４人組ダンスパフォーマンスグループ・ｓ＊＊ｔ ｋｉｎｇｚ（シットキングス）が、１４日から結成１５周年の記念舞台「ＨＥＬＬＯ ＲＯＯＭＩＥＳ！！！」（東京・新国立劇場中劇場ほか）を行う。昨年３月、ダンサー単体としてテレビ朝日系音楽番組「ミュージックステーション」に初出演。木村拓哉、三浦大知ら３５０曲以上の振付を手がけるダンス界のパイオニアが、節目の公演を機に更なる飛躍を遂げる。（加茂 伸太郎）
ダンスだけで物語を表現する“無言芝居”で国内外を魅了するシットキングス。コロナ禍による延期を乗り越え、４年ぶりのオリジナル公演に挑む。
出身、年齢、ルーツも異なる４人が「日本にはない、格好いいパフォーマンス」を志し、０７年に結成。全米屈指のコンテスト「ＢＯＤＹ ＲＯＣＫ」に２年連続で優勝（１０、１１年）。これまで２５か国・地域を訪れ、道を切り開いてきた。
今作は人形のＡ子が登場。映画監督を夢見るＡ子の人生で起こる様々な出来事と葛藤、個性豊かな４人のルームメートを描いた笑いあり涙ありのコメディー。リーダーのｓｈｏｊｉは「人形を主役にしたのは大きなチャレンジ。Ａ子の感情を感じてもらい、それを動かす僕らのパフォーマンスを新鮮に面白く伝えていきたい」と意気込んだ。
これまでバー、工場、トイレ、図書館を舞台にしたが、今作は部屋。「心のゴミ」をテーマに展開される。ｋａｚｕｋｉは「いろいろな職業の方に共感してもらえると思う」と自信。Ｏｇｕｒｉも「“これって自分だけじゃないんだ”と（心を）楽にしてもらえたら。ホッとするような作品です」と話した。
グループ初となる日本語詞での楽曲制作に挑戦。ＮＯＰＰＯは「初めて見た方にも分かりやすく伝えられるように、楽曲へのアプローチを変えてみました」。ｋａｚｕｋｉも「シッキンの舞台と言えば、アドリブが魅力の一つ。見る度に変わる面白さを感じてほしい」。
２１年３月、「ミュージックステーション」にダンサー単体として初出演。歌唱なしのパフォーマンスは、ダンス界にとって革命的な出来事だった。
Ｏｇｕｒｉは「一緒に踊っている先輩が『感動した』と言ってくれて。『ここに懸けているぞ！』という熱量、覚悟が画面越しに届いていてうれしかった」。ｋａｚｕｋｉも「ダンサーの友達、先輩・後輩も応援してくれていた。いい出方ができて良かったと思う。あと何回か出なきゃ意味がない、一発だけの企画に見えるので。（将来は）ダンサーがＭステに出るのが当たり前、という風にしたい」と力を込めた。
ｋａｚｕｋｉは木村拓哉のライブツアーの総合演出や一部楽曲の振付、ＢＥ：ＦＩＲＳＴの楽曲の振付などを手がけた。一方、ｓｈｏｊｉはＴＢＳ系「半沢直樹」、ＮＯＰＰＯは日本テレビ系「ボイス２ １１０緊急指令室」、Ｏｇｕｒｉは映画「孤狼の血 ＬＥＶＥＬ２」などに出演。役者として本業以外の分野で表現力を磨いた。
ダンス界全体を取り巻く環境は変わり始めている。２４年のパリ五輪からブレイキン（ブレイクダンス）が新種目に追加される。
ｋａｚｕｋｉは「ダンスはスポーツか？アートか？は絶妙なライン。五輪競技になるけど、アートに振り切ったダンスだってある。『シッキンのダンスはどっち？』と言われると、正直難しい。どっちにでも解釈できるから。（ダンスの注目度が）世界にドンドンと波及したらいい」と熱望。「ダンスが魅力的なものだという（気持ちの）部分はずっと変わっていない。（ダンス全体の）認知度は１０周年の頃よりも、いい方向に進んでいる。ダンスが人気の存在になってくれていてうれしいです」
２０周年に向け、シッキンにとっては大切な５年間が始動する。Ｏｇｕｒｉは「『ダンサーってこうなんでしょ？』というステレオタイプは、いまだ根強くある。自分たちの力で、少しでも明るい未来に持っていけたら。純粋にダンスが好きという部分は、この先も大事にしていきたいです」。
自らの力で道を切り開き、踏み締めてきたシッキン。ｓｈｏｊｉは「メンバーとは『型にはまりすぎないようにしよう』と話をしています。『シッキンだから踊っていなきゃいけない、セリフがあっちゃいけない』と縛りすぎないように。振り幅のあるグループでありたい」。まだまだ発展途上。「もっともっとたくさんの人たちに知ってもらいたいし。もっともっと（ダンス界の）裾野を広げていきたい」と、どん欲に語った。
〇…同公演は３都市で開催。大阪公演は１１月１０日から森ノ宮ピロティホール、愛知公演は同１８日から日本特殊陶業市民会館。同２９日からは凱旋（がいせん）公演として再び東京公演を行う。
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