12月になるとジョン・レノンを聴く。「イマジン」「ギブ・ピース・ア・チャンス」といった代表曲に込められたメッセージを改めて受け止め、思いを巡らせたくなる時期だからだ。
きょう12月8日は世界史的には1941年、日米開戦に突入した真珠湾攻撃の日だが、洋楽史的には80年、ジョンがニューヨークのダコタ・ハウス前で凶弾に倒れた日として刻まれている。
筆者は当時10歳の小学4年生。まだ、洋楽を積極的に聴くようにはなっていなかったが、あのビートルズの一員として世界中で長く愛される幾多の名曲を生み出したアーティストの死を、子ども心に大きな事件と感じていた記憶はある。ジョンの死もまた、世界史的な出来事だったのではないか。
80年の年末は、パートナーのオノ・ヨーコと共作し、ジョンの最後のアルバムとなった「ダブルファンタジー」が発売された直後。そういったこともあり、年末には慌ただしさから少し離れて、ジョンが残した曲と静かに向き合うことにしている。
「国というものは無いと想像しな。できないことではないよ。殺す名目も犠牲になる名目も無いのだと」(イマジン)、「僕らが言っているのは”平和をわれらに”ただこれだけさ」(ギブ・ピース・ア・チャンス)。
ロシアのウクライナ侵攻で両国民の多くの命が失われる中、ジョンの訴えはますます重い。湾岸戦争時の英国で厭戦(えんせん)歌と判断された「イマジン」は放送を差し控えられたという。シンプルな曲調のメッセージ・ソングが人々の心を揺さぶる。
「僕のことを夢想家だと言うのかな。でもこう考えているのは僕一人ではない。いつの日かあなたも分かってくれたらな。そうしたら世界は一つなんだけどな」。音楽に戦争を止める即効力はないかもしれない。けれど、音楽を通して平和を望む心を持ち続けることはできる。
今年もクリスマスが間近に迫ってきた。ジョンにはヨーコとのクリスマスソングの名曲「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」もあり、「戦争は終わるよ。もし君が望むなら」とコーラスが世界中に響く。楽観的に過ぎると考えるか、人間の意志の力を信じるか。(川)
クリップ記事やフォローした内容を、
マイページでチェック!
あなただけのマイページが作れます。
最新情報をチェックしよう!