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藤波がマイクを持つとつい「マッチョ・ドラゴン」が頭を巡るという人も多い
【今日も一緒にプロレスを楽しみましょう！】 〝炎の飛龍〟藤波辰爾の「マッチョ・ドラゴン」がＮＨＫの番組で３７年ぶりによみがえった。都市伝説となっていたあの歌声は進化。「破壊力は健在だけど、音程も安定した。発表されたときの衝撃を思い出した」と長年のファンは涙を流す。 １９８５年当時、ライバル・全日本プロレスのジャンボ鶴田は何年も前からギターを弾きながらミニコンサートを開き、プロレス会場以外でも人気を集めていた。「負けられない」との声が日に日に大きくなっていく。 それでも藤波本人は「いや～、僕は歌が上手じゃないから、絶対しない」と腰が引けていた。とはいえ、あの頃の新日本と全日本のライバル関係は、ファンも巻き込んで激化する一方で、藤波の歌手デビュー計画が進められた。 代表的な入場テーマ曲「ドラゴン・スープレックス」に歌詞をつけるという案もあった。ファンから公募しようとなったが、立ち消え。洋楽を原曲とする「マッチョ・ドラゴン」が誕生したのだが、発売されるや否や「う～ん、これは」となってしまった。 藤波の呼吸音は独特だった。ラッシャー木村は「ハハシ、ハハシ、ハシハシ、ハハシ…」だったが、藤波は文字にすれば「ヒヒヒ、ヒヒヒ…」と鼻から抜けるような感じ。子供の頃、木から落ちて「治療のためにアゴに管を通したのでその影響かも」と言われていた。まるで東京のお母さんのように藤波をかわいがっていた、ベテランの女性社員が「だから独特の呼吸法だし、歌も得意ではないのよね。あまり歌わせたくないの」と心配そうだったのを思い出す。 機嫌の良い時には、よく鼻歌を歌っていた藤波。メキシコ遠征経験もあるからか「ラブユー東京」をスペイン語で口ずさんでいたが、人気テレビ番組「水戸黄門」のテーマに聞こえたこともある。 令和の若いレスラーも「マッチョ・ドラゴン」は知っている。ある団体のＬＩＮＥ ＬＩＶＥでカラオケが話題に上がると「マッチョ・ドラゴンを歌って」とコメントが届いた。２０代前半の選手は「いや、藤波さんに失礼です！」と即座に過剰反応。やはり都市伝説は存在していた。 ３７年の時を超え、稲妻が闇を裂くように蘇った「マッチョ・ドラゴン」。デビュー５０周年を超え藤波は６８歳になったが生涯現役を貫く決意を固めている。いつまでも雄姿そして美声を披露してほしい。＝文中敬称略 （プロレス解説者・柴田惣一）
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