プロ野球北海道日本ハムファイターズの「きつねダンス」が今シーズン、一大ブームを巻き起こしている。１９日には原曲「Ｔｈｅ ＦＯＸ」を歌うノルウェー在住の兄弟ユニットＹｌｖｉｓ（イルヴィス）を招いた初の「きつねダンスＤＡＹ」を札幌ドームで開催。集まった約３万６千人のファンが沸いた。きつねダンスの魅力に迫った。
きつねダンスは日ハム球団のチアリーディングチーム「ファイターズガール」や選手たちの踊る様子が話題となり、今や全国でブレーク中だ。
発案したファイターズガールディレクターの尾暮沙織さん（３５）によると、きっかけはキタキツネをモチーフにした球団マスコット「フレップ・ザ・フォックス」（通称フレップ君）のキッズ向けパフォーマンス探し。約２年前に楽曲を見つけ出し「耳になじみやすいメロディーで『これだ！』と思った」と振り返る。
ただ、当時は新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大し始めた時期で温存せざるを得なかった。今年１月の新庄剛志監督就任と、球団ロゴやユニホームを一新するタイミングに合わせて提案し、３月の開幕１週間前に採用が決まった。そして原曲の踊りを参考に振り付けを考えた。
「大切にしたのはスタンドで座りながら一緒に踊れること」と尾暮さん。初めて見た人もすぐに踊れるよう工夫。ファイターズガールには「１日で覚えてもらいました」と急ピッチで準備を進めた様子も明かす。
初めて球場で踊ったのは３月３１日の開幕第３戦。球場内の反応は「シーンとするほど無反応な感じ」と苦笑い。その後、キツネの耳や尻尾のアイテムを着けるなどキャラクター性を高めながらダンスを続けたという。
人気爆発のきっかけになったのは動画投稿サイト「ユーチューブ」だ。北海道日本ハムファイターズのチャンネルに投稿したファイターズガールのダンス動画が最初の話題になった。
その後、５月１２日に「【噂のきつねダンス】俺たちはみんなと踊りたい」のタイトルで投稿した松本剛、石井一成、浅間大基、今川優馬、清宮幸太郎、野村佑希、田宮裕涼の選手７人が踊る動画が起爆剤となり、動画閲覧数が一気に加速。９月２２日時点で「俺たちは―」の動画は約４２０万回という異例の視聴回数を数えた。
反響は大きく「始球式に来ていただいた女性アイドルが『一緒に踊りたい』と球場グラウンドでのダンスに参加してくれたり、対戦チームの選手がベンチで踊ってくれたりしている。まさかこれほどトントン拍子で進むとは思っていなかったので、ありがたい思いでいっぱい」と尾暮さんは感謝の思いを語る。
ファイターズガールの人気にも火が付き、球団が郵送で受け付けていたサインは「以前は月に１、２件程度だったが、２カ月前から１日５０件ぐらい届くようになった。対応が追い付かず今シーズンは９月２２日到着分で受付を終了しました」という。
札幌ドームで行われた「きつねダンスＤＡＹ」では千葉ロッテマリーンズとの試合前の約２０分間、ノルウェーの兄弟ユニット・イルヴィスが原曲「Ｔｈｅ ＦＯＸ」を歌い、ファイターズガールらが特別バージョンのダンスを披露した。
スタンドで一緒に踊るファンの姿も多く、札幌市内から母親と観戦に来た酒井千冬さん（８）は「きつねダンスが大好き。踊れて楽しかった」とにっこり。球場で観戦する機会が多いという札幌市の会社員、星野英里子さん（４７）は「今日は観客数が多い感じ。この盛り上がりを選手も感じていると思う」ときつねダンス効果を強調していた。
日ハムファイターズは来年３月に北広島市で開業する新球場「エスコンフィールドＨＯＫＫＡＩＤＯ」に本拠地を移転する。尾暮さんは「新球場になれば雰囲気ががらりと変わる。新しい取り組みを進めながら、その中できつねダンスがファイターズの名物みたいな感じになってほしい」と思いを語る。
選手と一丸で盛り上げて全国的な人気に広がったきつねダンス。「新庄監督も一緒に踊ってくれるのが、今の私の一番の夢です」と笑顔を見せた。（坂本隆浩）
■Ylvisを招いた「きつねダンスＤＡＹ」（パーソル パ・リーグTV公式）
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