Quubi 確かな成長と変化、飛躍した未来を感じさせた初のバンドセットワンマンをレポート – http://spice.eplus.jp/

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Quubi
昨年デビューから1年、これまでに相当な数のライブを積み重ねてきたQuubiが、10月10日に梅田クラブクアトロにて開催された「Quubi Nine Tails Tour 2022」のファイナルワンマン公演において、初のバンドセットライブを繰り広げた。
2年目の活動が始まったばかりでのバンドセットライブはなかなか早いペースだと言える。しかしこれは展開を焦っているというよりも、結成時からこのタイミングでの披露を目指していたと考えるほうが自然かもしれない。それぐらい納得のいく流れで、ファンとしても違和感はなかったはずだ。
アイドルのバンドセットライブは当然珍しくはない。しかし、QuubiバンドにはDJがいる。これは非常に珍しい。バンドを編成するにあたって、プロデューサーが最もこだわった点だという。確かにDJはQuubiサウンドの特徴のひとつであり、欠かせないパートだ。
さらに、この日Quubiのメンバー4人は初めてイヤモニを付けてのパフォーマンスとなった。ステージ前面に設置されているモニタースピーカーからの音ではなく、各自装着したイヤホンからバンドの音を聴くというのは難しいもので、どの音を耳に返すかによってパフォーマンスに大きく影響する。自分はリハから参加していたのだが、4人とも特に戸惑っている様子を見せていなかったので、この日が初めてだとは思わなかった。それぐらい彼女たちは自然と使いこなしていたのである。
Quubi
開演直前、場内は多くの観客で埋め尽くされていた。派手な宣伝の仕掛けがなくともライブの力だけで300人以上の観客を集めたことは称賛に値する。
オープニングSEは荘厳なストリングスから始まり、狂想的なぶっといダンストラックへと展開し、それに合わせてバンドメンバー、続いて4人が登場する。そして、すぐさま1曲目の「Survivor」を叩き込んだ。切り込み隊長の村上華花が叫ぶ、「Nine Tails Tourファイナル、梅田クラブクアトロはじめようぜー!」
村上華花
パフォーマンスが始まって真っ先に気づいたのは、4人のダンスのキレ。自分の記憶に残っていた動きとまったく違う。大げさに言うなら、残像すら見えるような切れ味だ。自分が前回彼女たちのライブを観たのは6月の渋谷eggmanワンマン。あれからそこまで時間は空いてないはずなのに、いつの間にかこんなグループになっていたかと心底驚いた。
しかも、途中でちょっとした休憩とショートMCを挟みつつも場の流れを止めることなく9曲連続で楽曲を畳み掛けるんだからすごい。バンドセットということもあり、曲間に自由なグルーヴを持たせられるので、音源によるパフォーマンスに比べて断然勢いが違う。当然、音の迫力もすごいのだけど、いい意味で驚きや新鮮味をまったく感じなかった。当たり前のようにそこに音があった、とでも言うんだろうか。あるべき場所にあるべき音が鳴っていたのである。バンドの音と4人のパフォーマンスも分断されていないし、事前に十分なリハーサルと話し合いがあったことが瞬時に伝わってきた。この「当たり前のこと」ができているのが非常に大きい。ライブ終了後、新たなバンドセットツアーが発表されたのだが、そこまで見据えているからこその仕上がりだと言える。ただ闇雲にライブを重ねているわけではない。まだ見ぬ頂上を見据え、斜面をしっかり踏みしめ、チーム一丸となっている。もっとも大事なのは4人のパフォーマンスであることに変わりはない。しかし、ひとつひとつの小さなことの積み重ねが彼女たちの一挙手一投足に現れることを考えると、現時点でチームQuubiは非常に上手くいっていると断言できる。
鈴猫りさ
バンドの話が先になってしまったが、やっぱり4人がすごい。まず、歌に関しては鈴猫りさと村上の2トップというイメージだったが、最早そうとも言い切れない。川原みなみと藤宮紬も大きく力を伸ばしているのだ。
Quubiの特徴のひとつであるラップも藤宮のキレが印象に残っていたが、川原のレベルも相当上がっている。特にこのふたりがユニゾンでリリックを吐き捨てる場面のシンクロ率の高さは鳥肌モノ。声のトーン、長さ、呼吸、リズム、すべてが合っている。「Break of dawn」「G.O.A.T」で特にそれが顕著だった。藤宮のラップはいい。なぜあそこまでキレ味鋭いラップを繰り出せるのか不思議に思っていたら、彼女は以前からFall Out Boyなどの洋楽に親しんでいたらしく、そのおかげで英語表現に耳が慣れているそうだ。もともと持っていた才能がQuubiで花開いたのだろう。
Quubi
前述のとおり、川原が引っ張っていたダンスにも3人が食らいついている。満1歳のグループの中で繰り広げられる切磋琢磨がこうもイキイキと感じ取れるのはとても気持ちがいい。
感情むき出しの迫力ある歌声が魅力の村上は、前半戦の曲頭で煽りを頻繁に挟み込むことでステージ全体に勢いをつかせ、観客の意識をグッとステージに引き付けた。しかも、「みんな、調子どない?」とか「もっともっとイケるんちゃうんかー!」のように関西弁丸出し。自然体だし特徴的なのでとてもいい。
この日初披露となった「Pride of us」はロングセットでは非常に効果的。前のめりに攻めてきたところで三味線を取り入れたミドルナンバーを挿入することで展開をつくり、パフォーマンスに深みが生まれていた。ここから「Horizon」へと続く流れは美しかった。
川原みなみ
全身バネのように踊る川原が弾けたのは「Pump It」。曲中のソロダンスで彼女はダイナミックに躍動した。Quubiのダンスは全体的に彼女の特徴を活かしたもののようにすら見える。豪快でエネルギッシュかつ、キメが細かい。Quubiのスポーティなイメージは彼女によるところが大きいのではないか。
オールドスクールなサンプルネタを印象的に配したDJプレイとドラムによる「DJ×DR」とインタールードを挟み、後半戦へ。「G.O.A.T」を披露したあとは、この日初めてとなるロングMC。川原は緊張しすぎてライブ前に円陣を組むときに気持ち悪くなって座り込んでしまったと告白していたが、まったくそんなことを感じさせない。もはやこの4人に新人感のようなものはないのである。なんせ、この1年間で積み重ねてきたライブは160本以上。3日に1本以上のペースでステージに立ってきたのだ。緊張どころか、自分たちがこれまで歩んできた道のりにたしかな自信をもってステージに臨んでいるように見える。
藤宮紬
MCの雰囲気はとてもよかった。村上が中心となって場を回しつつも、テンポよく話者が変わっていくのが小気味いい。ほかの3人に比べると口数が多くない藤宮も、会場入り前に一蘭のラーメンを食べたことをボソッと告白して笑いをとっていた。川原が「お腹出ちゃう?」と尋ねると、「出ちゃうかも……」と嘔吐のジェスチャーでさらなる笑いをとる。
Quubiになる前は普通の学生でバンドをやっていたという村上は、こうしてステージ立っていること、メンバーと出会ったこと、ステージからたくさんのファンの顔を見られていることに驚いている、と話した。そして、「みんなのことを幸せにしたいと思ってるし、みんなが幸せなら私も幸せ、私が幸せならみんなも幸せというWin-Winの世界をつくっていきたい。これからもみんなの未来が少しでも明るいほうに、素敵なほうに進んでいけるように、自分たちらしい道を歩めるように」と次の曲に込められた思いを、彼女が4人を代表して自分なりの言葉で表現し、「Change my life」を披露した。こういう上手い導入をつくったからこそ、曲のメッセージをより深く我々は受け取ることができた。Quubiのパフォーマンスは楽曲の性質上キレに重きを置いてる部分が多いので、曲に込められた思いをわかりやすく伝えることは難しいが、彼女のように声や言葉に強さのある人間が話すことはグループにとってとても大きいことだと思う。
とは言え、それは基本的なパフォーマンスがあってこそ。感動的なミドルチューン「Lights」では鈴猫のボーカルが映えた。この曲だけでなく、ブレイク後のソロパートなどここぞという場面で登場する彼女のパートはこれまで以上に安定しているように感じた。安心感があるのだ。その次の「Blue days」は4人の歌の表現力が最も発揮された曲で、その中でも鈴猫の落ちサビはこの日一番の出来栄えだった。
Quubi
ラストに披露されたのは「DIVE YOURSELF」。最近、ラストにやることが多いそうだが、たしかにこの曲には最後にフロアを爆発させるポテンシャルがあると思う。ファンから人気があるかどうかではなく、自分たちの意志でセットリストの目立つ場所に配置することによって楽曲の力を知ってもらうおうとするのはとても意味のある動きだと思う。この曲は今後、様々な場所でもっと大きなうねりを生み出してくはずだ。ライブのラストでありながら、飛躍した4人の姿がパアッと浮かぶような、未来の予告編のように感じるエンディングだった。
終わってみればライブ時間は70分と少し。時間としては短いが、彼女たちの持ち歌のほぼ全てとなる16曲もの楽曲が披露された。全体的にテンポがよく、一人ひとりがゆっくり話をする時間はなかったが、1本のライブとしては非常に満足度の高いものとなった。渋谷でのワンマンのようにメンバーが涙を流す場面もなく、実に爽やかで、これがQuubiらしさなのかもしれないと思った。今後、九尾の狐のごとく、彼女たちはまだまだ形を変えていくとは思うが、今後の試金石となるような大きな意味のあるライブだった。来年2月に開催されるバンドセットワンマンツアーではさらに成長し、変化した姿を見せてくれるはずだ。

取材・文=阿刀"DA"大志 撮影=ヨシモリユウナ
ENDO
SPICEの何でも屋 a.k.a いっちょかみ。マネジメント、レーベル運営、A&R、プロデューサー、ディレクター、制作、キャスティング etc。やる気の感じられない見た目に反して音楽・エンターテイメント業界への愛は深いが、新しい才能を見つけると見境なくなる病がたまに傷。
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