きつねダンス、誕生の舞台裏 発想転換で逆境乗り越え(写真=共同) – 日本経済新聞

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2022年にプロ野球・北海道日本ハムがはじめた「きつねダンス」が野球界を超えて大きな話題になった。中毒性のある曲を日本ハムのファイターズガールが踊る、不思議なダンスが試合の際に披露されたのは22年3月のこと。公式ユーチューブチャンネルの動画は500万回近く再生された。ネットでは、みみカチューシャなど関連グッズの売れ行きが好調だった。
その後、徐々にファンの間で人気を増していき、いつしか野球以外のスポーツでも踊られるようになり、テレビ番組出演や乃木坂46とのコラボにも発展した。さまざまな音楽番組でも披露され、最終的には22年の紅白歌合戦の出演にまでこぎつけてしまったのだ。
「きつねダンス」はユーキャンの新語・流行語大賞のトップテンにも選出されていたし、スポーツナビの「スポーツPRアワード」の優秀賞にも選ばれた。
実は、このダンスはコロナ禍の課題から生み出されたヒットだ。筆者はスポーツPRアワードの審査を担当した関係で日本ハムの担当の方々に裏話をお聞きすることができたが、「きつねダンス」の誕生には、コロナ禍の野球観戦において「声出しでの応援ができない」という背景があったというのがポイントだ。
野球の球場観戦では、応援歌やエールの掛け合いが醍醐味の1つでもある。それがコロナ禍でできない中で、球場に足を運んでくれた観客にどのように楽しんでもらえば良いのか、という状況において、その逆境を逆手にとり、声を出さずに一体感を演出することができる「ダンス」に挑戦する選択をしたわけだ。
日本ハムは「しゃけまる」というシャケを元にした新キャラも開発した。「しゃけUP」の掛け声に合わせて「しゃけまる」のぬいぐるみをファンが掲げるという応援方法も定着させることに成功している。「声出し禁止」という制約に対して、ファンに声を出さずに楽しんでもらう、と発想を転換したわけだ。
ちなみに、スポーツPRアワードで「きつねダンス」を僅差でかわし大賞を受賞したサッカー、V・ファーレン長崎の「パートナー企業と連携したハロウィン企画」も同様の発想の転換から生まれた施策だった。
チームでは、毎年のハロウィーンにおいて、選手たちの仮装のコスチュームを用意したり保管したりする手間やコストがかかるという課題があったそうだ。
そこで、昨年は発想を逆転し、選手達がパートナー企業の制服を着用するハロウィーン企画を実施するという選択をした。普段はユニホーム姿の選手が、パートナー企業の制服を着るのはハロウィーンとしても十分成立する上に、仮装のコスチュームを購入したり保管の手間がなくなる。
パートナー企業からすれば自分たちが応援しているチームの選手たちが、自分達の制服を着てくれるわけで、ファンに対する宣伝にもなるし社員のモチベーションにもつながりうる。
逆境や課題も、アイデア1つで「きつねダンス」のようなヒットにつながったり、V・ファーレン長崎のように新たなビジネスチャンスの創出につながりうる。皆さんの事業においても、一度大きく発想を変えてみてはいかがだろうか。
[日経MJ2023年1月13日付]
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