ロシア人は戦争をしたいか 反戦歌「シンク・アゲイン」 <さんいん洋楽愛好会> – 山陰中央新報社

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 ロシアのウクライナ侵攻後、ほこりをかぶっていたCDを棚から引っ張り出してきて聴いた。米国で活動したフォークの3人組ショー・オブ・ハンズ(SHOW OF HANDS)が1989年に歌った「シンク・アゲイン(THINK AGAIN)」だ。
 Do you think that the Russians want war?(ロシア人は戦争をしたがっていると思うかい)と平易な英語で語りかけるように始まり、彼らロシア人は第2次世界大戦で子を失った親たちであり、親を亡くした息子たちや娘たちであること、その大戦で私たち(英国や米国)の側で戦ったロシア人はナチによって2千万人が死んだこと、大戦の死者の3人に1人はロシア人であったことを歌う。そして、取り返しのつかないことをする前に、考え直してほしい(シンク・アゲイン)と請う。
 英国スコットランドのシンガー・ソングライター、ディック・ゴーハン(Dick Gaughan)が81年に作った歌で、核戦争が心配された東西冷戦のさなか、ソ連と対峙(たいじ)する西側の指導者に平和的な解決を訴えた。「取り返しのつかないこと」とは核のボタンを押す行為である。ゴーハンは自身のホームページにこの歌を作った時のことをこう記す。レーガン米大統領とサッチャー英首相は「冷戦」という言葉を巧みに用いて自身の人気を高めようとしていた、と。そんな状況下で、米英の指導者に「考え直せ」と呼びかけた。いわゆる反戦歌。プロテストソングの一種だ。
 これをカバーしたショー・オブ・ハンズは米カリフォルニアを拠点とした男2人女1人のフォークトリオ。トレイシー・チャップマンを世に送り出したデビッド・カーシェンバウムのプロデュースによるデビューアルバム「ショー・オブ・ハンズ」に収録した。結果的に唯一となったアルバム。3人それぞれが自作した9曲はどれも聴かせるが、白眉は最後を飾る「シンク・アゲイン」。アコースティックギターのみのシンプルな伴奏に3人のハーモニーが美しい。テンポの速いディック・ゴーハンの原曲よりも胸に迫るものがある。
 この歌が生まれてから40年余り。東西冷戦は89年の米ソ首脳による終結宣言で幕を閉じたが、今になって戦争を始めてしまったロシアの為政者に「シンク・アゲイン」と言いたい。もうこれ以上、人を死なせないで。核兵器なんて言語道断。国民の多くは本心では戦争など決して望んでいないはずだ。平和を望む人々が国境を越えて手をつなぐことができないだろうかと思う。
 反戦歌といえば、同じ男2人女1人のフォークトリオ、ピーター・ポール&マリーもベトナム戦争が起きた60年代に歌った。出征によって引き裂かれた男女を描いた「悲惨な戦争」や「虹と共に消えた恋」、兵隊はどこへ行った? 墓場へ行った|と歌う「花はどこへ行った」を併せて聴く。(洋)
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