Lilubay / 汐れいら / sympathy | Skream! ライヴ・レポート 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト – Skream!

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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2022年10月号掲載
2022.08.26 @下北沢LIVEHOLIC
Reported by 山田 いつき Photo by タチバナジン
メディア”Skream!”、”激ロック”を有する激ロックエンタテインメントがプロデュースするライヴハウス 下北沢LIVEHOLICのオープン7周年を記念して現在開催中の”LIVEHOLIC 7th Anniversary series”。8月26日は”~夏の記憶~”と題して、Lilubay、汐れいら、sympathyによる3マン・ライヴが行われた。

まずはトップバッターとして高知出身の4人組ガールズ・バンド sympathyが登場。この日が2ヶ月ぶりのライヴということで、メンバーたちの表情からは多少緊張している様子も窺えたが、いざライヴが始まるとその表情は気迫に満ちたものに変わっていた。1曲目にエッジの効いたロック・チューン「とびきりの愛を」を鳴らすと、2曲目にして完全新曲「メンション・ラブ」を初披露。冒頭2曲からバンドの攻めの姿勢が伝わってくる。”(LIVE)HOLIC、7周年誠におめでとうございます! そういう節目に呼んでいただけて私たちは本当に嬉しいです”と柴田ゆう(Vo/Gt)が祝いの言葉を述べ、フロアからも拍手が送られた。”お祝いとかこつけて新曲を”という前振りから演奏された「真夏の楽園」では、ギターのトロピカルなサウンドが心地よく、自然と身体が揺れてしまう。”心と体を揺らすロック(揺れるロック)”を掲げる彼女たちらしいステージは続き、ライヴ定番曲「レモネード」で瑞々しいサウンドを弾けさせると、8月末というこの時期にぴったりのモダンなナンバー「今年も夏が終わる」ではエモーショナルな空気感を醸成。サビでは会場のミラーボールが煌々と回り、きらびやかな光を浴びたオーディエンスも思い思いに身体を揺らしていた。そして、ラストはアグレッシヴなギター・ロック「スクールガール・コンプレックス」をお見舞い。この日一番のクラップを誘ってみせた。

2番手として登場した東京都出身20歳のシンガー・ソングライター 汐れいらのライヴは、1stデジタル・シングル「さよならCITY」からスタート。この曲で描かれる苦悩や葛藤がそのまま表出したようなアコースティック・ギターの力強いストロークと、メランコリックなヴォーカルに聴き入っていると、一転して軽快なタッチのソングライティングが光る「味噌汁とバター」へ。彼女のソングライターとしての振り幅に驚かされる。そして「ビーボーイ」、「泣きっ面に8」とアップテンポな2曲を続けて披露すると、「moviNG on」では抜き差しならない恋愛の駆け引きを凛とした表情で歌った。さらに、ABEMAオリジナル恋愛番組“彼とオオカミちゃんには騙されない”のBGMとして起用され、アコースティックver.のミュージック・ビデオが400万回を突破している人気曲「センチメンタル・キス」へ。しっとりしたラヴ・バラードを情感たっぷりに歌い上げた。”次の曲で最後なんですけど、7月にリリースした曲をやります”と言って披露された新曲「タイトロープ」では、彼女の持ち味である透き通るようなファルセットを随所に交えながら、生々しく官能的な歌詞を紡いでいく。最後の一音を鳴らし終えたとき、緊張が解けたのか彼女の顔には笑みが浮かんでいた。

そして、いよいよこの日のトリを務めるLilubayが登場。事前にアナウンスされていた通り、この日のライヴはバンビ(Ba/Cho/可愛い連中/ex-アカシック)の不在に伴い、タグチハナ(Vo/Gt)と西村”コン”(Dr/きのこ帝国)によるアコースティック特別編成で行われた。”こんばんは、Lilubayです。ゆっくり楽しんでいってください~”とタグチハナの挨拶からライヴがスタート。メンバーが不在の状態で大丈夫なのかと少し心配したが、1曲目「Fine day」の円熟した演奏を目の当たりにして、それは杞憂に終わった。続く「ローレンス」では、西村の軽く跳ねるドラミングと牧歌的な曲調に乗せてタグチの歌声がどこまでも伸びていく。今日がLIVEHOLIC初出演というLilubay。”ベースのバンビが流行り病に罹りまして、私たちは生き残りました……(笑)。今日は「とにかく楽しもう」をモットーに参りましたので、よろしくお願いします”というタグチのMCを挟んで、ドラマ“ホメられたい僕の妄想ごはん”のために書き下ろされた「舌鼓」へ。ふたりが奏でる温かく、優しい肌触りのアンサンブルが会場内を幸福感で満たしていく。そして、”今日は特別なことをちょっとしたいなと思って(タグチ)”と言って演奏されたのは、ハンバート ハンバートの名曲「ぼくのお日さま」のカバー。おそらくこの日限りとなる名カバーを聴き逃すまいと、オーディエンスは神経を集中させて聴き入っていたように見えた。この日、最後に演奏されたのは結成初期から歌われているナンバー「鯨」。タグチの繊細な弾き語りから西村のドラムが合流するドラマチックなアレンジで締めくくった。

期せずして、ロック・バンド、ソロ・シンガー、アコースティック編成と三者三様のミュージシャンが顔を揃えたこの日の下北沢LIVEHOLIC。この一夜の出来事は、会場にいたすべての人々の”夏の記憶”として鮮明に刻まれたに違いない。
[Setlist] ■sympathy
1. とびきりの愛を
2. メンション・ラブ
3. 真夏の楽園
4. レモネード
5. 今年も夏が終わる
6. SNS
7. スクールガール・コンプレックス

■汐れいら
1. さよならCITY
2. 味噌汁とバター
3. ビーボーイ
4. 泣きっ面に8
5. moviNG on
6. センチメンタル・キス
7. タイトロープ

■Lilubay
1. Fine day
2. ローレンス
3. 舌鼓
4. energy
5. ぼくのお日さま(ハンバート ハンバートカバー)
6. 鯨
今年メンバー全員が大学などを卒業して、これまでの遠距離から東京を拠点とする活動となったsympathy。学生時代や10代への郷愁感を滲ませながらも、社会に出て毎日を目一杯生きている女の子の姿を描いているのが、この4thミニ・アルバムだ。いろんな恋愛で味わった痛みで成長をしたり、相変わらずのところでつまずいたりもする。それを冷めた目で見ながらも、それでも夢を見ることは忘れない、ビター&スウィートな物語をポップなギター・ロックで聴かせる作品。ノイジーにギターをかきむしるオルタナ曲から、シティ・ポップ風のサウンドに気だるいヴォーカルがコントラストをつける曲、引き算のサウンドが歌心を呼ぶ曲など、サウンドそれぞれのこだわりも高くなった。でもやっぱり大人になるって難しい。(吉羽 さおり)
絶妙に跳ねるビート。それなのに、甘いメロディと独白めいた言葉が粘着質を持って耳と心にこびりつく。”ギター弾けないの 弦が傷口に引っかかってね”――それでもギターを掻き鳴らす少女たちが痛みと共に滲ませる鮮血。sympathyの音楽は、”若さ”という名の永遠の病を、そこに潜むぬかるみを、抜け出そうとすればするほど濃淡を濃くしていく底のないサイケデリアを、狂おしいほどの瑞々しさで描き出す。歌詞の中で”あの日”という言葉が繰り返し歌われるのは、すべては失われてこそ永遠となり、喪失感こそが、私たちを常に魅了し続けるという悲しくも甘美な真理を、彼女たちが身をもって知ったからだろう。メロウなTrack.3「紅茶」、そして弾き語りのTrack.5「泣いちゃった」が刻む痛みの痕跡が、息をのむほどに美しい。(天野 史彬)
大人と子供の間で引き裂かれた”ティーンエイジャー”という価値観。それはロックンロール永遠の命題。高知出身の4ピース・ガールズ・バンド、sympathy。未だ平均年齢19歳の彼女たちがこの1stミニ・アルバム『カーテンコールの街』に刻み込んだものこそ、そんなティーンエイジャーという宙ぶらりんな季節に宿る哀しくも美しい煌きに他ならない。日本マドンナと相対性理論の狭間にあるような、初期衝動全開のグルーヴィなギター・ロックと柔らかく可愛らしいポップネスを横断するサウンドは、何者にもなれない苛立ちと、抱きしめようとするものすべてを傷つけてしまう哀しみを生々しく描き出す。もう2度と、彼女たちはこんな作品は作れないだろう。何故なら若さは失われるから。だからこそ、僕はこの作品が愛おしくてしょうがない。(天野 史彬)
酸いも甘いもポップな歌に乗せて、涙や痛みを煙に巻く。少し大人のsympathyサウンド完成!
大人になりたいけどなりたくない、何者にもなれないなりたいなりたくない、みたいな?
2022.08.26 @下北沢LIVEHOLIC
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