中森明菜の元プロデューサーが語る「カムバックの可能性」(FRIDAY) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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明菜のカバーアルバム『歌姫』シリーズを手がけた音楽プロデューサーの川原伸司氏(72)
謎多き女ーー。中森明菜(57)ほど、ミステリアスで波瀾万丈な半生を送ってきたアーティストはいないだろう。スキャンダラスなゴシップとは裏腹に、無垢で愛嬌のある人柄と表現豊かな歌唱力は知る人ぞ知る一面だ。彼女の才能をいち早く理解し、カバーアルバム『歌姫』で新境地を開拓したのは、音楽プロデューサーの川原伸司氏(72)である。松田聖子『瑠璃色の地球』や井上陽水『少年時代』などを手がけてきた川原氏が〝目撃〟してきた「素顔の明菜」とは。 【写真】謝罪会見、激ヤセ……中森明菜「激動の半生」一挙公開 ◆「私と勝負するつもりですか?」 かつてワーナー(ミュージック・ジャパン)で中森さんを担当したスタッフたちが「彼女をなだめすかして仕事をしてもらうのが大変だった」という話をしているのを見ることがあるけど、あれってちょっと違うと思う。 当時のワーナーなど外資系レコード会社は、海外から届く音源をいかに売るかを考えるのが中心で、アーティスト本人を管理するノウハウが弱かった気がします。アーティストは、自分一人で才能を磨き上げて表現しているんだから、生意気に決まっているということを理解した上でアーティストと向かい合っていかないと。 そのことを前提に、アーティストとコミュニケーションを取って「なるほど」と相手に納得させるのが僕らプロデューサーの仕事なんです。当然、対等に音楽的意見を交わせる知識も必要だし、アーティストの意見に「それはちがうよ」と反対する時には、代案も必ず用意する。これは中森さんの時もそうだし、大滝(詠一)さんもそうだったけど、代案がない状態で反対することはやめよう、とお互いに決めていました。 中森さんと最初に仕事をしたのは、彼女が自殺未遂を図った直後(※)でした。当時、彼女が所属していた事務所の社長が古い友人で、彼から「川原と明菜は音楽に対する考えが似ているし気が合うと思うから手伝ってくれ」と頼まれたんです。お互い理屈っぽいし、洋楽好きも共通だと思ったんでしょう。 実際に中森さんと会ってわかったんですが、アメリカはもちろんヨーロッパのロックやポップスを本当によく聴いていました。ある時、僕がエリック・クラプトンの『Tears In Heaven』をギターを弾きながら鼻歌で歌っていたら、彼女が「川原さん、私と勝負するつもりですか?」と言ってきた。もちろん冗談だったんでしょうが、生半可な知識や実力の歌手じゃないとすぐに感じましたね。 ※彼女が自殺未遂を図った直後……明菜は89年7月11日、当時交際していた近藤真彦の自宅浴室で左腕を切り、自殺未遂を図った ◆角川春樹が絶賛した 当時、僕は作詞家の松本隆さんとも頻繁に仕事をしていて、松本さんが詞を書く予定の曲を聴かせてもらった。元C-C-Bの関口(誠人)君が作曲した曲で、聴いた瞬間、中森さん向きだと感じたんです。松本さんにそう告げたら、恐らく彼もピンと来たのでしょう。こうしてできたのが『二人静-「天河伝説殺人事件」より』でした。 ただ、この曲は当初から角川映画の主題歌になることが決まっていたから、勝手に彼女が歌うことはできない。そこで角川春樹さんに相談したところ、「僕は美空ひばりと同じくらい明菜が好きだ。ぜひ歌ってほしい」と快諾してくれました。映画本編は関口君の曲が流れ、CMなどプロモーションでは中森さんのバージョンが使われたんです。 中森さん自身もすぐに気に入り、レコーディングもスムーズに進んだんですが、このとき驚いたことがありました。「じゃあ歌ってください」と言うと、「いまから3通り唄いますから、いいものを選んでください」と、3つの歌い方を準備していた。 まずはすごくウイスパーな、囁くようなタイプ。「これが私はいいと思うけど、弱すぎるかもしれない」と言って、次は力強く唄い、最後はいわゆる中森明菜的にビブラートを利かせた唄い方をしたんです。僕はその時が初めて彼女とのレコーディングだったけど「やるな」と思ったし、録音に立ち会った松本さんも「さすがだね」と評価していました。 世の中には歌が上手い人が大勢いるけど、彼らが上手く歌えるのは誰かが歌った曲、つまり「鋳型」がある場合に限られる。譜面を渡してそれを見事に歌える人はほとんどいません。しかも、中森さんは3つのアプローチを用意してきた。そのどれもが高いレベルでした。 相当の実力がなければできることではありません。彼女はオーディション番組の『スター誕生!』出身だから、世間は彼女をアイドル歌手だと決めつけているけど、彼女はまぎれもなくアーティストですよ。 ◆『歌姫』誕生秘話 『二人静-「天河伝説殺人事件」より』の時もそうですが、彼女は「この曲がヒットしそうだ」というのではなく、作品として後世に残る名曲になるかどうかを大切にする人でした。 彼女自身、「自分は名曲を歌うために歌手になった」と言っていました。売れそうだとか、こんな曲がヒットしているからこういう路線でいきましょう、と言われても一切関心を持たない。反対に、そんな生半可なレベルで接しても納得しません。商品ではなく、作品を求めていると言ってもいい。 中森さんがワーナーからMCAビクターに移ってからは(※)、さらにその傾向が強まったと感じました。でも、名曲なんて簡単にできるものではないじゃないですか。そこで、彼女のアルバムを作ることになった時、名曲のカバーを提案したら、彼女もすぐに賛成してくれました。ただ、有名歌手とカラオケボックスに行っているような、大ヒット曲を集めただけのものにはしたくない。それは彼女も僕も同じ。 だから、地味で発売時の評価は高くないけれど良い曲を彼女と僕で集めることにしたんです。例えば、彼女のお母さんは歌が好きで、こんな歌が歌えるようにならなきゃダメだと言っていたのが、岩崎宏美の『思秋期』。カルメン・マキ&OZの『私は風』も、彼女が絶対に歌いたいと希望した曲。これは元々お姉さんが好きな曲だったようですが、ロックテイストの曲も見事に歌いこなせていましたね。 当時、カバーというのは二流の歌手がやるものというのが業界の認識だったけど、欧米ではそんなことはありません。むしろ過去の名曲を、時代を代表するシンガーが歌うことで、新たな価値を提供するというのはよくあること。ロッド・スチュワートの『ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック』はその代表だし、(フランク・)シナトラもカバーだし、(エルヴィス・)プレスリーもビートルズも初期はカバーをたくさんやっていた。 カバーもオリジナルも同等の価値があるというのが世界的には標準。『歌姫』の時「好きな歌だけ歌っていたい…」というキャッチフレーズを作ったんですが、『歌姫』は良質な曲を最高のアーティストが歌うというコンセプトで作られた、日本で最初のカバーアルバムと言ってもいいでしょうね。 ※MCAビクターに移ってからは……明菜は93~97年にかけてMCAビクターに在籍(現ユニバーサル ミュージック)。93年には、移籍第1弾となるアルバム『UNBALANCE+BALANCE』をリリース。翌年、初のカバーアルバム『歌姫』をリリースし、歌手としての新境地を開拓した ◆松田聖子は「ライバル」だったのか 実は『歌姫』の選曲をしているとき、松田聖子さんの『野ばらのエチュード』も入れる話が出ました。彼女がカラオケでもよく唄う、大好きな曲だからです。最終的に歌詞の設定が20歳で、今歌うにはちょっと違うのではないか、ということで外したような記憶があります。 よく世間は2人をライバル同士にしたがったけど、そんな意識はなかったはず。むしろ、中森さんは聖子さんの大ファンでした。だから、『歌姫』の2枚目では『瑠璃色の地球』を唄っています。言っておくと、あの曲は僕が作曲した曲だから、ゴリ押ししたとか言う人もいたけど、そんなプロデューサーとしてみっともないことはしませんから(笑)。 だいたい、そんな理由で中森さんは唄う曲を決めるようなタイプじゃありません。レコーディングには敢えて立ち会わなかったけど、聖子さんと中森さんの違いがこれほどなのか、と驚きました。 これは作詞の松本さんとも言っていましたが、聖子さんが歌うと、「壮大な宇宙の中にあるかけがえのない地球を私の愛で守りたいという女神の歌」というコンセプトになります。一方で中森さんの場合は、「分け与える愛もほとんどなくなっているのにそれでも与え続ける」ような、現代に通じるようなドキュメントになった。あのリアル感が中森さんの魅力なんですが、それは彼女自身のキャラクターそのものでもあるんです。 『歌姫』をレコーディングしていた時、彼女との打ち合わせや食事は当時「陸の孤島」と言われた麻布十番が多かったんですが、彼女は無防備で、誰とでもすぐ親しくなってしまう。その中には彼女をダマしたり、利用したりしようとする人間もいて、後に暴露本まで出されました。抗議すると逆恨みがエスカレートし、ドラッグをやっているという噂すら流されてしまった。レコーディング中だった僕のところに泣きながら電話が来たこともあります。 精神的に相当落ち込んでいるのが分かったので、僕の車に乗せて彼女をそのままスタジオに連れて行ったんです。レコーディングさせたら、少し気持ちが落ち着くだろうと思ったからです。根っからの歌手であり、アーティストってそういうものなんですよ。翌日にはなんとか落ち着きを取り戻し、スタジオに「みんなで食べて」と手作りのピザを差し入れしてくれました。 コミュニケーションが上手いわけではないけど、心の底では皆に好かれたいと思っているし、常に周りの期待にも応えたいと願っているんです。でも、それは同時にプレッシャーとして彼女にのしかかっていた。彼女はそれと常に闘っていました。 あえて言うことでもないけど、彼女は酒が好きで大量に飲むし、極端に辛いものが好きで、こちらが心配になるほどなんにでもタバスコをかけて食べていた。そういったことが、どうしても自分をいじめているように見えてしまいましたが、プレッシャーから逃れたかったのでしょう。 ◆「カムバック」はどうなる? 当時の芸能界において、アイドルは大人しく従順でなければいけないという考えがありました。彼女のように自分の意見を言うことは、バッシングの対象になった。でも、彼女が現れたことで、あの世界も少しずつ変わっていった。今は彼女が自己主張してきたことが評価されているし、だからカムバック待望論が出るわけです。 でも、これで彼女が芸能界の表舞台に出てくれば、必ず批判する人も現れるでしょう。ある女性週刊誌で、僕を連想させる匿名の人物が「明菜が紅白で復活する可能性がある」というような発言をしているみたいですが、僕自身は匿名の取材など受けません。これだけは言っておきます。 彼女にカムバックしてほしいファンは、今も心に残っているから再登場を願うのでしょうが、大切な思い出があるアーティストだからこそ、大切に見守ってほしいんです。ちなみに、僕は彼女サイドからカムバックについて相談を受けたこともないし、仮に受けたとしても、今の年齢ではスタジオで彼女と対等にやりあえる自信はないですね(笑)。 もっと若い、例えばKing Gnuの常田大希くんとか、藤井風くんなんかがプロデュースすると面白いものができるのではないでしょうか。僕自身もそれが実現すれば是非聴いてみたい。でもこんなことを言うと、やっぱり関わっているのではないか、と言われるんだろうな……。 取材・構成:平原悟
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