Aqilla | Skream! インタビュー 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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INTERVIEW
Japanese
2022年09月号掲載
インタビュアー:藤坂 綾
2020年、ソロ・シンガーとして活動を開始。同年4月15日、1st EP『Vinegar』をリリースしたAqillaが、約2年ぶりとなる作品、1stフル・アルバム『shave off』を完成させた。デビューと同時にコロナ禍となり初ライヴは延期。今でこそ笑って話してくれたが、どうにもできない悔しさ、孤独は図り知ることができない。それでも覚悟を決め、自分と向き合うことで生み出されたこの1枚。楽曲の振り幅はもちろんだが彼女の振り切れ具合も素晴らしい。いろんな想いのこの2年について、このアルバムについて、そしてAqillaについて、たっぷりと話してもらった。彼女のまっすぐな想いが伝われば嬉しい。
-前作の1st EP『Vinegar』から約2年、こうして1stフル・アルバム『shave off』が完成されて今の心境はいかがでしょうか。
このアルバムはこの2年の間で作ってきたものなので、2年前、デビューするときにすでに録っていた曲もあるんです。なので、この2年の私の変化がここに表れたんじゃないかなと思うのと同時に、もう2度とこんなアルバムはできないだろうなって1枚になったんじゃないかなと、今はそんな気持ちでいっぱいですね。
-一番変化したところというのは?
メンタルです。デビューして1stライヴも決まって、”よし、これからやっていくぞ!”っていうときにコロナ禍でライヴが延期になってしまって。もともと活動をされていて、ライヴをされていた方たちは配信ライヴとか、いろんな方法で発信をされていたんですけど、私の場合は一度もライヴをやっていない状況じゃないですか。なので、初ライヴはどうしても生で届けたいという気持ちが強くあって。だけどどんどんライヴはできなくなっていくし、いったいいつになったらできるんだろうと。もやもやと怒りと悔しさプラス孤独を感じることが多い2年間でした。でもそんななかレコーディングだけはずっと続けていたので、そこでメンタルは強くなっていったのかなと思います。
-音楽に対しての気持ちは保てていたというか、意欲的ではあったと。
そこはもう上がっていく一方で、落ちることは一切なかったです。むしろもっと追求したいとか、自分の知らないものを知りたいという気持ちが出てきたので、その時間を作れたことはすごく良かったと思いますね。というか、もうひたすら音楽のことだけを考えてこの2年間は過ごしてました。音楽とAqillaをひたすら考えて過ごした2年間。結局、私はずっとAqillaに憧れがあったんですよ。
-というのは?
Aqillaという名前でデビューして、でも始まってすぐに活動ができなくなってしまって、本当だったら今頃Aqillaとしていっぱいライヴをやって、今頃いっぱいいろんな人に曲を聴いてもらって、Aqillaという自分がどんどんできあがっていってたはずなのに、もっとAqillaとして活動してたはずなのにって。やっぱりそれが一番悔しかったんですよ。本当は今頃こうなってたのにって。SNSをやるにしても、初ライヴもまだやってないし活動もしてないし、何を投稿すればいいんだろうと。それでも応援してくれる人はいてくれるから、その人たちに向けては何か発信をしたいという気持ちはあって、それでYouTubeを始めたりしたんです。
-発信したいっていうのはファンのためでもあり、自分のためでもありましたか。
そういう気持ちはあったと思います。自分のモチベーション維持のためにもって。音楽が大好きで、音楽だけを、ロックだけをやりたくてAqillaとして歌い始めたのに、一番メラメラしてたときにズドーンって落とされてしまったんですよ。だから、この気持ちをどうしたらいいんだってのがすごく強くて。でもレコーディングでそれをぶつけられたのでなんとか気持ちは保てたし、レコーディングはまさに至福の時でした。
-レコーディングがなかったらと考えたら……。
完全に自分を見失ってたでしょうね。自分に価値を見いだせなかったんじゃないかと思います。
-このアルバムでAqilla像がはっきりしたなという印象を受けました。その理由がなぜなのかはまだわからないのですが、Aqillaさんご自身はどう思われます?
私もそれは思います。前作と比べたら180°違うんじゃないかってくらいですからね。それはこの2年での変化というのもあるんでしょうけど、今回は制作により関われたところもあるし、環境にも慣れて、自分の音楽がわかってきたことも大きいかなと。あと、私は回りのスタッフに恵まれていて、とにかくスタッフが私のモチベーションを落とさないように奮い立たせてくれたり、自信を持たせてくれたりしたんです。それがさっき言ったメンタルが変化した理由のひとつでもありますね。
-より制作に関われたということですが、実際に制作はどのように進めていったんでしょうか。
うちの制作チーム、”チームZ”っていうのがあるんですけど、そのチームみんなでアイディアや意見を出していく感じです。私は今まで音楽を作ったことがないので、うまく表現できないところもいっぱいあったと思うんですけど、そこをみんな上手にブラッシュアップしてくれるんですよ。あと、とにかく私の意見をすごく聞いてくれて、こんなにも聞いてもらえるんだって嬉しかったです。それがきっと大きな自信に繋がっていったんだと思います。
-まさに”チーム”ですね。
そう、だから今回のアルバムはチームみんなで作り上げたっていう気持ちがすごく強くて。このアルバムに対して愛着が強いのは、そういうチームの存在があるからなんだと思います。
-アルバムに対してのヴィジョンやこういうものにしたいという気持ちは、Aqillaさんの中にあったんですか?
「モブと君」は前回の1st EPのときにはもうすでにレコーディングしてたし、「青く妄想中」も結構序盤でレコーディングしてるし、その意味ではこの2年の集大成的なものになるという気持ちが強かったです。”shave off”というタイトルを付けたのも、これは”削ぎ落とす”って意味なんですけど、Aqillaとしてデビューするまでに培ってきたいろんなものを、今ここで削ぎ落とさなくちゃいけないってレコーディング中に思ったんですよ。音楽をやるうえで、ロックをやるうえで自分の中で必要のないものがいっぱいあって、いろんなものを背負いすぎてしまったというか、身につけすぎてしまったというか、とにかく邪魔なものが多くて。
-邪魔なものというのは?
Aqillaの前にもいろいろな活動をしていて、わりと小さい頃から活動をしていたんですけど、例えば大人の顔色をうかがってしまうとか、若い頃に必要のないものを知らず知らずのうちに身につけてしまっていたというか。私は、すべてを捨ててでもロックをやりたいと思ってこの道を選んだので、そう決めたからには、必要のないものは削ぎ落としていったほうがいいんじゃないかって。キャパって減らしていかないと新しいものは入ってこないじゃないですか。そういう覚悟、私の音楽への覚悟みたいなものがこのタイトルには込められています。
-何かを手放すことってすごく勇気のいることだし、大変だったんじゃないかと思います。
いざ手放すとなるとすっごく勇気がいりましたね。でも、もっと単純でいいんじゃないかなって。レコーディングしていくなかで自問自答しながら、ひとつずつ手放していった感じです。それにロックはリスクだと思うんですよ。リスクを背負わないとロックができないわけではないけど、リスクなしにかっこいいことはできないんじゃないかと私は思っていて。すべてを投げ捨ててまでここで音楽をやりたい、ここでロックを歌いたいと思ったのがもう私のロック人生の始まりだから、ここは覚悟を決めてやるしかないなって、そういう気持ちでした。
-そうやっていらないものを削ぎ落としていった結果、残ったもの、大事なものには気づきましたか?
まだまだ削ぎ落とすものはあるんじゃないかって自分では感じていて、これからさらにロックしていくためにはどうするの? と言われたら、まだまだ全然”shave off”できるんじゃないかって思うんですけど、最終的には音楽への愛、ロックへの愛なのかなと考えています。それだけ持っていたら、それだけ大事にしてたらいいのかなって。となると、このアルバムはやっぱり始まりにしか過ぎないというか、これまでの私を削ぎ落として、やっとここから始まったという感じではありますよね。自分の中では”エピソード1″みたいな感じ、やっとスタート地点に立てたっていう想いがあります。
“ロック”という言葉だけでは到底言い表せない緻密な構成とアレンジ、独特なニュアンスによって展開される12曲――それでもこれだけまっすぐなロックに聴こえてしまうのは、彼女の覚悟や想いがすべての曲に刻まれているからなのだろう。デビューから2年の軌跡をつめ込んだ1stアルバムは、彼女のスタートとも言える1枚となった。どの曲もリード曲になり得るほどのポテンシャルを持ち、”shave off”(削ぎ落とす)というタイトル通り、ブラッシュアップされた彼女がその曲たちを行き来する。極限まで振り切った歌声には嘘偽りがなく、だからこそとても愛おしい。自信と覚悟がみなぎる今作には、Aqillaの本質そのものが表れた。恐れなくただひたすらに楽しむ様子も印象的。ここからまた彼女のロック人生が始まる。(藤坂 綾)
“すべてを捨ててでもロックをやりたいと思ってこの道を選んだ” 削ぎ落とすことで明確になったAqillaの覚悟と今の想い
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