【リポート】日本最大級のダンス・パフォーマンス祭典「SHIIROFES.2022」に行ってみた! – 弘前経済新聞

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 ダンス&パフォーマンスの祭典「SHIROFES.」は、本州最北の城下町・青森県弘前市で2016年から毎年開催されています。今年は7月2日・3日の2日間に渡って開催されました。日本全国や世界でも活躍するダンサーが弘前に集い、熱い戦いを繰り広げた一方で、県内外のアーティストやパフォーマーらが集結し、音楽・アート・自然を存分に楽しめる空間となりました。日本最高峰のストリートダンスの戦いと、多様なカルチャーを弘前で体感できた「SHIROFES.2022」をレポートします。
目次
1.弘前で世界レベルのダンサーたちが対決!
2.ダンスだけじゃない!カルチャーの繋がりやルーツを感じられるフェス空間
3.地元アーティスト・学生らの活躍と全国的な豪華アーティストが集結
4.「SHIROFES.」を弘前で開催する意味
 「SHIROFES.2022」の目玉は、8つものコンテンツが用意されたストリートダンスバトル。POP、BREAK、HIP HOP、LOCK、HOUSE、WAACKの6つのジャンルに加え、ジャンル関係なしに2人組同士で戦うALL STYLE 2on2のバトルもありました。各バトルで豪華審査員を招いたほか、ゲストバトラーとして全国各地から日本を代表するダンサーが加わり、挑戦者との熱いバトルを繰り広げました。
3つのステージでダンスバトルが繰り広げられた(C)Jason Halayko3つのステージでダンスバトルが繰り広げられた(C)Jason Halayko
 SHIROFES.のシグネイチャーコンテンツともいえるPOP 1on1 バトル「SAMURAI」。今年は誰でもエントリーできるオープン予選と招待枠ダンサーが参加する決勝トーナメントが行われ、予選の勝者が決勝トーナメントに挑戦できました。優勝したGUCCHONさんは、2018年のSAMURAIでも優勝している。「優勝できたことがうれしいのは当然だが、自分自身が気持ち良く踊れたことが最高にうれしい」とGUCCHONさん。SAMURAIは来年、外国人ダンサーを招待してワールドファイナル「SAMURAI WORLD FINAL」となる予定で、GUCCHONさんはこの優勝でシード権を得ました。
SAMURAI優勝者のGUCCHONさん(C)Hama Show SAMURAI優勝者のGUCCHONさん(C)Hama Show
 世界最高峰ブレイキンの大会である「Red Bull BC One Cypher Japan」へのシード権が獲得できる、BREAKIN' 1on1バトル 「THE JAM」では、GEN ROCさんが見事優勝を果たしシード権を獲得しました。GEN ROCさんは、所属チーム「GOOD FOOT」が2022年6月に行われた「FREESTYLE SESSION JAPAN」に優勝し、日本代表として今年11月にアメリカ・ロスアンジェルスで開催される世界大会に出場も決定している注目のダンサー。今後の活躍に期待が高まります。
「SHIROFES.」は2連覇となったGEN ROCさん(C)Jason Halayko「SHIROFES.」は2連覇となったGEN ROCさん(C)Jason Halayko
 新コンテンツであるWAACKIN’ 1on1バトル「MIYABI」も見どころの一つ。WAACKIN’のバトルは、全国的にも珍しく、日本を代表するWaackerたちのダンスを生で見ることのできる貴重な機会となりました。対戦ルールには、対戦相手と同時に即興で踊る「SameTime」が導入され、バトルでありながらもそれぞれのフィーリングをシェアし合うWaacker同士の美しくも闘志溢れるシーンを見ることができました。
対戦相手同士が即興でダンスを披露したWAACKIN’ 1on1バトル「MIYABI」の様子(C)Jason Halayko対戦相手同士が即興でダンスを披露したWAACKIN’ 1on1バトル「MIYABI」の様子(C)Jason Halayko
 優勝者は、日本国内や海外のストリートシーンで活躍しながらも、日本を代表する歌手やアーティストのダンサーも務めるcalinさん。注目の新コンテンツ「MIYABI」に向けて、WAACKIN’のカルチャーを掘り下げながら何カ月もかけて準備を重ねたDJ MAR SKIさんの選曲にも、称賛の声が上がりました。
コラム1:ダンスバトルの見方
ダンスバトルはDJがかけた音楽に合わせてダンサーが即興で踊り、それぞれの基礎力、スキル、音楽性、オリジナリティ、ダンスやバトルにかける情熱(パッション)などを、最大限に披露します。そのダンスを3人(もしくは5人。いずれにしても奇数)のジャッジ(審査員)が審査し、どちらかを選択。ジャッジが多く選んだダンサーの方が勝利となります。勝敗はその場で決まりますが、観客にとっては、自分はどちらのダンサーに心を打たれたのかという感覚を大切にしながら、地域を背負う(レぺゼンする)プレッシャーの中で、音楽を感じて戦うダンサーの姿を見守ることができる点が大きな魅力です。
勝敗を決めるジャッジたち勝敗を決めるジャッジたち
 「SHIROFES.2022」では、東京ドーム5個分以上の広さがあるレジャー施設「星と森のロマントピア」を貸し切り、4会場で同時にコンテンツが野外で開催されるという、大規模なフェス形式で行われました。中でもMUSIC VILLAGEはグランピングをイメージするような会場に、DJやパフォーマーらによって終日音楽が鳴り響き、その傍らでグラフィティ・アーティストらによるライブペイントも行われました。
 暑い日差しと青空のもと、芝生を踏みしめて蝉の声を聴きながら大音量で感じる音楽は、普段スマホで室内や車内で聴く音楽とは格別でした。それぞれメインステージへ上がったパフォーマーたちが、MUSIC VILLAGEでは特別なコラボやセッションを繰り広げ、観客にとっては、メインステージに比べてパフォーマーとの距離が近く、特別感を味わうことができました。
MUSIC VILLAGEで行われたさまざまなセッションMUSIC VILLAGEで行われたさまざまなセッション
 ダンスバトルの決勝に出場している県外のダンサーが、バトル終了後に立ち寄り、地元DJの音楽に合わせて踊る姿もありました。HOUSE 1on1バトル「OPEN YOUR EYES」で優勝したKAZUKIYOさんは「他にこんなにたくさん遊べる場所があるのに、この決勝を見に来てくれてありがたい」とコメント。他にも「ダンスでこんなにフェスみたいに開催できるのは凄い。バトルだけど、楽しみたくて」(HIP HOP 1on1バトル「DO OR DIE」で優勝したSHINICHIさん)、「場所が気持ちいい。場所にも音楽にもジャッジにも見てくれる人にも、身を委ねられた」(WAACKIN 1on1 バトル「MIYABI」で優勝したcalinさん)と語っていました。
 ダンスに音楽が欠かせないように、フェス形式での開催にこだわった今回の「SHIROFES.」において、MUSIC VILLAGEで作られた空間は、フェス全体として欠かせない要素だったように感じました。
会場ではライブペイントも行われていた会場ではライブペイントも行われていた
 各バトルコンテンツで地元のダンサーが国内最高峰のレベルのダンスバトルに挑戦する傍ら、地元アーティストやDJ、学生らが、全国的な豪華アーティストらと共演しました。そのジャンルはさまざま。ダンス、歌、ロックバンド、津軽笛、DJ、アイドル、津軽三味線、弾き語り、アフリカンバンド、フリースタイルバスケットボール、書道、ジャズバンド、ねぷた囃子、ダブルダッチ、etc…。ジャンル、地域、世代、価値観を超え得る、まさにカルチャーがクロスオーバーしている、異様でありながらも新鮮で、貴重な光景が各会場で見受けられました。
弘大囃子組のお囃子で踊るダンサーたち弘大囃子組のお囃子で踊るダンサーたち
 名実共に世界一ともいえるフリースタイルバスケットボーラー「BUG!?」さんは三味線アーティストTESさんと共演。伝統芸能との圧巻のコラボで観客を魅了しました。
フリースタイルバスケットボーラー「BUG!?」さんと三味線アーティストTESさん(C)Jason Halaykoフリースタイルバスケットボーラー「BUG!?」さんと三味線アーティストTESさん(C)Jason Halayko
 また、会場内ではステージ外でのコラボや交流があちこちで生まれ、笑顔にあふれていました。ダブルダッチチーム「REG STYLE」がその2本のロープを使い、自由参加で縄跳びに誘います。ダンサーたちが次々と飛び込んでいき、全国各地のダンサーたちが弘前で縁を深めるといった一面がありました。
次々に縄跳びに飛び込み、笑顔が絶えない場になった次々に縄跳びに飛び込み、笑顔が絶えない場になった
コラム2:飲食ブースも充実
飲食ブース「Food&Goods Booth」では、地元の出店だけでなく、東京から出店したキッチンカーなどもありました。飲食以外でも津軽塗や「SHIROFES.」オリジナルグッズの展示販売も。広いスペースでそれぞれソーシャルディスタンスを保った感染症対策を呼び掛けていました。
「Food&Goods Booth」の様子「Food&Goods Booth」の様子
 「SHIROFES.」のオーガナイザーで主催したひろさき芸術舞踊実行委員会の岩渕伸雄さんは「『SHIROFES.』を東京でやればいんじゃないか?」と提案されたことを振り返ります。「SHIROFES.」は弘前城本丸を会場としたダンスイベントとして2016年から開催し、今年で7回目。「スポーツ文化ツーリズム賞」、「ふるさとイベント大賞」といった国のアワードを受賞し、国内外で注目されるイベントになっています。年々その規模を拡大していったところ、コロナ禍を迎えました。2020年は手探り状態でのオンライン開催、2021年は中止というところまで追い込まれたものの会場を変更し、無観客という形で開催。やめてしまう方が100%簡単な苦しい状況でも、足元を止めずに続けてきました。
オーガナイザーの岩渕伸雄さん(C)Hama Show閉幕式で登壇したオーガナイザーの岩渕伸雄さん(C)Hama Show
 「地方にいるだけでは、カルチャーやダンスの良さを感じにくく、それらの良さを感じられる機会を作らなきゃいけない。日本を代表するようなダンサーやその他の皆さんが来てくれることは決して当たり前のことじゃないってことを今の若い子たちに感じてもらえたら」。
イベント最後には地元の子どもダンサーたちがステージに上がり、ダンスパフォーマンスを披露した(C)Hama Showイベント最後には地元の子どもダンサーたちがステージに上がり、ダンスパフォーマンスを披露した(C)Hama Show
 大阪から出場したCiOさんが、他の部分に合わせるとLOCKIN’ 1on1バトル「EVERYBODY’S UP」に優勝した際、涙を浮かべながら語りかけるシーンがありました。沖縄から出場し、決勝で対戦相手であったRISAさんに向けての言葉でした。
 「憧れの先輩で、対戦できる機会がなかなかなかった。SHIROFES.に出場する前から絶対に当たりたいと思っていたが、まさかのこの『SHIROFES.』で、しかも決勝でRISAさんと対戦することができることになるとは。本当にうれしかった」。
CiOさん(左)とRISA(右)さん(C)Jason Halayko弘前の地で対戦したCiOさん(左)とRISA(右)さん(C)Jason Halayko
 大阪でも、沖縄でも、東京でもない。弘前という地で、このようなコメントを聞けるということが、何よりも貴重な機会だったことは間違いないでしょう。
 ダンスだけではない魅力が「SHIROFES.」にはありました。ユースカルチャーや伝統文化が入り混じる極めて文化的な可能性は計り知れません。日本各地のストリートダンサーが集まり、新たなカルチャーとして根付いていくであろう「SHIROFES.」。弘前という場所で開催されていくことに、これからも目が離せません。(記者:KAYA)
SHIROFES.
 
コラム3:津軽塗の台座
優勝者に贈られたのはセイコーの腕時計。その台座には津軽塗が施され、津軽・弘前ならではの優勝景品となった。津軽塗のプロデュースは、弘前で津軽塗の体験やオーダーもできるギャラリー「CASAICO(カサイコ)」が担当した。
津軽塗の台座津軽塗の台座
» SHIROFES.2022公式サイト
» インスタグラム

ねぷた絵とコラボしたアートタイツが今冬、発売になる。
ねぷた絵とコラボしたアートタイツが今冬、発売になる。
ねぷた絵とコラボしたアートタイツが今冬、発売になる。
津軽鉄道(五所川原市、TEL:0173-34-2148)が現在、菓子メーカーの明治(東京都)とコラボした「夢見るきのたけ号」を運行している。
アームカバーとレギンスは同じデザイン
王座を奪取した武居
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