「関係者がどんどん高齢化している」 「ビー・ジーズ」から … – Yahoo!ファイナンス

POP


IDでもっと便利に新規取得
ログイン
ログインしてポートフォリオを表示
現在 JavaScriptが無効 になっています。
Yahoo!ファイナンスのすべての機能を利用するためには、JavaScriptの設定を有効にしてください。
JavaScriptの設定を変更する方法はこちら
12/23 12:01 配信
東洋経済オンライン
日本では12月23日に全国公開される映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH  SOMEBODY』のプレミアに登場した、主役を演じたナオミ・アッキー(写真:Charles Sykes/Invision/AP)
 以前ならば、日本では劇場未公開のままDVD発売となることが多かった、海外の音楽ものの映画だが、近年は劇場公開される例が増えている。とくに新型コロナウイルスの騒ぎが始まった頃のほぼ全面的な閉館を経て営業が再開された2020年の夏・秋以降、その傾向は強まっていると感じる。

 その切っ掛けは、やはり『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)の大ヒットだろう。洋楽ファンが映画館へ足を運ぶ流れができた。

■2022年に公開された音楽映画の数々
 2022年に国内で公開された(される)音楽映画の中から思いつくものを列挙する。単館上映、短期間上映のものも含めている。内容は俳優が演技をした伝記もの、ドキュメンタリー、コンサートの記録などさまざまである。

ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ
ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート
リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス
ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック
スージー・Q
エコー・イン・ザ・キャニオン
エルヴィス
ブライアン・ウィルソン/約束の旅路
ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド
デュラン・デュラン ハリウッド・ハイ
ランディ・ローズ
ブリティッシュ・ロック誕生の地下室
ビー・ジーズ 栄光の軌跡
ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実(12月公開予定)
ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY(12月公開予定)
 自分で書き出しておいてなんだが、この数には驚かされた。半数近くは観たという方も少なくないだろう。
 ミュージシャンやコンサートが主役ではなく、録音スタジオや居住地域、会場、レコード会社、裏方ミュージシャンやスタッフ(エンジニア)に焦点を当てた硬派のドキュメンタリーが目立ってきたのは今世紀に入ってからの傾向だろうか。

 『永遠のモータウン』(2004年、以下西暦は日本での公開年)や『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』(2006)、『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』(2013)、『メイキング・オブ・モータウン』(2020)、邦画だが『音響ハウス Melody-Go-Round』(2020)などの流れをくんだ、資料性の高い作品に強い興味を持つ音楽マニアが一定数いるのは確かだ。特定のジャンル・年齢層向けの映画がこれほど多いジャンルは特殊なのではないだろうか。
■話題になった「ビー・ジーズ」

 少し前に公開され話題となったのは『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』だろう(制作は2020年)。ザ・ビートルズのポップさとアイドル的な面を引き継ぐ形で人気を博した彼らの、メロディー・メイカー/サウンド・メイカーとしての才能、兄弟ゆえの声の魔法、ポップ、ロック、ソウル、ディスコといったジャンルを超えて一貫したいいメロディーの追求の物語だ。兄弟ゆえの確執、ディスコ時代のあまりの人気が裏目に出て逆風となったり、弟が若いほうから亡くなり、現在は長兄バリー・ギブのみが残されている哀しみとともに描かれている(亡くなった弟たちの生前の発言も多く登場する)。
 映画の原題 “How Can You Mend a Broken Heart”(彼らが1971年に大ヒットさせた曲名より)は、バリーの苦悩の見事に言い当てている。ライヴ映像、関係者の発言も数多く登場、制作スタッフの深い理解・愛情が伝わる、とても丁寧に作られたすばらしいドキュメンタリーだ。

 音楽映画の公開が増加した理由はいろいろ考えられる。

 2020年=パンデミック以降、コンサートの再開のほうが映画館のそれよりも遅かった。生演奏ではないけれど、大音響を身体で浴びる空間としての映画館。筆者が音楽映画に求める主たる理由もこれだ。近年、シアター・ライヴやパブリックビューイングの会場として、映画館が音響設備を充実させてきたことが吉と出ている。
 ヘッドフォンや小さなスピーカーでは味わえない、身体中で味わう「サウンド体験」としての音楽がそこにはある。小さなスピーカーやヘッドフォンが聴取手段の主流となっている現代と違い、居間のステレオ・スピーカーや部屋のラジカセで、音を「浴びる」のが普通だった(それしか方法がなかった)世代が現在の50代以上にあたる。

 その層が自宅・自室の環境に物足りさなさを感じ、満足のいくサウンド体験を求めて映画館へ向かうパターンはあると思う。その快感を若年層にも(ライブ会場以外でも)味わってもらえたらと願う。
■「関係者の高齢化」という切実な問題

 音楽映画、とくにドキュメンタリーが多く作られている理由は、関係者の高齢化という切実な問題もある。不謹慎な表現となってしまうが、存命のうちに当事者の証言を残しておきたいという制作側の思いがある。監督ほかスタッフの多くは、その主役であるミュージシャンのファンである場合が多い。彼らへの恩返しとして、そして後世に伝える資料として映画を作りたいのだ。

 来日公演がご無沙汰の(または来日自体がない)ミュージシャンの疑似ライヴ体験になることも大きい。ライヴ活動や世界ツアーをやめると宣言している高齢ミュージシャンも当然のことながら多くなってきた。
 そんな彼らが地元で行うコンサートを、パブリック・ヴューイングや劇場公開で体験するため映画館へ行くという形は常態化するのではないだろうか。もちろん亡くなったミュージシャンや、現在とは違う初期/全盛期ラインナップでのパフォーマンスを体験できる機会でもあるだろう。

 そう考えた場合、なんのことはない、この現象は、来日公演が少なかった時代に各地のコンサート・ホールで行われていた「フィルム・コンサート」の復活でもある。
 そして、高齢化といえば観客=ファンのそれにも触れないわけにはいかない。彼らは60代が中心、つまり高齢者値引きが適用されるのは映画業界としては好都合(近年カップル割・夫婦割を実施している映画館が激減したのは残念)の層である。

 そして彼らは音楽・映画といった娯楽に、その対価としてお金を払うことが普通の世代。映画を観て気に入ったらDVDやブルーレイも購入するだろう。今後、映画館へ行くことへの(感染問題からの)抵抗が減っていけば、観客は増加すると期待したい。彼らの影響で音楽好きになっている子ども=20~30代あたりの層も一緒に足を運ぶのではと楽観している。
■「コンサート料金の高額化」という痛い問題

 さらに、これは残念な理由ではあるが、上映への追い風となると思われるのが、コンサート料金の高額化だ。とくに来日ミュージシャンの場合は交通費・滞在費の高騰などもあり、数年前とは比較にならないほど価格が上がった。「行けない」あるいは明確なNOとして「行かない」というファンがこれから増えると思う。

 そんな彼らが映画館に足を運ぶようになるのではないだろうか。筆者もきっとその中の1人となる。座ったままでいいという、高齢者には願ってもない形でのコンサート鑑賞も可能となる。
 音楽映画、とくに伝記映画やドキュメンタリーは、大まかなプロフィールを知るいい機会だ。それを「映画を1本観ただけで知った気になる輩が増える」と受け取っての批判もあろう。

 確かにミュージシャンなのだから、まずは音からというのは同感だ。また、歴史観を恣意的に偏った(とくに生存メンバーに対して)形にする傾向もなくはない。しかし「まずはベスト盤から」のヴィジュアル不随版であると捉えれば、初級者が知るきっかけとしては悪くないと考える。少なくともインターネット上でのタダ見タダ読みで知った気になるよりもずっとましなのではないか。
 たったの2時間に詰め込まれた数十年間のダイジェストを目にして、その先への関心をもった方に対しては、心の中に「ようこそ」の横断幕を掲げて迎えたい。それこそ映画になるほどの豊富なキャリアの持ち主なのだから。

高齢者が足を運ぶことを料金体系として歓迎している映画館。音楽ファンとしてそれを使わない手はない。リバイバル「上映も含め、今後も上映作品が増加することを願う。
東洋経済オンライン
最終更新:12/23(金) 12:01
東洋経済オンライン






Copyright (C) 2022 Toyo Keizai, Inc., 記事の無断転用を禁じます。
Copyright (C) 2022 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

source

最新情報をチェックしよう!
広告
>すべての音楽情報をあなたに・・・

すべての音楽情報をあなたに・・・

インターネットで情報を探すとき、あなたはどうやって探しますか?いつも見ているページで情報を得る?検索エンジンで好きなアーティスト名を検索してでてきたものを見る?本当にそれであなたの欲しい情報は手に入れられていますか?

CTR IMG