”言いたい邦題” 「アメリカン・モーニング」ランディ・ヴァンウォーマー 幸せな朝だと思ったら… <さんいん洋楽愛好会> – 山陰中央新報社

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 「アメリカン・モーニング」(1979年)は米国のシンガー・ソングライター、ランディ・ヴァンウォーマーのバラード。心地よいメロディーに優しい歌声が乗り、日本でもヒットした。初めて聞いたのは中学生の頃だった。「アメリカの朝」を意味するタイトルと曲の雰囲気から、朝を迎えた恋人同士が陽光の注ぐ部屋でまどろむ…。そんな未知なる幸せの光景を想像したものだが、実は失恋の歌だと後に知って驚いた。
 原題はJust When I Needed You Most。「僕が君を最も必要としていたちょうどその時」くらいの意味。このフレーズはさびで歌われるが、その前にYou left meがつく。つまり「最も必要としていた時に君は僕の元を去ってしまった」ことを歌う。過去を引きずる男の歌である。
 歌詞に「アメリカン」はないが、中学生でも聞き取れた「モーニング」は、彼女が朝、荷物をまとめたというくだり。そっちのモーニングだったのか…。思春期の妄想をかき立てた、罪な邦題である。恋人同士の朝のまどろみのBGMにはされませんように。
 この曲は米国で4位、英国では8位まで上がり、彼にとって初めてにして最大のヒット曲となった。この曲の入った79年のデビューアルバム「アメリカン・モーニング」(原題はWarmer)もアコースティックな美しいラブ・ソングを中心とした好アルバムだった。収録曲のうち、特に「コール・ミー」は「アメリカン・モーニング」に匹敵するバラードの名曲だと思う。ちなみに、荷物をまとめて去った彼女に「電話してほしい(コール・ミー)」と歌っているわけではない。
 「アメリカン・モーニング」の話に戻ると、彼の代表曲であるだけに、94年発表のアルバムではセルフカバーが収録されており、ひと味違ったバージョンを聴ける。通算7作目となるそのアルバムの原題は、本人が三男坊だったことにちなみThe Third Childだが、邦題はそれを無視して「モーニング・ブリーズ」(「朝のそよ風」の意味か)。やっぱり”幸せな朝”のイメージである。
 残念なことに彼は2004年、病気のため48歳の若さで亡くなった。彼はこの世から去ってしまったが、彼が残した「アメリカン・モーニング」は時代を超えて人々に親しまれるに違いない。(洋)
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