と笑うオカモト“MOBY”タクヤ(カメラ・清水 武)
 ロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー・オカモト“MOBY”タクヤにとって初の著書「ベースボール・イズ・ミュージック! 音楽からはじまるメジャーリーグ入門」(左右社・税抜2300円)が野球ファンや音楽ファンを中心に絶賛されている。MLBの魅力を音楽の視点から解き明かした他に比類なき一冊。熱く濃厚な328ページに込めた想いを聞いた。(加藤弘士)
 多才なひとである。熱狂的なファンを有するライブバンドのドラマーであり、マネジャーも兼任。クラブDJではご機嫌なチューンでフロアを沸かせ、MLB中継では小ネタを織り交ぜ解説者を務める。そんなMOBYにとって初の著書は、自身を形成する3大要素の「音楽」「野球」「アメリカ」を掛け合わせた意欲作となった。
 「僕の好きなものをただ合わせただけなんです(笑)。元々、メジャーリーグの存在を知ったのは幼稚園の頃でした。ピート・ローズがミズノのカタログに載っていたりとか、『激めん』というカップラーメンのCMに出ていたりして。小学生になってから『王貞治物語』を読んでいると、ベーブ・ルースハンク・アーロンが出てきて。同じ時期に洋楽を知って、『アメリカ横断ウルトラクイズ』に魅了されたことで、ますます『アメリカ、かっこいいな』となっていきましてね。この3つがずっと僕の中で重要なもの、好きな要素として存在してきた。この3つを、ここまでまとめた本は世界的にもないんじゃないかなと思っています」
 「好き」という熱き思いは、強力な探究心に昇華して、MLBと音楽に関する謎を次々に解き明かしていく。
 「『これは研究になるな』と思ったきっかけは、ヒップホップのビースティ・ボーイズについて調べていた時でした。2枚目のアルバムに収録されている『What Comes Around』という曲に、1950年代に活躍したヤンキース一筋の遊撃手、フィル・リズートの名前が出てきたんですよ。でも歌詞の意味が全然分からない。『凄(すご)い選手だった』という文脈でもないんです。僕はその頃、NOVAに通っていたので、米国人の先生に聞いたら、この人はある世代のニューヨーカーにとっては『金貸し屋のCMに出ているおじさん』だというんです。スラングでフィル・リズートは『金貸し屋』を意味すると分かった。そうやってチーム名や選手名の裏側に秘められた意味を調べていけば、アメリカの文化を探る作業にもなるんじゃないかと思ったんです。『これは俺しかやる人はいないだろう』『紹介するのは僕しかいないな』って、勝手に自分で責任を感じながら、早く正確に書かなきゃと思っていました」
 MOBYはクイズ作家としての顔も持つ。だからこそ「正確さ」には人一倍、こだわった。
 「正確に書きすぎたせいで、注釈が500以上になりました。僕はクイズの問題を作っている時期もあったから、ちゃんと裏を取って、正確に伝えなくてはいけないという『癖』があるんです(笑)」
 ページをめくればめくるほど、MOBYのMLBに対する強い愛が行間から浮かび上がってくる。なぜそれほどまでに、メジャーリーグに魅了されてしまったのか。
 「元々、幼稚園児の頃は普通にプロ野球から入りました。中でもロイ・ホワイトレジー・スミスウォーレン・クロマティと巨人のアフロアメリカンの選手たちのカッコよさに魅了されたんです。1990年には初めて日米野球を見に行きました。R・ジョンソンやB・ボンズ、K・グリフィーJr.がカッコよかった。その2年後、ミネソタ州に3週間、ホームステイに行くわけです。観光も含めて1か月、アメリカに滞在して。メトロドームでツインズ対アスレチックスを見たんですよ。前の年のワールドチャンピオンと、その3年前…1989年のワールドチャンピオンによる、当時のア・リーグ西地区の天王山だったんですね」
 日本プロ野球とはひと味もふた味も違う、場内の空気にKOされた。
 「鳴り物の応援がなくて、球場全体がムードを演出している感じ。クイーンの『We Will Rock You』がかかったり、音楽が効果的に流れて、お客さんにも自然と一体感が生まれている。グッときちゃいましてね。当時は千葉の市川高校で軟式野球部に入っていたんですが、ローリングスのでかいマークが入っているM・マグワイアモデルのグラブを現地で買って、帰国後にすぐ練習試合で使ったりして。高野連に怒られそうな(笑)。アイブラックを目の下に塗って、ベンチではヒマワリの種を口に入れながら試合していました。革手袋はもちろんフランクリン製です(笑)」
 MOBYは現在、午前中にはMLB中継で解説を行い、夜には全国津々浦々のライブハウスでドラムをたたき、客席に熱狂をもたらす。合間にはMLB専門誌「Slugger」のコラムを執筆する。それはもちろん本人の才能と努力の賜物であるが、とても羨ましい人生に思える。
 「いかに仕事っぽい仕事をせずに、遊びながら生きていけるか。僕の人生は全て公私混同です。補足をするならば、自分でも日々、割と頑張っているとも思いますね(笑)」
 本書を世に放ち、うれしいことがあった。
 「大好きなスポーツライターの玉木正之さんに本を送ったら、リアクションがあったんですよ。ブログで『読み出すと面白くて止まらなくなった』と褒めて頂いて。『ルー・ゲーリッグがかつてメトロポリタン歌劇場へワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』を聴きに行った話は出てこないけど』と指摘もされて(笑)。まさか玉木さんに褒められる人生になるとは思わなかったです。間に合わなかったけど…山際淳司さんにも、読んで欲しかったですね」
 本を開けば、音楽が流れる。アメリカの匂いがする。コロナ禍でままならないご時世ではあるが、現地へ赴き、スタジアムへと足を運びたくなる。「9イニング+延長戦=10章」から成る本書の熱き攻防、堪能したい。
 「私を野球に連れてって」くれる、最高の一冊だ。
 ◆オカモト”MOBY”タクヤ 1976年7月6日生まれ。千葉県市川市出身。早大第二文学部卒。1995年結成の“LIVE CHAMP”の異名を持つロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー兼マネージャー。J SPORTS「MLBミュージック」メインMC、MLB配信サービスABEMA、SPOTV NOWにてMLB中継の解説・実況を担当。MLB専門雑誌「Slugger」でコラム「ベストヒットMLB」連載中。クイズ作家としても活動。2021年にはテレビ東京系ドラマ「生きるとか死ぬとか父親とか」で俳優デビュー。FMおだわらにて放送中の「ベースボールは歌う」メインMC。「SABR(アメリカ野球学会)」会員、「野球文化学會」会員。左投左打。
08/18 17:00
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