世界を沸かせた、歴史に残るチャリティコンサート&楽曲をプレイバック – ELLE JAPAN

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誰もが知るあのビッグコンサートやあの名曲を振り返る
新型コロナウイルスのパンデミックを受け、WHO(世界保健機関)とレディー・ガガがコラボする注目のVRコンサート「One World: Together At Home」が、4月18日に行われる。それを前に、これまで世界で行われてきた歴史的なチャリティ音楽イベントや曲、その背景をご紹介。国や人種を超えて繋がる思いやりと音楽の力を、改めてリスペクト!
Photos: Getty Images
今や夏の風物詩のひとつとなった“夏フェス”、その元祖のひとつがウッドストック。正式名称は「ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)」で、1969年の8月15日~17日、米ニューヨーク州北部の町ベセルにある農場で開催された。この地にレコーディングスタジオを設立するための資金集めが目的だったという。
主催者側は当初1~2万人と予想していたが、ベトナム戦争に軍事介入し多くの人を死なせ続ける自国に失望したアメリカ人の若者が、自分たちの気持ちを代弁するミュージシャンたちの歌声に耳を傾けようと大集結。結果40万を超える人が押し寄せ(会場では出産した人もいたとか!)、大渋滞や食料不足など数々の問題が勃発。にもかかわらず、暴力沙汰や逮捕といった騒ぎは皆無で、ジミ・ヘンドリックス(写真)やザ・フー、ジャニス・ジョプリンといった売れっ子ミュージシャン32組の演奏を皆が楽しんだ、“愛と平和と自由の3日間”だったそう。
単なる音楽イベントとしてだけではなく、ヒッピーカルチャーのピークの象徴としても知られる一方で、「フェスティバルは金儲けができる」ということを音楽業界や資本家に気付かせることになったという側面も。
ご存じジョン・レノンが残した、世界で最も有名な曲のひとつ『イマジン』。泥沼化していたベトナム戦争を背景に、国境や宗教の壁から起こるヘイトの連鎖を断ち切り、平和を訴える歌として今でも歌い継がれる。数えきれないほどのカバーも存在。
アーティストでもあるオノ・ヨーコの詩集『Grapefruit』(日本では改編された作品が『グレープフルーツ・ジュース』というタイトルで出版されている)にインスパイアされてジョンが1971年に発表した曲で、ビートルズ解散後のソロ2作目となるアルバム『イマジン』に収録された(メロディ自体はビートルズ時代に書き上げられていたそう)。
ヨーコはのちに「大局的な観点から考えると、この曲を生み出すために私はジョンと出会った」とも語っているほど。1980年にジョンが熱狂的なファンから殺害された後、この曲はより大きな注目を集めるようになる。
ジョン自身が認めているとおり、共産主義的な思想が強く反映された歌詞のため、ラジオやTVで放送禁止になることもあった。が、9.11同時多発テロ直後には(アメリカのラジオ局の放送自粛リストにこの曲も入っていたが)リクエストが殺到するという現象も起こったほど、“平和”のイメージに結びついた曲とも言える。
2012年ロンドンオリンピックや2018年平昌オリンピックでも歌われ、2015年の第1回ヨーロッパ競技大会では、レディー・ガガがパワフルに歌い上げて喝采を浴びた。
1984年にエチオピアで起こった大規模な飢饉の救済を目的に、アイルランド人ミュージシャンのボブ・ゲルドフとスコットランド人ミュージシャンのミッジ・ユーロの呼びかけで結成されたチャリティプロジェクト、「バンド・エイド(Band Aid)」。ポール・ヤングやボーイ・ジョージ、U2のボノといった全英のスターミュージシャンたちが集結し、同年の12月にリリースしたシングル曲が『Do They Know It’s Christmas?』
歌詞は「ハッピーなクリスマスの時期だけど、世界にはクリスマスのことすら知らず飢えや貧困に苦しむ人たちがいる」「そんな彼らに手を差し伸べよう」というもの。当初はこのシングルで7万ポンドほど集められればという目論見だったそうだが、英国内だけで約375万枚売り上げ、さらには資金調達イベントなどがイギリス全土に広がり、収益は1年間でなんと800万ポンド(当時の日本円で約23億円)にまで膨らみ、莫大な成果を上げた。

この「バンド・エイド」は、1989年には「バンド・エイドII」、2004年には「バンド・エイド20」としてリメイクされ、2014年にはエボラ出血熱の支援目的で「バンド・エイド30」として再結成されるなど(もちろん豪華メンツなのは変わらず)、その精神は現在にもしっかりと引き継がれている。
「バンド・エイド」が引き起こしたビッグムーブメントは、海を越えアメリカにも波及。「USA・フォー・アフリカ」というプロジェクト名のもと、アフリカの飢餓や貧困を撲滅すべく作られたキャンペーン曲が、誰もが一度は耳にしたことがあるこの『We Are The World』
「私たちこそ世界、私たちは子供」というキャッチーな曲と詞はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが共同で行い、プロデュースはクインシー・ジョーンズが担当。マイケル・ジャクソン、レイ・チャールズ、ダイアナ・ロス、ビリー・ジョエル、シンディ・ローパーといったトップアーティスト総勢45名が一堂に会し、1985年1月にレコーディングが行われた。
曲は世界14カ国でチャート1位を獲得する特大ヒットを記録したほか、レコーディングの様子をドキュメンタリー映像に収めたビデオ、Tシャツなどの関連グッズもあわせて販売された。曲の発売以降、最終的におよそ158億円もの額が集まったとされ、すべて寄付に回されている。
2010年には、1月に起こったハイチ地震による被災者支援のため『ウィ・アー・ザ・ワールド:25 フォー・ハイチ』としてリメイクもされている。ジャスティン・ビーバーやセリーヌ・ディオン、アダム・レヴィーン、マイリー・サイラス、ニック・ジョナス、カニエ・ウェストらそうそうたるメンツが参加した。
大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た人なら覚えているはずの、20世紀最大規模のチャリティコンサート「ライヴ・エイド(Live Aid)」。発起人は前述のボブ・ゲルドフ&ミッジ・ユーロで、「バンド・エイド」の延長として、1985年7月13日、英ロンドンのウェンブリー・スタジアムと、と米フィラデルフィアのJFKスタジアムで開催された。
出場アーティストは、ロンドンにはエルヴィス・コステロやスティング、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン、U2、ポール・マッカートニーらが、フィラデルフィアにはブライアン・アダムスやビーチ・ボーイズ、マドンナ、エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリン、デュラン・デュランといった豪華すぎるメンツ。なおフィル・コリンズはコンコルドで移動し、2会場ともに出演した。
ロンドン会場には7万2千人(人権問題に取り組んでいた故ダイアナ妃も、チャールズ皇太子とともに姿を見せた)、フィラデルフィア会場には10万人が訪れたほか、録画放送を含めると世界130カ国以上で放送され、視聴者数は190万人にものぼったとされる。日本でも多くの洋楽ファンがTVの前にかじりつき、歴史的事件と呼べるほどの大きな注目を集めた。
電話を通じての募金などを行い、最終的に集まった金額は約1億2700万ドル(当時の日本円で約300億円超)だったとか。DVDにもなっているので、そのスゴさをチェックしてみて。
2005年7月2日に世界中で同時に行われたのが、チャリティコンサート「ライヴ・エイト(Live 8)」。同年7月6日からスコットランドで行われた主要国首脳会議(G8サミット)に向け、アフリカへの支援を訴え、貧困にあえぐ人々に対する債務の帳消しや支援金額の倍増、公正な貿易ルールの実現などを求めて開催された。
「ライヴ・エイド」から20年、前回をはるかに上回る規模で開催されたこのイベントでは、ロンドン、パリ、ベルリンや東京など世界10都市でライブが行なわれ、ビョーク、デスティニーズ・チャイルド、ペット・ショップ・ボーイズ、ピンク・フロイド、コールドプレイ、スティング、ボン・ジョヴィ、スティーヴィー・ワンダー、グリーン・デイ、ジェームス・ブラウンといった新旧ミュージシャンがパフォーマンスを披露。
ネット中継は17万人、ハイライト番組は290万人が視聴し、会場の観客は9カ国で数百万人にも及んだという。
このコンサートも提唱者はボブ・ゲルドフ。彼はU2のボノとともに各国首脳と会談もしており、そのおかげもあってか、G8はアフリカへの援助額を倍増することで合意。出演アーティストたちも、このコンサートで新たなファン層を獲得することに繋がった。ボブはこうした一連の慈善活動が評価され、大英帝国勲章を授与され、ノーベル平和賞候補にノミネートもされている。

2017年5月22日、英国のマンチェスター・アリーナで行われたアリアナ・グランデのワールドツアー「デンジャラス・ウーマン・ツアー」。公演終了直後に爆発が発生、観客と実行犯を含む計23名が死亡、59名がけがを負う事件が起こった。
それを受け、アリアナはわずか2週間後の6月4日に、被害に遭った人たちのためにチャリティコンサート「ワン・ラブ・マンチェスター(One Love Manchester)」を主催。マンチェスター出身のテイク・ザットやリアム・ギャラガーのほか、ジャスティン・ビーバー、ケイティ・ペリー、コールドプレイ、ファレル・ウィリアムス、マイリー・サイラスら大物アーティストが被害者のサポートのために集った。もちろんアリアナ本人も、見事なパフォーマンスを披露。
集まった2300万ドル(約24億円)の収益はすべて「We Love Manchester」基金に寄付され、被害者の各家族には約32万ドル(約3400万円)が贈られたという。
本来ならば、チャリティコンサートが行われない世界こそ理想の姿のはず。でも、こうして人々がひとつになる姿は、私たちがしばしば忘れがちな手を取り合うこと、他人を思いやることの大切さや素晴らしさを教えてくれる。

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