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「姫路」と聞いて、多くの人は何を思い浮かべるだろうか。００７シリーズにもゆかりのある世界遺産の名城、灘のけんか祭り、播磨灘のおいしい魚介類……。「音楽」はどうだろう。実は姫路市は〈音楽のまち・ひめじ〉を名乗っている。いったい、なぜ？ その真相を追ってみた。（田村創）
９月下旬、ある日の夕方。ＪＲ姫路駅中央コンコースに置かれた「ストリートピアノ」を女子高校生たちが囲み、ポップスやクラシックを弾き始めた。
彼女らに「姫路は『音楽のまち』」と伝えると「知らんかった！」「何で？」の声が返ってきた。実はピアノの設置も「音楽のまち――」の取り組みの一環だ。
いつごろからこのフレーズが使われるようになったのか。
本紙では、２０１６年１０月の紙面で初登場。１７年２月には姫路市の新年度当初予算案で「『音楽のまち・ひめじ』の推進（５７００万円）」とある。
「もともとは、前任の市長の発案なんです」。市文化国際課の担当者が教えてくれた。
前市長の石見利勝さん（８１）が、国宝に指定された城があることが縁で姉妹都市提携している長野県松本市を訪問。世界的な指揮者・小沢征爾さんが監督を務めるフェスティバルを聴き、「姫路でも同じようなものを」と提案したことが出発点とされる。
１７年度からはプロジェクトが本格的に動き出す。姫路城や市の鳥・シラサギ、音符などをあしらったロゴマークを作成。１８年には市民らが音楽やダンスを披露する「姫音（ひめおん）祭」が始まった。
中核を担うのは０７年に赤穂市で始まった「ル・ポン国際音楽祭」だ。
バイオリニスト・樫本大進さんが「欧州のように演奏家と聴衆の距離が近い音楽会を」と母の出身地の赤穂市に提案。翌年から姫路市も会場に加わった。国内外で活躍する演奏家が出演し、チケットは毎回のように完売に。新型コロナウイルス禍で３年ぶりとなる今年も両市で催された。
２０年度には、市文化国際交流財団と共催で、次世代を担う演奏家を育成するため、小学４年から２５歳までを対象に「ジュニアオーケストラ」も結成した。
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