Lizabetの歌は海を越え世界へ繋がる。『DCU』を支えた主題歌でデビューした彼女の背景を探る(THE FIRST TIMES) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース


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掲載:THE FIRST TIMES
■ “歌うために生まれてきたような才能”と言わしめた彼女の透徹した歌声 3月20日に最終回を迎えた阿部寛主演のTBS系 日曜劇場『DCU』主題歌「Another Day Goes By」で鮮烈なデビューを果たした、16歳のアーティストLizabet(リザベット)。 【動画】Lizabet – Another Day Goes By Official Music Video 数々の名作と名曲を生み出しているTBS系 日曜劇場で「Another Day Goes By」はフルサイズで使われていたことも多く、MVの再生回数だけでなく、ダウンロード数やサブスクの再生数がつねに上昇。ラジオやダウンロード、ストリーミングの週間動画再生数を集計し、その中から急上昇中の新人アーティストを抽出したチャート「Billboard JAPAN Heatseekers Songs」では3月16日公開で2位を獲得し、ドラマ最終回週の3月22日公開で1位を獲得した。 プロデューサーを務めた小林武史が「数年前にアートを通じて香港とやりとりをしているとき、思いがけず彼女の歌を聴き、“歌うために生まれてきたような才能” と初めて会ったかもしれないと思った」と語るLizabetの“これまで”を改めて振り返っておきたい。 英国人とベトナム人の両親のもと、香港で生まれ育った彼女は、3歳から音楽活動を始め、6歳のときにはモーツァルト作曲のオペラ『魔笛』に出演し、“夜の女王”を演じた。7歳で『北京音楽フェスティバル』に出演し、中国の著名なオペラ歌手である梁寧と共演。クラシック歌手として声楽のトレーニングを受けるだけでなく、ジャクソン5を育てたモータウンのレジェンドアーティストである故ボビー・テイラーにも師事し、クラシック、ソウル、ジャズ、ロック、ポップミュージックと幅広いジャンルを吸収する。 11歳のときには中国では史上最年少で94人編成のオーケストラと共演し、バッハの「アヴェ・マリア」、マイケル・ジャクソン「マン・イン・ザ・ミラー」、映画主題歌「サウンド・オブ・ミュージック」を歌唱。現地メディアの注目を受け、マカオやシンガポール、上海などアジア地域で30公演以上のソロパフォーマンスを披露した。 この頃、小林武史はLizabetの歌と出会ったのだろう。2019年、彼女が13歳のとき、小林の招待で来日を果たし、小林がプロデュースする“アート”と“音楽”と“食”の総合祭『リボーンアート・フェスティバル2019』や“農”と“食”と“アート”が融合した複合施設「クルックフィールズ」を訪れて交流を深め、2021年の夏に「Another Day Goes By」の制作が始まったという。 コロナ禍により、レコーディング、アートワーク、ミュージックビデオの制作はすべて香港と日本とのリモートで進行。「Another Day Goes By」の作曲と編曲は小林武史が手がけ、英語による作詞はLizabet本人が担当した。 サウンドは、神秘的で壮大なスケールながらも、しっかりと地に足をつけた“個”の凛とした存在感も際立つバラードに仕上がっている。日本や香港というよりは、雪が深い森や山、海といった北欧のような自然の風景が目に浮かぶ。Lizabetにリモート取材を行った際に「自然や動物の絵を描くことが好きだ」と言っていたので、小林とは“自然”や“アート”の融合という点でも共鳴する部分があったのではないかと想像する。 そして彼女の歌は、冒頭のダークなムードを纏った低いトーンから、静かに、かつダイナミックに展開していき、大サビの最後にはJ-POPにはないほどの美しい高音を響かせる。かといって、ただ技巧的に優れているだけではなく、その透徹した歌声の根底には、この歌を絶対に届けたいんだという強い想いも込められている。彼女がこの曲に込めたのは、どんな苦難や困難に陥ったとしても、自らの力で乗り越え、前に進んでいこうとする意思の強さと、たとえ離ればなれとなっても消えることのない心の繋がりの大切さだ。 ここで再び、小林の言葉を借りると、彼は「今の香港情勢や気候危機などに対しても、音楽の力で乗り越えていけると思わせてくれるピュアな賢さも、彼女の書いた歌詞などから感じる」というコメントを残している。コロナ、地震、戦争……。“stay strong. keep on going”という16歳の彼女からのメッセージは、同時代を生きるすべての人の心に触れてくるはずだ。 また、ミュージックビデオは、彼女の才能を高く評価した岩井俊二が監督を務めた。「生まれてからまだ一度も切ったことのない」というストレートのロングヘアにインスピレーションを受けた彼は、Lizabetの髪の毛を含めた身体的な動きに焦点を当て、真っ黒と真っ白の衣装で、絶望と希望、過去と未来、別離と再会など、相反する要素の間で揺れるエモーションを表現。1月31日にYouTubeでMVが公開されると、あっという間に数字が伸び、2ヵ月後の3月末日時点で1,000万回再生を突破している。 来日したくてもできない状況のなかだったが、3月14日放送の『CDTV ライブ!ライブ!』(TBS)にはリモートで出演。赤坂のライブステージで小林武史が奏でるピアノとストリングス演奏とともに、香港でスペシャルステージに立ち、3月20日のドラマ最終回放送直前に配信されたインスタライブでも生歌を披露した。さらに3月22日には公式YouTubeチャンネルにて「Another Day Goes By」のスペシャルライブ映像を公開。香港の夜景をバックに情熱的な赤のドレスを見に纏って歌った船上ライブはドラマ視聴者を中心に大きな話題を集めることになった。 3月9日にリリースした1stシングルには、「Another Day Goes By」に加え、小林武史プロデュースでLizabetが作詞した「Reaching for the Stars」、岩井俊二監督映画『スワロウテイル』の主題歌「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」の英詞カバーを収録。 「Reaching for the Stars」は、夜空に輝く星を見つめて想いをはせるロマンチックでハートウォーミングなバラードで、「Another Day Goes By」のダイナミックな歌唱とは異なる等身大の歌声や柔らかいファルセットが心地よい楽曲となっている。「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」も小林が編曲を手がけ、彼女のピュアで伸びやかな歌声を最大限に生かしたアレンジとなっている。 香港から北京、上海、マカオ、シンガポールを経て、日本から全世界配信されたLizabet。クラシックやソウル、ジャズ、ロック、ポップを独自のブレンドでミックスしたオリジナルの歌唱法をすでに獲得し、人との繋がりを大切にしながら、国境を軽々と越えていく。英語、ベトナム語、広東語など多言語を話せるというのも大きく、アジアから世界へと広がっていく次世代グローバルアーティストとしての活躍に今後ますます期待できそうだ。 TEXT BY 永堀アツオ リリース情報 2022.03.09 ON SALE SINGLE「Another Day Goes By」
THE FIRST TIMES編集部
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