ワン・ヒット・ワンダー(一発屋) ビルボード・トップ100~1956年・その4~ さんいん洋楽愛好会 – 山陰中央新報社

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 ビルボードの年間ランキングについて、あれこれ記しているが、今回はちょっと視点を変えて、1956年中に一度は100位以内にランクインしたものの、年間Top50には届かず、一発屋となってしまった残念なタイトルとアーティストをいくつか取り上げてみたい。
 56年その2で取り上げたノベルティ・ソング。瞬間的に100位以内に入ったタイトルがもう一つある。オードリーという女性の”Dear Elvis”である。ひたすらエルヴィスに憧れる女性の気持ちを表現したもので、プレスリーへの愛情を手紙に認め、読み上げるというスタイルを取った。しかしながら、斬新な手法の「空飛ぶ円盤」や「輸血」に比べると新鮮味に欠けたためか、当時の評価はさほど高くはなく、チャートに初登場して1週間で87位になったものの、そこがピークですぐにランク外となってしまった。
 このシングルレコードもPart1のA面とPart2のB面からなっているが、筆者がカウントした限りでは19曲が使用されている(と思う)。その19曲も、この当時はやり出したロックンロールやR&Bというよりは、ポップス王道系のタイトル、例えばパット・ブーンの“I Almost Lost My Mind”、ペリー・コモの”More”、パティエンスとプルーデンスの「イチゴの片想い」などを多用している。他に「空飛ぶ円盤」にも登場するプラターズが4曲も使われていること、プレスリー本人の持ち歌は、最後の最後に部分的に3曲連続で挿入されていることが目を、いや耳を引く。この後、オードリーというアーティストがHot100に返り咲いたという記録はない。
 55年その1の「デイビー・クロケッツ」では3人のアーティストが同じ曲でチャートインしたことを紹介したが、56年も3組のグループが同じ曲でチャートインを果たした。しかし、55年ではすべてが年間30位以内だったのに比べ、56年の3組はどれも年間ではランク外となり、おまけに一発屋との評価を受けてしまったグループばかりだ。
 英語でワン・ヒット・ワンダーといわれる一発屋とは、1曲だけで人気を博し、その後は一般大衆からは忘れられた存在になったエンターテイナーのことを言う。主に音楽業界で使われる表現で、1人もしくは1組がそのような状況に陥ってしまう事態は数々あれど、一つの曲を競作した3組が全てそのような結果となってしまうことは珍しいかもしれない。
 この不名誉な評価を受けてしまったのは、ピークで16位のキャデッツ、18位だったジェイホークス。そして39位のギャダバウツである。曲のタイトルは、”Stranded in The Jungle”といい、元々はジェイホークスの持ち歌だった。一般的にはキャデッツの盤で知られているが、スリー・コードの典型的なR&Bで、ラップとまではいかないまでもヴァースとは異なるリズムをバックに語りのフレーズを挿入しているのが特徴だ。
 キャデッツは前年にジャックスという名前でワン・ヒット・ワンダーとなっていて、ジェイホークスの場合はこの後、ヴァイブレーションズ、マラソンズと名前を次々と変え、その度にワン・ヒット・ワンダーと呼ばれた。米国のエンターテイメントの業界では、個人にしろグループにしろ名前を頻繁に変えるということは決してレアではないので、チャートを眺める身にとっては、実に分かりにくくややこしい。
 以上は、年間Top50のランク外の話だが、チャートの上位に食い込めればワン・ヒット・ワンダーにならなくて済むのかというと、もちろんそんなことはない。56年の年間Top50に入ったものの、後年ワン・ヒット・ワンダーと呼ばれるアーティストは、少なくとも4組存在するといわれている。66年たった後も相変わらずこのような評価を受ける、というのは少し気の毒にも思うが、あえて紹介してみることに。仏心をお持ちの洋楽ファンは、ぜひとも聴いてみてほしい。
カール・パーキンス(年間18位’Blue Suede Shoes’)
ジョージ・ケイツ(年間31位’Moonglow and Theme from Picnic’)
キャシー・カー(年間32位’Ivory Tower’)
スタンフォード・クラーク(年間42位’The Fool’)
  (オールディーズK)
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