<神戸ジャズの魂 響いて100年>歴史編(5)伝説的ラジオ番組 「電リク」ジャズ浸透に一役 – 神戸新聞NEXT

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神戸新聞
2022 . 12 . 1 ( )
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 午後7時。ホーギー・カーマイケル作曲「スターダスト」で夜は始まる。ハイカラな神戸っ子たちがラジオにかじり付く。ジャズやポップスのスタンダードナンバー、ヒット曲、映画音楽…。スピーカーから流れる洋楽にときめき、酔いしれる。

 「電話リクエスト」、略して電リク。ラジオ神戸(現ラジオ関西)開局の1952年にクリスマス特別番組として全国に先駆け始めた企画で、多い日は3千曲以上のリクエストがあったとも言われる。他局も追随し、50年代後半から60年代にかけ隆盛を極めた。
 「神戸では電リクを聴かないと、学校で友達と話ができないと言われた」。ラジ関でプロデューサーを50年以上務めた井上正之助さん(82)=大阪市=がそう語る、伝説的企画。立役者は、後の神戸ジャズストリート実行委員長、末廣光夫さん(故人)だった。
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 52年、ジャズ評論家の油井正一さん(故人)に誘われ、末廣さんはラジ関に関わり始めた。元プロデューサー神栄赳郷(しんえいたけさと)さん(86)=姫路市=の著書「電話リクエスト物語」などによれば、52年6月、末廣さんが企画を出すが、聴取者の反応が読めず見送られる。
 1カ月後。末廣さんや音楽評論家の藤田光彦さん(故人)らがジャズとクラシックの魅力を語り、1曲ずつレコードをかける対決型の番組「ジャズ・クラシック乗合船」で偶然、電リクの兆しが生まれる。うっかりと藤田さんが局の電話番号を言ってしまったところ、ファンから応援メッセージが相次いだのだ。
 そして、12月24日午後8時ごろ。翌午前1時からのクリスマス特番を控え、末廣さんは「特番を『テレフォン・リクエスト』にしたい」と再び申し出、OKが出た。オープニング曲「スターダスト」が終わる頃、電話3台が一斉に鳴る。電リクの誕生だった。
 反響を呼んだ電リクは大みそかに2回目が放送され、翌年には毎週土曜にレギュラー化。62年からは週5、63年からは毎日の放送となった。
 戦後、NHKのラジオが米軍軍楽隊によるジャズを放送。神戸ではナイトクラブやジャズ喫茶などを拠点に広がったジャズが、電リクを介し飛躍的に街へ浸透した。「テレビが普及していない時代、電リクは音楽好きの中高生に欠かせなかった。レコードは高価で買えない。ましてクラブになんて行けない。神戸ジャズの大衆化に果たした役割は大きい」と、神戸ジャズストリート実行委員長の田中千秋さん(77)は語る。
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 ファクスやメールの普及に伴い、ラジ関を含む各地のラジオ局で電リクは姿を消した。だが、「ジャズの力で神戸を盛り上げる」という精神は、開局70年の今もラジ関に息づく。
 現在はジャズ3番組を放送。2015年開始の「KOBE JAZZ-PHONIC RADIO」は、前年に官民で発足した「ジャズの街神戸」推進協議会が手がけた。神戸出身のトランペッター広瀬未来さんらがパーソナリティーを務める。軽快なトークや笑いを交えた新しいスタイルで初心者にも親しみやすい番組を届ける。
 イベントなど事業にも力を入れる同局報道制作局長の内藤泉さん(49)は言う。「神戸ジャズの灯を消さないためにも、ジャズを聴いてもらえるシーンをつくり続けることが、変わらないラジオ関西の使命」(藤森恵一郎)
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■放送局の意気込み
 神戸ジャズの音色を、他にも家庭で楽しめる方法がある。NHK神戸放送局は15年以上、ジャズをお茶の間に届けてきた。現在は年4回、公開収録の特番「ジャズライブKOBE」を放送。兵庫出身のピアニスト小曽根真さんや松永貴志さんら世界的なジャズメンから、若手まで個性豊かな顔ぶれがステージを飾る。全国のNHKの放送局で、定期的なジャズ番組があるのは神戸だけという。
 同局は1995年の阪神・淡路大震災で全壊した。震災10年の2005年1月17日に再建した新会館のコンセプトは「ジャズが響く放送局」。小曽根さんの父でピアニストの実さん(18年死去)ら神戸ジャズ関係者の協力を得て、4月から毎週金曜、夕方の地域ニュース情報番組内で公開生演奏を放送してきた。
 21年度からは約30分の特番に。「初めてジャズを聴く子どもにも興味を持ってもらえるように心がけている」と司会のアナウンサー今城和久さん(48)。「神戸ジャズの歴史がひもとけるくらい、幅広い人選をしながら続けていきたい」と話す。
【バックナンバー】
(4)ジャズ喫茶の気概 震災に負けず人々に勇気
(3)硬派 ジャズ喫茶に息づく情熱
(2)財産 街が育てたジャズストリート
(1)「産声」 初のバンド、外国航路にルーツ
11/30~12/01

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