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２０２２年の舞台芸術の世界で、朗報を数多く聞けたのはコンテンポラリーダンスの分野だったと思います。鑑賞人口は決して多くないですが、国内外で、この分野の担い手が実力を発揮して、様々な形で認められたのです。そこで今回は、日本のコンテンポラリーダンスにスポットライトを当てます。
とは言ってみたものの、コンテンポラリーダンスの範囲は幅広い。直訳すれば「同時代のダンス」。今を生きるクリエイターが創造するダンス全般を指すわけですから、新作ならばバレエや舞踏、フラメンコも含まれます。そこで、ここでは作り手それぞれの自由な感性により、決まった様式を持たない新しいダンスを生み出しているジャンルをコンテンポラリーダンスと呼ぶことにします。
まずは国際的な広がりについて。最大のニュースは、勅使川原三郎さんが、イタリアの現代芸術の世界的祭典ベネチア・ビエンナーレのダンス部門の金獅子功労賞に輝いたことです。この人は、コンテンポラリーだけでなく日本のダンス界を代表する存在です。光や大気と感応する唯一無二の踊りは世界を魅了し、パリ・オペラ座バレエ団といった各国のバレエ団などから振り付け依頼が相次いでいます。
最初、受賞の知らせを聞いた時は、いわゆる「名誉賞」的なものかと思いましたが、過去の受賞者を知って驚きました。マース・カニングハム、ピナ・バウシュ、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス、シルヴィ・ギエム、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル、マギー・マラン――。カニングハムさん、バウシュさんは鬼籍に入り、ギエムさんは引退しましたが、ほかは第一線で活躍し、舞踊史に名前を刻む大振付家ばかり。勅使川原さんは、その一人に名を連ねることが認められたのです。
それに次ぐニュースは、フランスを拠点に活躍する伊藤
国内では、地方にダンスの輪が広がっていることを実感しました。昨年の当欄で紹介した（ 記事はこちら ）笑いを押し出したカンパニー・コンドルズを率いる近藤良平さんが「彩の国さいたま芸術劇場」（さいたま市）の芸術監督に就任したのです。都道府県が運営に関わる公共劇場でダンサーが芸術監督に就くのは、愛知県芸術劇場の勅使川原さんに続いて２人目。ダンスは言葉がないため自由に解釈でき、肉体のエネルギーを直に感じられるものです。こうしたダンスの特性が地域を元気づける起爆剤として期待されているのでは。近藤さんが掲げるテーマは「クロッシング」。ダンスを軸に他ジャンルのアートや地域との交流を目指しています。
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