90年代の名曲・中西保志「最後の雨」をヒットさせたUUM戦略(FRIDAY) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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今年、デビュー30周年記念ライブを行った中西保志(写真:共同通信)
ちょうど30年前のヒット曲をたどっていく連載です。今回は、主に若い方に向けて、30年前の夜の繁華街で突如発生した「UUMヒット」について、ご説明したいと思います。 【画像】菅田将暉、DAIGO…ミュージシャンのラブラブデートショット! ご存じですか、「UUM」? ユー・ユー・エム? ローマ字読みして「うーむ」と考え込む方が多いと思います。ごめんなさい。そのはずです。私が作った造語なのですから。 「UUMヒット」、それは「歌が・うまいから・モテる(=UUM)連中が、好んで歌ってヒットした曲」のこと。約30年前のカラオケボックスから発生した、それまでの日本ポップス界には、決してあり得なかったヒット曲の形態を指します。 そんな「UUM」の詳細は、後ほど説明するとして、まずは、今回取り上げる中西保志『最後の雨』のご紹介です。 ぜひサブスクなどで、フルコーラス聴いてみてください。歌手名・曲名でピンとこなかった若い方でも、聴いたことのある方が一定数いるのではないでしょうか? それにしても『最後の雨』、今聴いても、いや、今聴くからこそあらためて、中西保志という人の歌のうまさが光ります。さすが「UUMヒット」の名にふさわしい。 1992年の8月10日発売で、オリコン最高位16位なのですが、驚くべきはチャートへの登場週数=55週(つまりは1年以上)という数字。つまりはジワジワと売れ続けて16位にたどり着いたという、演歌のような売れ方をしたのです。ちなみに売上枚数は73.7万枚。 中西保志は奈良県出身で、同志社大学を卒業後、いったん百貨店に就職するも、間もなく辞めて学習塾の講師に。並行して、学生時代からスティービー・ワンダーの歌まねが得意で、テレビ番組に何度か出ているうちにスカウトされたという、奇妙な経歴の持ち主。 それでも、天才シンガー=スティービー・ワンダーの物まねができるという時点で、もう「UUMヒット」への素地があります。 ジワジワと売れたので、本格的にヒットしたのは発売の翌年=93年のことでした。同年6月1日の日刊スポーツは、「音楽関係者がそれぞれの思惑を超えて『失速の兆しが見えない』と尊敬と驚きのまなざしで見つめている中西保志の『最後の雨』が、前週の24位から16位に上昇した」と、熱く報じています。 さて、その記事の中で紹介されている、『最後の雨』が最高位16位に到達したオリコンチャートの中に、もう1つの「UUMヒット」を見つけるのです。 ――7位:山根康広『Get Along Together』。 こちらは93年発売で、最高位5位、売上枚数は121.1万枚(リメイク版)と、『最後の雨』よりも売れました。『最後の雨』と『Get Along Together』、この2曲が、約30年前のカラオケボックス、さらには結婚式において、嫌味なほど歌のうまい「UUM野郎」の腕試し、いや、のど試しで歌われることで、ヒットしていったのです。 「聴きたい曲」よりも「歌いたい曲」がヒットする構造へ。これは今から思うと当時は、日本ポップス史上における一大構造転換期だったように思います。 ◆通信カラオケが生んだ「UUMヒット」 全国カラオケ事業者協会の公式サイトにある「カラオケ歴史年表」を見ると、『最後の雨』が発売された1992年の欄に、「通信カラオケ登場」という非常に重要な8文字が書かれています――。 レーザーディスクなどを使っていた、それ以前のカラオケボックスは、どこかオヤジ向けスナックの延長のようなイメージがありました。そのせいか、90~91年あたりの新聞記事には「カラオケボックスから青少年を守れ」的な論調が散見されます。 しかし通信カラオケの普及によって、歌える曲数が一気に増え、また最新ヒットもすぐに歌えるようになり、その結果、オヤジ向けスナックの延長ではなく、若者の健全な娯楽として定着、若者の歌唱力のレベルが急高騰したのです。 そんな土壌の上に「UUM野郎」が現れました。合コンの2次会のカラオケボックスで、難曲を次々と歌いこなし、1次会での劣勢を一気に逆転、女性陣を(当時っぽく言えば)「お持ち帰り」する男たちの出現。 KIM(かっこ・いいから・モテる)やKMM(金を・持ってるから・モテる)ではなく、「歌が・うまいから・モテる」という新興勢力=「UUM野郎」が好んで歌ったのが「UUMヒット」であり、その代表曲が『最後の雨』と『Get Along Together』だったのです。 『最後の雨』は、とにかく音域が広い難曲。ほぼ2オクターブ使っています。で、最高音はサビの「♪本気で忘れるくらいなら 泣けるほど愛したりしない」の「♪愛」(あい)の「♪い」。実音でA(ラ)という超高音。ここが「UUMポイント」。 しかし、当時の私の周辺における「UUMヒットチャート」(私が心の中で作成)において、『最後の雨』『Get Along Together』の2曲はそれぞれ、2位、3位で、不動の1位は別の曲でした。 それは――久保田利伸『Missing』(86年)。 「UUMポイント」はもちろん、大サビの「♪黄昏に精一杯の息を吸って目を閉じるだけ Oh~ I love you」の「♪Oh~」。今でも思い出すと、ここの「♪Oh~」の後に、女性陣の「キャー」という歓声が聞こえてきます。 最後に私事になりますが、高校、大学とオーケストラ部で金管楽器を吹いていたにもかかわらず、歌は音程(ピッチ)も曖昧、ビブラートもかからない私は、深夜のカラオケボックスで、何度も「UUM野郎」にやられて、一人寂しく討ち死にしたものです。 「UUM野郎」のせいで、女性陣とGet Along Togetherできずに、Missingしてしまい、瞳から最後の雨が降り続けた、約30年前のカラオケボックスの廊下を、今でも思い出すのです。うーむ。 文:スージー鈴木 音楽評論家。1966年大阪府東大阪市生まれ。bayfm『9の音粋』月曜日に出演中。主な著書に『80年代音楽解体新書』(彩流社)、『チェッカーズの音楽とその時代』(ブックマン社)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『恋するラジオ』(ブックマン社)など。東洋経済オンライン、東京スポーツ、週刊ベースボールなどで連載中。新著に『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、6月17日『桑田佳祐論』(新潮新書)が発売される。
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