mihoro* | Skream! ライヴ・レポート 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2021年10月号掲載
2021.09.03 @下北沢CLUB251
Reported by 吉羽 さおり Photo by 中山優瞳
6月にリリースしたメジャー1stミニ・アルバム『love is alive』を携えたツアー[mihoro* LIVE TOUR “love is a live”]の東京公演が、9月3日下北沢CLUB251で開催された。メジャー・デビューを目前にした今年2月には、無観客配信によるワンマン・ライヴ”破釜沈船”を行ったが、東京で有観客でのワンマンは約2年ぶり。ライヴ後半のMCでmihoro*は、”メジャー・デビューをした実感が湧かなかったのは、みんなの顔を見てライヴができなかったから”と語った。
ようやく会えた喜びや音楽を、共に分かち合う時間をたっぷり味わおうという思いもあったのだろう。インディーズ時代のミニ・アルバム『Re:』からメジャー・デビュー作『love is alive』や新曲、ずっと歌い続けてきた曲など、充実したセットリストで待ちに待ったライヴをスタートした。

この日のライヴはバンド・セット。1曲目となったのは、ナチュラルハイになって君のことを忘れたいと歌う「ナチュラルハイ」。スローなビートとギターのディレイ、憂いを帯びたヴォーカルのアンサンブルは痺れるような白昼夢の心地よさを呼び、またなかなか消えてくれない君の影を引きずる痛みも響かせる。導火線に火をつけてジリジリと高揚していくアンサンブルから、続く「ルサンチマン」で一気に爆発すると観客から手拍子が起こって、「ロックバンドと貴方」へと進んでいく。配信ワンマン”破釜沈船”ではドラム、ベース、ギター、アコースティック・ギターのmihoro*による4人編成だったが、今回はそこにキーボードが加わった編成で華やかさも加わっている。「孤月」などは、軽やかなギター・サウンドに鍵盤のポップなきらめきが映える。そのポップさがまた、mihoro*の歌声に染みているほろ苦い涙の成分を引き立ててもいる感じだ。2018年にMVが公開されて以来、同世代の共感を呼んでいる「遊んでたの、知ってるよ。」は前半のハイライト。彼からの返信を待つもどかしさ、便利なSNSが明らかにしてしまう知りたいけど知りたくなかった事実。そんな恨み節やため息をつくような気持ちを、mihoro*はどこかかわいらしく、キャッチーに歌に昇華してくれる。モヤモヤとした気分やちょっとした嫉妬心、ネガティヴさをも肯定してくれる感覚がリスナーをじわりと広げている理由だろう。
こちらもMVの再生回数を伸ばし続けている「コドモノママデ」で折り返した後半は、ミニ・アルバム『love is alive』の曲が中心の構成となった。曲、サウンド共により磨きをかけた『love is alive』のドラマチックな世界が、生のバンド・サウンドによるたっぷりとしたボリューム感で鮮やかさを増して響き渡る。「分かり合えないよ」のグルーヴィな疾走感が心地よく、ドラマのエンディング・テーマとして書き下ろされ、うまくいかない日も温かく抱きしめてくれる「ミヤコワスレ」は甘美な余韻をもたらし、「馬鹿な女」では自虐的な思いをも美しく可憐なピアノ・バラードで聴かせる。また、9月15日に配信リリースの新曲「愛して欲しいの」は、ファンキーでファットなバンド・アンサンブルでフロアを揺らすような曲で、新たなタッチのサウンドが曲の世界を広げている。続くジャジーで、歌謡テイストが香る「いやいや」の勢いとの相性も良く、これからのライヴでもシーンを変えるような曲になっていきそうだ。

終盤で改めてこの日のライヴを迎えた心境を語ったmihoro*。ギリギリまで本当に開催できるのかと思っていたこと。高校時代からライヴを続けてきてこれだけライヴがない時間を過ごしたことがなく、ツアーを迎えるにあたっては楽しみより怖さが大きかったこと。でも同時に自分が、ライヴが好きだということを実感できたこと。実際にみんなの顔を見て、私の好きなライヴだと思ったこと。その言葉ひとつひとつに喜びや愛おしさが感じられ、同じ時間を共有した観客もまたその言葉に惜しみない拍手を送った。そしてこの日、最後に演奏したのは「いつか、」。アルバム『Re:』時のインタビュー(※2021年1月号掲載)でこの「いつか、」について、”実は「いつか」という言葉が嫌いで、「いつかこうしよう」、「今度あれやろう」みたいな曖昧なスケジュールがすごく嫌なんです”と話していたmihoro*。でもこの「いつか、」は、不確かだけどとても大事な未来の約束をしてくれるポジティヴな曲だ。”当たり前に会えることに泣けてしまう”、”その時は、貴方と手を繋いで/ライブハウスに一緒に行こうよ/笑おう”。ツアーの終わりにはさみしさがあるが、「いつか、」のメロディと歌声は晴れやかで、その句読点の先に続く景色を期待させてくれるパワーで溢れていた。
[Setlist] 1. ナチュラルハイ
2. ルサンチマン
3. ロックバンドと貴方
4. 知らないワタシ
5. 孤月
6. 遊んでたの、知ってるよ。
7. 証
8. コドモノママデ
9. 分かり合えないよ
10. 電車に乗って
11. ミヤコワスレ
12. 馬鹿な女
13. 愛して欲しいの
14. いやいや
15. 会いたいなんて言わせないで
16. いつか、


昨年秋、初の全国流通盤『Re:』をリリースしたSSW、mihoro*が今作『love is alive』でメジャー・デビュー。10代から活動を始めて、等身大のリアルな思いや恋愛の曲を多く描いてきた彼女が今作に詰め込んだのは、タイトルにもある愛のストーリーだ。うまく思いが通じ合わないもどかしさや、自分だけがいっぱいいっぱいでから回っている惨めさが滲む瞬間、「馬鹿な女」では自嘲気味に”貴方を好きな私が嫌いだった”とも歌う。自身の体験がもとになっているわけではないというが、そこで描かれる主人公たちの気分、眼に映る情景はとてもリアルで、そんなところが共感を呼んでいる。今の私、いつかの私が見つけられる曲だろう。現在放送中のドラマ・エンディング・テーマ「ミヤコワスレ」も収録。(吉羽 さおり)
今年20歳になったSSW、mihoro*の初流通盤となるミニ・アルバム。新曲や高校時代の曲、MVが100万回再生を超え、同世代を中心に反響を得ている「遊んでたの、知ってるよ。」など全8曲が収録された。白昼夢的な、気だるい痺れに浸るような「ナチュラルハイ」、普段は押し殺している感情が堰を切って溢れ早口でまくしたてる「ルサンチマン」の攻撃性、大人へと変わりゆく年月のスピードと心の速度がちぐはぐなリアルを描く「コドモノママデ(20)」など、心の機微や身に起こる出来事を素直な言葉で歌っている。ソリッドなギター弾き語りや、雲丹亀卓人(ex-Sawagi)とアレンジを施した多彩なバンド・サウンドもありと、各曲キャラクターが立っていて、聴き手が自分を投影できる曲が見つけられそうだ。(吉羽 さおり)
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