女性コーラスグループの活躍 ビルボード・トップ100 ~1955年・その4~ <さんいん洋楽愛好会> – 山陰中央新報社

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 1955年のビルボードTop30には、女性コーラス・グループが3組チャートインしている。年間8位マクガイア・シスターズの“Sincerely”、年間15位のフォンテイン・シスターズ“Hearts of Stone”、そして年間18位コーデッツの“Mr.Sandman”である。
 “Sincerely”は3声のコーラスで、高音部が主旋律を担うフォー・フレシュメン風のオープン・ハーモニーが特徴で、ゆったりと華麗なコーラス・ワークを聴かせてくれる。オリジナルのムーングロウズのエンディングのコードは6thだが、マクガイア・シスターズはmaj7で終わるのが印象に残る。
 ”Hearts of Stone”も元々は黒人男性グループが歌っていたR&B。ヴァース(Aメロ)の部分はカントリーの曲の作りと似ている。フォンテイン・シスターズは3声のうち、ミドル・パートが主旋律の伝統的なクローズ・ハーモニーで歌っている。特にコーラス(サビ)の部分を聴くと、7thコードが続くのでオリジナルはR&B、ということがよく分かる。ライブで聴くとしたら必ず手拍子を打っているに違いないほど明るいタッチの曲だ。
 ”Mr.Sandman”は、ジャージーな作りと巧妙なアレンジが耳に心地よい軽快でスピーディーな曲。4人組のコーデッツは、高音部と低音部がヴァースごとに主旋律を歌い、AメロやBメロの直前にはコードの構成音を八分音符ごとに歌うハーモニーや、ドゥワップの要素のハミングを取り入れた凝ったコーラス・ワークが特徴。
 この3組はいずれも白人女性のグループだが、残念なことにこの年を境にこの構成のグループはだんだんとチャートから姿を消し始めていく。この55年は前述の通り3組がTop30にチャートインしていた。次の56年は30位には1曲も入っていないし、57年になると100位以内に顔を出すこともなくなってしまっている。
 もっとも55年はチャートが30位まで、56年以降は100位まで、と掲載されている曲数が異なるので一概には言えないが、ボスウェル・シスターズやアンドリュー・シスターズ、ダイニング・シスターズなど40年代から50年代初期に活躍していた女性コーラス・グループの歴史に陰りが見え始めたのだ。代わりに、出現してくるのは黒人女性コーラス・グループ。
 あくまでも個人的な見解だが、白人女性グループは、簡単に言うと穏やかで優雅なサウンド。黒人女性グループのそれは、力強く軽快で明るい。加えてこの時代は黒人のR&Bを白人のアーティストがカバーするということが流行となりつつあった。こうした流れを受け継いで60年代にはガールズ・グループと呼ばれる女性アーティストたちが次々と出現してくるようになった。
  (オールディーズK)
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