フィルフリーク – Skream!

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INTERVIEW
Japanese
2022年11月号掲載
メンバー:広瀬 とうき(Vo/Gt) ゆっこ(Key/Vo) ツカダユウキ(Ba) 小竹 巧(Gt)
インタビュアー:藤坂 綾
2022年1月から”4つの恋のはなし。”をテーマに「スレチガイ」、「ブルーライドレター」、「Lala」、「KOIがハジマル」を4ヶ月連続で配信リリースしたフィルフリークが、その番外編として発表した「アオに浮かぶ」を含む、3rdミニ・アルバム『STORY STORE』を11月2日に発売する。5月にギタリスト、小竹 巧を新メンバーに迎え新体制となった彼らが届けたかったもの、伝えたかったこととは――リアルな姿が浮き彫りとなったこのミニ・アルバムについて、メンバー4人に話を訊いた。
-3枚目のミニ・アルバム『STORY STORE』、かなりの手応えを感じてらっしゃるかと思いますが、完成されて今のお気持ちはいかがでしょうか。
ゆっこ:今回、全国流通の3枚目になるんですけど、今まで出してきた2枚に比べると自分たちでいろいろとやることが多くなったミニ・アルバムだったなと思います。そのうちの4曲(「スレチガイ」、「ブルーライドレター」、「Lala」、「KOIがハジマル」)は完全に自分たちで映像を作っているので、新しい挑戦ができたという意味でも思い入れの強いミニ・アルバムになったかなと。そういういろんなことを含めて、今できることを最大限に出したミニ・アルバムになったと思います。

ツカダ:8曲のうち5曲にMVがあって、MVになっていない2曲(「深海ブランコ」、「NAMI」)はタイアップをいただいて、残り1曲(「ロクドロクブ」)がリード曲というすべてがメイン・ディッシュで食べ応えがあるというか、すべての曲が自信のあるものになっているので、非常に満足度の高いミニ・アルバムができたなって感じですね。

小竹:僕は今年の5月20日に加入したので、自分にとって初のアルバムになるんです。全国流通というのも初めてだし、テレビのタイアップも初めてで、初めてが詰まったミニ・アルバムなので、たぶん誰よりも思い入れが強いんじゃないかと思います。


-そうでしょうね。
小竹:それでいて、ミニ・アルバム8曲すべてが日の目を浴びるというか、全曲が代表曲になりうるようなアルバムになっているので、そこも良かったなと思ってます。
-広瀬さんはいかがです?
広瀬:先にシングルとして配信されている5曲があって、今回はその5曲を含む8曲からなるミニ・アルバムなんですけど、その5曲を超える曲を書かなくちゃいけないと感じていたのと、どうやってミニ・アルバムの統一性を図るかってところで、とにかく時間がかかったというか、時間をかけて作りました。なので、できたときはホッとしましたね。
-かなり苦労されたんですか。
広瀬:はい。1曲目の「ロクドロクブ」を書き上げるのに、31曲書きました。
-そんなにですか。
広瀬:こうじゃない、ああじゃない、これじゃダメだを30回繰り返して、やっとこれでいこうって曲が最後の最後にできて。やっぱりシングルの5曲にどうしても勝ちたいっていう想いが強かったんですよ。最初は1曲くらいすぐできるかなと思ったんですけど、気づいたら31曲になってました。
-そもそも今年の1月から、”4つの恋のはなし。”としてシングルを4ヶ月連続リリースしてきた理由というのは?
広瀬:例えば小説を書いてみたり、短編映画を作ってみたり、Twitterで観られるような簡単なショート・ドラマを作ってみたりってことをやりつつ、そこで音楽も一緒に届ける。そういうことをやってみたい想いが僕の中にずっとあって。でも1本だけだとやり切れないから4本、今回は”4つの恋のはなし。”というコンセプトを決めて、連続リリースで出すことにしたんです。でも、僕個人的にはこの4本のリリースが決まったときに、すでに『STORY STORE』というミニ・アルバムを作りたいと思っていて、4曲ができた頃にはミニ・アルバムの構想は頭の片隅にありましたね。
-具体的にそれはいつ頃なんですか?
広瀬:まずこの4曲は同時にできてたんです。去年にはもう作っていて。そこから「アオに浮かぶ」を、ちょっと間を開けてリリースするときに、どういう見せ方をしようかと考えていました。で、この曲は”4つの恋のはなし。”の5つ目として作りたいなと思ったんです。

-”4つの恋のはなし。”の5つ目、というのは?
広瀬:僕、そういう演出みたいなものがすごく好きで。僕ら5月20日に下北沢シャングリラで”4つの恋のはなし。”の企画イベント(”4つの恋のはなし。リリース記念イベント『恋のフィル騒ぎ』最後の企画。”)をやったんですけど、そこで、ライヴの最後にお客さんをわくわくさせる仕掛けをしたいなと思っていて。どんな仕掛けかというと、”4つの恋のはなし。”はこれで終わりか……ってところで会場を真っ暗にして、”4つの恋のはなし。5つ目”って語りから5つ目がスタートするみたいな仕掛けをしたくて。だって、わくわくしません? “わー、きたー! 終わりじゃなかったー! 5つ目!”って(笑)。単純に僕が好きなバンドがそういうことをやってくれたら、絶対わくわくするなと思ったんです。
-今、お話を聞いてるだけでわくわくしました。
広瀬:ですよね。で、なんで”4つの恋のはなし。”じゃないんだろう。なんで5つ目が存在するんだろうっていうところからきっと歌詞のひもときにもなるし、ファンのみなさんが喜んでくれる要素がもっともっと増えるなと思ったんで、5つ目は絶対に作ろうと。で、5つ目を作るんだったらアルバムにしたいよなっていうことを今年の2~3月頃には考えていて、シャングリラの終わった6月頭頃から実際に作ろうとなり、他の3曲を書き始めたんです。
-タイトルももうあったとおっしゃってましたが、どういう想いを込めてなんですか?
広瀬:どの曲もわかりやすいストーリー性のある楽曲にしたいと思っていて。シングルですでに5つの恋の曲が出てしまっているので、最初は8つの恋の話にしようかとも考えたんです。でもそれだとフィルフリークの良さを出し切れない、恋だけじゃなくて愛を歌うのも僕らだよなって。でも、まず5つの話がある時点で”STORY”か”話”という言葉は入れたいなと。そのときちょうど僕が好きなバンドがサブスクに出ていて、僕はアルバムで聴いてたんですけど、友達は好きな曲をプレイリストにまとめてっていう聴き方をしてたんですよ。そこから、自分たちのミニ・アルバム8曲を連続で聴いてほしいというのは結局バンドのエゴだし、ほんとに好きな人はきっとアルバムで聴いてくれるだろうってところを信じて、もうそれぞれ勝手につまんでくれと。あなたが好きな曲をつまんで、あなたのプレイリストに入れてもらえるだけで嬉しいし、選んでくれっていう意味で、この”STORE”を付けたんです。なので、”8つの話からあなたの好きな話を選んでください”という意味でこのタイトルを付けました。
-だからこそ、こういう一曲一曲がとても強いミニ・アルバムになったんじゃないですか。
広瀬:それはあるかもしれないですね。

ゆっこ:何度も聴いて、結局全曲出会うんだろうねって。

広瀬:1曲聴かせることができたらそれが2曲目に繋がって、そこからどんどん聴いていって、半年後にはアルバムの曲順でまるっと聴いてる人が増えてくれたらいいなって、そういう願いみたいなものもあります。だから1曲でももちろん勝負できるし、1枚通して聴いたらこの曲の並びの意味なんかもあるし、どっちも取ってやるって。
-今作は人間臭さに加え、リアルさがよりいっそう増した気がしました。それはこれまでのフィルフリークに加えて、”恋”をテーマにしたシングルの存在があったからなのかなとも思ったのですが。
ゆっこ:これまではフォーカスを当てる場所が広かったんですよね。だけど今回はテーマを絞って書いているので、よりリアルさが増したんだと思います。”え? これは実体験ですか?”みたいな(笑)、曲を聴いてるだけで映像が浮かぶような。そういうところがリアリティがあって、人間味が増したんじゃないかなって。
-特に「スレチガイ」とか、やりとりがめちゃめちゃリアルで。
広瀬:「スレチガイ」を作ったとき、バンドがよりレベルアップしたというか、自分らの特技がわかった気がしたんです。これまでもある程度はリアルを書こうとしてたんですけど、男声と女声があるというところをこの曲でものすごくうまく生かせたかなと思っていて。だからこの曲ができたときはメンバーもスタッフも”あ、もう売れたわ、俺ら”って(笑)レコーディング終わってみんなで飲んでましたから。

ゆっこ:今までフィルフリークって、○○っぽいとか、ジャンル分けされにくい立ち位置だったんですよ。ギター・ロックでもあるしピアノ・ポップでもあるし、両方兼ね備えてるから、フィルフリークのジャンルっていったいどこなんだろう? って、たぶんみんなわからなかったと思うんです。だけど、せっかく私たちは男女の声があるんだから、その声をリアルに伝えようよってこの曲ができて、やっとフィルフリークはフィルフリークですって、この曲で確立できたなという気持ちはありますね。

ピアノとヴォーカルで始まり、すぐさま躍動感溢れるバンド・サウンドへとなだれ込む「ロクドロクブ」。この曲ができあがった瞬間このミニ・アルバムは産声を上げた。”4つの恋のはなし。”から始まったフィルフリークの8つの話は、どれもリアルで、凄まじい生命力を持っている。バンドの存在を確立させたという「スレチガイ」では、広瀬とうきとゆっこの交差する歌声が不安定な景色を見事に表し、胸を締めつける。「KOIがハジマル」ではポップに恋のドキドキを描き、最後は「NAMI」。ここに描かれるのは広瀬自身の話であり、そしてそれはバンドの話へと繋がっていく。ドラマチックで人間臭くて、不器用だけど何かをずっと信じていて、そんな正直すぎる彼らの8つのストーリーは、今現在の彼らのようにどれもが力強く輝いている。(藤坂 綾)
“二面性”がテーマの2ndミニ・アルバム。二声の甘酸っぱさが際立つ「真夜中の交差点」、ポップで爽快な「Be Kind」と頭2曲はこのバンドらしさ全開だ。一方、広瀬とうき(Vo/Gt)が憧れの人に宛てた「1970」の生々しい筆致、オルタナ色の強い「道端日和」で”裏”を見せつつ、広瀬とゆっこ(Vo/Pf)の共作曲「ワンルームヒストリー」、転調を盛り込んだ「キャンディー」と、新しい側面を印象づけることも忘れない。聴き進めるほど深層へ踏み入れるような感覚になる。人の心の混沌を認める7曲を締めくくるのは、”朝が来て/夜を待つ/また朝が来て/夜を待つ”(「朝日を待つ」)のフレーズ。”そういうもんだから大丈夫”と言ってくれる優しさに心が軽くなる。(蜂須賀 ちなみ)
ショート・チューン「強くなれる」から、シンガロングが目に浮かぶ「サイドストーリー」、広瀬とうきとゆっこのハーモニーが絶妙な「ホワイトストロベリー」と、序盤から聴きごたえたっぷり。そして、沸点が訪れるのが「eisei」。ドラマチックな展開とエモーショナルな歌声、宇宙まで発想を飛ばすロマンチックな感性と”あなたが今泣いていても/青い空は綺麗だ/だから夢を魅るんだ”という絶対的な励ましにいざなう歌詞。すべてが一体となって、フィルフリークの魅力を伝える。さらに、題材の妙が光る「ラッキーカラー」、シンプルな「青い風船」から、ゆっこの歌が堪能できる「マジシャン」という後半の流れも心地いい。完成度の高いポップスに人間臭さを内包した、多くの人にとって必要なバンドになることを予感させる1枚だ。(高橋 美穂)
“4つの恋のはなし。”から始まったフィルフリークの8つの話――あなたの好きな話を、あなただけのプレイリストに入れてください
日本の音楽で一番美しいのは、ネガティヴな人が書くポップスだと信じている
聴いてくれる人の日常に寄り添う音楽を鳴らしたい
2022.09.29 @渋谷duo MUSIC EXCHANGE
2022.03.01 @渋谷duo MUSIC EXCHANGE
2021.05.28 @渋谷TSUTAYA O-Crest
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