ロック・アラウンド・ザ・クロック登場 ビルボード・トップ100 ~1955年・その5~ <さんいん洋楽愛好会> – 山陰中央新報社

POP

 1955年ビルボードTop30は、男性グループの話題で締めくくりたい。この年には6組がチャートインしていた。2位ビル・ヘイリー&コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」、7位フォー・エイセスの「慕情」、17位フォー・ラッズ「モーメンツ・トゥ・リメンバー」、27位エイムス・ブラザーズ「裏町のお転婆娘」、29位プラターズ「オンリー・ユー」、30位サムシング・スミス&レッドヘッズの「嘘は罪」である。
 「ロック・アラウンド・ザ・クロック」はTop30の中でも異質なサウンドだった。今では誰でも知っているロックンロールが初めてチャートに入ったのがこの時で、ロックンロールとは、カントリーとR&Bが融合したものとみなされていた。この曲以外にはチャートインしたロックンロールのタイトルは見当たらず、唯一無二のロックンロール・ナンバーだった。当時のTV番組を見返してみると、この曲をバックに、押し合いへし合いしながら若者たちが楽しそうに踊っている様子が分かる。古今東西を問わず、どうやら踊ることのできるサウンドがリスナーは大好きらしい。
 フォー・エイセス、フォー・ラッズ、エイムス・ブラザーズはどれも男性カルテットで、リードが旋律を歌い、テナー、バリトン、バスがコーラスを付けるという伝統的なクローズコーラス。特に「裏町のお転婆娘」はわが国ではその名の映画が作られ、江利チエミさんが主題歌を歌っていた。映画の中では、カレーライスを3杯も平らげるお嬢さんを「お転婆娘」と称していたが、原曲では街の話題になっている「お転婆娘」とは、実は生後9日の女の赤ちゃんだったことがオチとなっていた。
 「オンリー・ユー」はここで取り上げた6組の中では、現在最も名の知れた曲ではなかろうか。彼らはカルテットのようなハーモニーではなく、卓越したリードシンガーを後ろでもり立てる「アーウー」コーラスだった。これは現在でも多く見られるパターンだろう。実はこの「オンリー・ユー」は二つのバージョンがあって、ひとつはフェデラルというレーベルから出たもの。もうひとつはマーキュリー盤で、われわれが通常耳にするのはこちらの方だ。比較するとフェデラル盤は、コーラス陣の存在が薄く、演奏も淡泊。アレンジという作業がいかに重要なものかということがよく分かる。
 バンジョー、ピアノ、コントラバスで構成されたサムシング・スミス&レッドヘッズは、時にソロだったりユニゾンだったりのコーラスで、最後は、酒場にもろびとこぞりて大合唱、というイメージが浮かんでくる。電気的処理のないシンプルな音源は新鮮に聞こえるし、30位だったとはいえ、何よりもエンジョイしようという意欲が伝わってくる。
  (オールディーズK)
   =読者投稿=
クリップ記事やフォローした内容を、
マイページでチェック!
あなただけのマイページが作れます。

source

最新情報をチェックしよう!
広告
>すべての音楽情報をあなたに・・・

すべての音楽情報をあなたに・・・

インターネットで情報を探すとき、あなたはどうやって探しますか?いつも見ているページで情報を得る?検索エンジンで好きなアーティスト名を検索してでてきたものを見る?本当にそれであなたの欲しい情報は手に入れられていますか?

CTR IMG