Rei – Skream!

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INTERVIEW
Japanese
2022年05月号掲載
インタビュアー:石角 友香
藤原さくらやCHAIといった友達から、音楽人の大先輩 細野晴臣や渡辺香津美、そして現行の海外音楽シーンのキーマン、Cory Wongらをひとつのアルバムに束ねてしまうミュージシャンって誰だ? と、国内外から注目されてもおかしくないReiのコラボレーション・プロジェクト”QUILT”。同名のタイトルを冠したアルバムがリリースされた。ルーツであるブルースに加え、ファンク、ヒップホップ、ニューエイジ的なアレンジまで、彼女の持ち味がコラボによって、さらに突出した印象も。何より共演者への深いリスペクトが、今日的且つ誠実な楽曲に帰結していることが清々しい。ツアーも間近なReiに本作について訊いた。
-このアルバムの率直な感想はなんか愛と栄養たっぷりっていうもので。
素敵な感想ですね。ありがとうございます。
-そもそもコラボレーションをスタートした動機はどんなところにあったんでしょうか。
私はブルーズという音楽が大好きで、それもあって音楽フェスやイベントでたくさんジャム・セッションをさせていただく機会がこれまでありました。ライヴの瞬間的な交流というのもすごく楽しいのですが、せっかくそうやってステージでお友達になったミュージシャンの方々と、 作品も一緒に作ってみたいなという思いは前々からありました。なので、これまで交流を持たせてもらったミュージシャンの方々にお声掛けしました。
-コラボレーターが多彩で、結果的にすごく今年っぽいなと思いました。まず冒頭のRyohuさんとの「QUILT with Ryohu and Friends」は、Ryohuさんのラインもぐっときますよね。
そうなんです。今回作った中では実は最後にできた曲なのですが、曲調がめまぐるしく変わる構成になっています。ファンク、トラップ、ロック、ジャズとか。いろんな要素がごちゃまぜになっている曲なんですよね。このミクスチャー感はアルバム全体の空気感に似ているなって思ったので、曲が完成してから表題曲にしようと決めました。Ryohu君には歌詞そのものというよりはエッセイのような形で、私がこのアルバムをどんなふうに思っているかとか、東京に出てきて10年間で培った音楽仲間との作品ということもあって、東京って街に対する思いを書き綴った文章を送らせていただいて。それをRyohu君がラップにしてくれました。

-”オレとReiが織りなす”以降のラップにグッときて。閉店してしまった下北沢GARAGEの名前も出てくるし、泣けます。
固有名詞がいっぱい出てくるのって、ヒップホップっぽいなというか。スペルアウトして”It’s me アールワイオーエイチユー”とかマイクチェックで言うんですよ。そのマナーが新鮮に感じました。
-この曲はReiさんも結構ラップしてますよね。
そうなんですよ。前から言葉をリズミカルに詰め込むのは好きだったのですが、本格的にラップをすることはなかったので、フロウも教えてもらいながらレコーディングしました。
-で、このリズム隊がハマ・オカモト(OKAMOTO’S/Ba)さん、石若 駿さん(Dr)、渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz/Key)さんで。
今回のRyohu and Friendsの”Friends”はそのリズム・セクション、アルバムのハウス・バンドを務めてくださった方々の総称としてお呼びしています。
-歌詞の話に戻ると、こうして固有名詞として残ることはいいですね。
はい。私もこういうふうにとても思い入れのある場所だったり、カルチャーだったり、コミュニティを音楽としてパッケージできたのは感慨深かったです。私たちは山下達郎さん、竹内まりやさん、大滝詠一さん、細野晴臣さん、松本 隆さん、呉田軽穂(松任谷由実)さん、その一帯のコミュニティがうらやましかったりするじゃないですか。こんなに才能がある人が東京に集まって音楽をしていた時代があったんだっていう。そういうまなざしで誰かに見てもらえたらいいなと思っています。
-それこそハマさんや石若さんのように、様々なジャンル、アーティストと共演して新しい作品を作っているミュージシャンが当てはまるような。
まさにそうです。今回”音楽景色を描きたい”っていう自分の中での裏テーマがありました。私っていう個の存在をどんなふうに世の中に広めていくか、に焦点を当てて作品を作っていたのですが、今作はいろんな要素が詰め込まれていて、それを引きで見たらひとつの街を描いた絵画になっているような音楽景色を描きたい気持ちは強かったです。
-納得です。全部カッコイイですけど、CHAIは意外でした。
そうですか? 前からずっと友達なので私たち的にはめちゃめちゃ自然で、すでに作品でコラボレーションしている(1stアルバム『REI』収録曲「Follow the Big Wave」)ので、今回2回目ということで、和やかな制作でした。
-今回のこの楽曲の雰囲気は、最近の彼女たちのあのエレクトロニックな雰囲気とも、生楽器だけに寄せているアレンジとも違いますね。
もともと生演奏とかロックっぽいところとかも要素として強いバンドだと思いますが、最近では海外へのアプローチっていうことも含めてなのか、打ち込みと生演奏の掛け合わせみたいなアレンジも多くて。せっかく一緒にやるんだったら、今彼女たちが興味のあるそういうサウンド像にしたいなって思っていたので、ドラムはユナちゃんと一緒に録音させてもらって、ギターや歌はオーガニックですが、それ以外のものは打ち込みで作っていきました。
-ユナちゃんはパワー全開、叩くぜ! っていう気持ちが伝わるドラマーで。
風通しのいい、気持ちのいい人で。彼女と一緒にいると、自分が意地の悪いことを考えているのが恥ずかしくなるぐらい、まっすぐで明るい人です。それを無理してない感じで体現しているので、その風通しの良さがプレイに表れていいなと思います。
-この女子が集まってワイワイやってる感じはなかなかほかの人には出せないですね。
私も交ぜてもらって楽しかったです。あんまりそうやって女の子同士でわちゃわちゃした経験が希薄なので、映画の世界に入ったみたいな感じでした。すごく生き生きしているのがいいなぁって思います。好きなものとか、好きな音楽、ファッションとか食べものとか、好きなものに対してのその目の輝かせ方みたいなのはすごくスペシャルですね。見ているだけで元気になります。
-しかもすごく褒めてくれるじゃないですかあの人たち。
たしかに。でも、それが含んでないですよ。含んでないし、あんまりこんなこと言ったら怒られるかな。たぶんあんまり何も考えてない(笑)。
-でも言われるとすごく上がりますよね。
上がりますよね。それに、”あ、このぐらいのテンション感で生きていても許されるんだな”って、少し楽になります。彼女たちの音楽って自己肯定感を高めてくれるポジティヴな音楽だと思います。一緒にいると、そんなにストイックに生きなくても大丈夫なんだっていうふうに、肩をほぐしてもらえるような女の子たちです。
-だからこの曲も別にエンパワーメントしようみたいな感じはなくて。
そうかもしれません。別にパンイチでNetflix観る日もあるし。職場では”私サラダチキン食べるんだ”とか言いながら、帰り道にケンタッキー買って帰る日もあるし。別に女の子ってこんなものだよねみたいな、ちょっと毒っ気が入っているのもCHAIっぽくていいなと思います。
-そして、Cory WongはVULFPECKやソロ、Jon Batisteとのコラボなどで大活躍のギタリストですが、どういう縁なんですか?
インスタでDMしました。”一緒にやろう”って言って”いいよ”って言われて実現しました(笑)。ソロ作もすごく好きで「The Optimist」という曲があるのですが、すごく好きですね。VULFPECKももちろん大ファンで、世の中に出てきたときから熱烈に聴いているので、憧れの人っていう感じで。でもまさか海外の方と繋がれると思ってなかったですが、まぁ話し掛けるのはタダかなと。そしたら一緒にやれることになりました。
-そのときは音源のリンクを貼ったりして送ったんですか?
そうですね。”こういう音楽をやってるんだけどもしよかったら一緒にやらない?”みたいな感じで。
-さすがミュージシャン同士の話は早い。
どうなんですかね? でもすごい時代だなと思いました。気軽で。そしてコロナ禍で、リモートで録音するとかいうのも、結構ニューノーマルになりつつあるようなタイミングだったので、それもあったかなと思います。
-今回2曲コラボしてますけど、「TAKE A BREAK with Cory Wong」は攻めたファンク・ナンバーで。
「TAKE A BREAK with Cory Wong」は管楽器を入れたことによって、かっこ良さに磨きがかかりました。この曲も「BPM with Cory Wong」も、マイペースに生きようよっていうようなテーマの曲で。ワークライフ・バランスみたいなのって良くも悪くも欧米はすごく重要視しているのだと、Coryと関わりながら感じました。私の視点でしか話せないですけど、日本でエンターテイメントの業界で働くのは、自分の私生活を犠牲にしながらやらないと勝ち抜いていけないような、過酷な世界だと感じます。アメリカで同じミュージシャンの働き方が全然違うのとかを目の当たりにすると、そういったトピックについて考えざるを得なくて、自然とこういったテーマの曲になりました。
-たしかに働き方は全然違いますね。
夢を追いかけることは生き甲斐ですし、望んで働いていることは間違いありません。でも周りのみんなが同じ熱量で仕事に向き合っているわけじゃないだろうし、プライベートに愛情を注いでもっと時間を過ごしたいって思っている方もきっといるはず。でも仕事でやるうえで伴う責任感で理想的なバランスで働けない方もいると思う。時間が流れていてないがしろにされてしまうトピックスですけど、今一度、私も伝えたいと考えています。自分にとって幸せは何か考えて、周りに流されずに自分のセーフ・スポットっていうか、心と身体の安全を守る生き方をしていかなきゃいけないよねってことですかね。
-あと彼と一緒にやってる「BPM with Cory Wong」のほうはトリプル・ギターですね。
そうなんです。THE FEARLESS FLYERSっていうCoryがやっているバンドがあるのですが、そこのギタリストのMark Lettieriが参加してくれました。THE FEARLESS FLYERSも、Coryがやっているということもよくわからないうちにサブスクでオススメされて、カッコイイなと思って聴いていたら、Joe Dart(VULFPECK)とかがいるバンドだったので、そういうのが好きな方に聴いてもらえたらすごく嬉しいです。
-VULFPECKファン垂涎ですね。レーサーがチェイスしてるみたいな感じに聴こえました。
テンポが爆速じゃないのに細かいノリみたいなグルーヴを感じて、それによってスピード感があるなぁって思ったのがひとつと、もうひとつはもうミックスですね。もうミックスがアメリカらしいっていうのは送られてきたときの第一印象でした。
Rei が音楽仲間たちと織り成す、11色の魔法のカーペット=QUILTというキャッチフレーズ以上の驚きが詰まった、初のコラボ・アルバム。1曲目はRyohuのスピーディなラップはもちろん、トラップやファンクなど、めくるめくリズムの変化と強力なギター・ソロが幕開けにぴったりだ。藤原さくらや長岡亮介(ペトロールズ)とのコラボでは、オフビート気味のカントリー/グラス・ミュージック感が漂い、ミニマル・ファンクの雄であるギタリスト、Cory Wongとの2曲は最新のグルーヴ感、トリプル・ギターがチェイスするようなスリリングな展開も。また、こんなにかわいい(失礼!)細野晴臣の歌が聴けるのはこのコラボぐらいでは? と思わせる「ぎゅ」、ギタリスト同士の無言の対話が堪能できる渡辺香津美とのインストも豊穣の極み。(石角 友香)
ひとりの女性の様々な側面を楽曲の個性で際立たせた新境地を示す2ndアルバム。泥臭くファットなスライド・ギターと四つ打ちの「B.U.」で始まり、アコギで有機的なループ感を生み出す「Categorizing Me」、SOIL&”PIMP”SESSIONSとの”DEATH JAZZ”「Lonely Dance Club」ではハードボイルドなギター・ソロで唸らせ、話す声色より繊細な「Stella」ではシンプルでパーソナルなムードを醸成。ギターの音の良さとナチュラルなハスキー・ヴォイスが印象的な「Today!」、音数を絞って軽やかな歌のフロウが楽しめる「matatakuma」など12曲。強気で前進できる日もあれば静かに過ごしたいときもある。ただ大切にしたい人や感情、ものは離さずにいたい。そんな確かな気持ちになれる作品集。(石角 友香)
ギターと歌があれば戦えるReiが音楽的なレンジを拡張したひとつの頂点が前作『REI』だとしたら、本作は基本的に彼女とリズム隊のみのミニマルな編成が逆にスリリングな瞬間をいくつも切り取っている。ブルージーでハードなギター・リフから始まる「Territory Blues」に改めて彼女のルーツを感じつつ、リード曲の「Connection」ではモダンな生音と打ち込みのビートやラップ・ヴァースが新鮮。また、思わず息を止めて聴き入ってしまうアコギのリフ~ソロの熱量とタップ・ダンサーのパーカッシヴな靴音のみで構成された「DANCE DANCE」、ギター・サウンドのニュアンスでイメージを際限なく広げるほぼインストの「Tourbillon」など、まさに七変化。プレイヤーとしてもプロデューサーとしても音楽の自由さを表現している。(石角 友香)
キュートな見た目のどこからその強烈無比なビートを生み出してるのか? と思うほど本格的な演奏力と表現力豊かな歌声を持つギタリスト/シンガー・ソングライター Reiの4作目は、”CD+MUSIC BOOK”としてリリース。Reiがすべてのデザイン/編集を行ったというMUSIC BOOKには歌詞、楽譜、使用機材の記録などのほか、新進気鋭のフォトグラファー 信岡麻美が撮り下ろした写真なども収録。新曲4曲が収録されるCDは渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)、後関好宏、類家心平らゲスト・ミュージシャンを迎えて制作。チップチューンっぽい音が入ったりと、今作ではギターを前面に出すことなく遊び心のあるカラフルなポップ・サウンドを創り上げている。穏やかなメロディながら心境が窺えるラストの「Don’t Wanna Kill My Soul」にグッと心を掴まれた。(岡本 貴之)
若干22歳、本格派ブルース・ギターを武器に次々と大型フェスに出演し、注目を集める女性シンガー・ソングライター、Rei。筆者も初めてライヴを観た際に、アコースティック・ギターから奏でられるその出音のすごさに、終演後すぐに物販でCDを買ってしまったほどのインパクトを感じた記憶がある。セルフ・プロデュースによる2ndミニ・アルバムは、本物のブルース・ロックに根ざした音楽性を感じさせながらも、ファンク、ポスト・ロック的ポップ・ソング、セカンド・ラインに乗せたキュートなヴォーカルなど、オリジナリティ溢れる多彩な曲を聴かせている。もはや国籍も人種も年齢も性別も関係ない、真のオルタナティヴ・ミュージックがここにある。ライヴでの再現はもっとすごいはず。(岡本 貴之)
自分の音楽を信じて活動していくなかで、それに気づいて――見ていてくれた人たちが並んでいるアルバムなんです
自分の愛する人やものに対して、親密に向き合っていきたい――愛について深く考えた作品だと思います
人の背中を押すと同時に、自分の軸を強化しなきゃいけないという 危機感とも向き合いながら作った作品です
2021.07.03 @日本橋三井ホール
2021.02.14 @EX THEATER ROPPONGI
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