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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2022年12月号掲載
2022.11.10 @日本武道館
Reported by 三宅 正一 Photo by AZUSA TAKADA & Viola Kam[V’z Twinkle]
2022年11月10日、Base Ball Bearがバンド結成20周年イヤーの最終日にあたる日に10年ぶりにして自身3度目となる日本武道館単独公演”Base Ball Bear 20th Anniversary 「(This Is The)Base Ball Bear part.3」”を開催した。

お馴染みの出囃子SEであるXTC「Making Plans For Nigel」が正真正銘満員の武道館に鳴るとオーディエンスから万雷の拍手が起こり、小出祐介(Vo/Gt)、堀之内大介(Dr/Cho)、関根史織(Ba/Cho)がステージに登場。軽くそれぞれのサウンド・チェックをし、いつも通りドラム・セットの前で3人が声を掛け合うというこの20年続けてきた大切なルーティンを経て、1曲目「17才」からライヴはスタートした。2007年にリリースされたメジャー2ndアルバムの表題曲が、あのころの青い光輝はそのままに熟成された3ピースのグルーヴを持って放たれ、オーディエンスからは自然発生的にハンド・クラップが起こり武道館の熱量をじっくり上げていく。緊張感さえもじっくり味わいながら味方につけていくような丁寧且つ頼もしさを感じさせる演奏に引き込まれる。2曲目は現時点の最新アルバムの表題曲「DIARY KEY」だ。イントロで小出がひと言”こんばんはBase Ball Bearです!”と挨拶。各セクションの輪郭が際立つ盤石のアンサンブル、その迫力と精度の高さを生々しく響かせてみせる。

結成15周年、メジャー・デビュー10周年を迎えた2016年にBase Ball Bearが3ピース・バンドになって6年。バンドが生まれ変わった(生まれ直した)のだから、当然、ここまでの道のりは平坦ではなかった。2020年以降は他の多くのアーティストと同じく新型コロナウイルスの影響によりライヴ活動がままならなくなり、メンバーの足並みが乱れたこともあったと、インタビューでも語っていた。それでも彼らはバンドという生き物として止まらなかった。そして、この日、10年ぶり3度目の武道館にたどり着いた。誇張ではなく、この間に3人が培ってきたものを、ギター、ベース、ドラムの一音一音、それが三位一体となったグルーヴ、小出のヴォーカルからも序盤から感じ取ることができた。一転して、堀之内のカウントからスリリングに疾走した「LOVE MATHEMATICS」ではそのライヴ強者ぶりをいきなりまざまざと見せつけ、オーディエンスのテンションを一気に引き上げた。

堀之内が”これだけ多くのみなさんに来てもらっていきなり若干、感極まってます”とこぼした最初の短いMCタイムのあと小出が”我々のメジャー・デビュー曲を聴いてください”と告げ始まった4曲目の「GIRL FRIEND」からは、「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」、「short hair」、「初恋」と、初期から中期の楽曲が連なりその音楽模様はこの20年をつぶさに追い掛けてきた人には沁み入るものがあっただろうし、この日武道館で初めてBase Ball Bearのライヴを体感したという人は至極フレッシュな感触を覚えたのではないだろうか。あるいはその逆も然りで、Base Ball Bearが貫きクリエイトしてきた音楽像に息づいている青いまま色あせない生命力の高さを改めて提示するような趣があった。

小出いわく”武道館のシビアな退館時間”も意識しつつ”Base Ball Bearの持ち味”でもある長いMC。小出が武道館ライヴを開催するにあたり”緊張の神様”といかに付き合っているかという話をすると、関根も”私も緊張しいだから、いつも通り過ごそうと思って。今日ここに来るときもいつも通りスタバに寄ってきたんだけど。Twitterを開いたらうちのグッズを身につけたお客さんの投稿が出てきて泣いちゃった(笑)”と語り、オーディエンスから温かい拍手が起こる。

小出、堀之内、関根のトライアングルがマイク・リレーした「ポラリス」、Base Ball Bearにおける”ロック・バンドと歌”の原風景を垣間見ることができる「ホワイトワイライト」、その原風景からの深化に感情の機微を揺さぶられる「海へ」、常に新しい自分たちであるために変わり続けていくバンドのテーマ・ソングのようでもありライヴの鉄板曲として絶え間ないブラッシュアップを施している「Changes」までの流れもまた、3ピース・バンドとしての強靭さと矜持をその音と歌で力強く示した。

本編最後のMCで小出はこう言った。
“20年バンドをやってきて、特に大ヒット曲もなく、あと賞を貰ったりしたこともないですし、自分たちのことを無冠のバンドだと思ってまして。3度目の武道館の挑戦権を持つことができたのはこの20年応援してくださったみなさんのおかげだと思ってます。ありがとうございます。我ながらBase Ball Bearというバンドはメンバーが抜けたり、この20年みなさんがバンドを追い掛けていくモチベーションを提示できてきたかのかわからないですけど、自分たちのやりたいことを追求し、そこを信じて3度目の武道館ができるくらいのキャリアを積むことができました。本当にありがとうございます。横の比較をすれば今日よりも盛大な武道館公演ってあると思うんです。ただ、縦の比較として、我々の1回目と2回目の武道館公演を比較したときに実は今日、過去2回と動員が一緒なんです。しかも今回は平日開催という条件を考えたら、パワーとしては上がってるわけです。というところまで、我々を押し上げてくれたみなさん本当にありがとうございます。宝物だと思います”。

さらにこう続けた。
“バンドを始めたてのころは周りと違うことをやろうと考えていたし、3ピースになってからは「3ピースでもBase Ball Bearは大丈夫なんだよ」と認めてもらいたいから、そこにエネルギーを割いてきたことも結構ありました。でも、今は20年やってきた自分たちの地肩を信じることができている。みなさんの中に4人時代のBase Ball Bearがいるという人もたくさんいると思う。もちろん、それを否定するつもりはないし、4人時代の蓄積の上に今の僕らがいると当然思ってます。でも、武道館に20周年にして立つことができたのはこの3人で頑張ったからで。それをみなさんに新しい情報として理解してもらえたらと思います。これからの21年以降もよろしくお願いします”。

そして、”キッズな気持ちで作った”という10月にリリースされたばかりの最新曲「海になりたい part.3」が披露された。深淵な死生観が離れがたく付帯したこのラヴ・ソングを体現することで説得力に満ちたサウンド・プロダクションと歌の求心力も誇るBase Ball Bearの現在地を武道館に刻みつけ、ここからライヴは後半のセクションへ。

「すべては君のせいで」、「「それって、for 誰?」part.1」、「十字架You and I」、音源では客演に迎えているRHYMESTERのMummy-D(Rap)と宇多丸(Rap)のパートも小出が威風堂々と背負う「The Cut」と、ブラック・ミュージックのメソッドをBase Ball Bearがシグネチャーなロック・サウンドへと昇華させたタフな楽曲群をもってオーディエンスの身体を激しく揺らした。そこから武道館の熱を高めたまま「Stairway Generation」、そして「ドラマチック」と繋げ本編を終えた。

鳴り止まない拍手。会場が暗転したままメンバーがステージに再登場し鳴らされたアンコール1曲目の「風来」をドラマチックな様相で演奏し終えると、2023年に開催するツアーの発表とオーディエンスへの絶え間ない感謝をメンバーが述べ(その中には小出から”これからも解散しません!”という発言もあった)、最後はインディーズ1stミニ・アルバムの表題曲であり、ライヴでも育み続けてきた「夕方ジェネレーション」、そして、”生きている 音がする やんでも また再生しよう”というフレーズが感動的に武道館全体に響き渡った「ドライブ」で”Base Ball Bear 20th Anniversary 「(This Is The)Base Ball Bear part.3」”は幕を下ろした。
Base Ball BearがBase Ball Bearであり続けるためのBase Ball Bearだけのバンド・ストーリーは、21周年に突入している。


結成20周年を迎えたBase Ball Bearの新作。この時代を深く見つめながら描かれた”人生讃歌集”だという今作だが、ここには小出祐介(Vo/Gt)の中にあるだろう様々な意図や想いを深読みせずにはいられない言葉たちが綴られている。また、近年突き詰めてきた3ピース・サウンドはさらに洗練されており、曲が複雑化したというよりは、ピュアな気持ちで生み出されたものがそのままソリッドに研ぎ澄まされて進化を遂げているような印象。長年のベボベファンは新しさと懐かしさを同時に感じる部分もあるのではないだろうか。作品をひもとく”鍵”となる1曲目の「DIARY KEY」、メンバー全員で作曲した「悪い夏」、valkneeとのコラボ曲など全11曲。一曲一曲を大切に聴きたいアルバムだ。(三木 あゆみ)
“SYUUU”(=驟雨)とは夕立のことを指す。一見哀愁を帯びたイメージを持たれかねない言葉だが、夕立はしばらくすると止むものである。「SYUUU」はそんな雨上がりの晴れた空に似合う、爽快なリズムと共に新たな一歩を踏み出す人に寄り添うナンバーだ。対して「ドライブ」は、何気ない日常にある”生きている音”をメロウなメロディに乗せて表現するミドル・バラード。シンプルな3ピースのバンド・サウンドだからこそ、磨き上げられた音と小出祐介(Vo/Gt)のしなやかに伸びる歌声が際立っている。また、3人の歌声が美しく重なるコーラスも必聴。両曲を聴き終えると、ベボベがそっと照らしてくれた光によって自然と前を向ける、そんな1枚に仕上がった。(伊藤 美咲)
2010年代になぜヒップホップが覇権を握ったのかと言えば、ジャンル内ゲームから抜け出し自由に外側と接続することで、メタモルフォーゼを遂げていったからである。”ヒップホップだけど、ヒップホップじゃない”からこその面白味が、YouTube/SNS時代以降のジャンルレスな感覚とシンクロしたとも言える。そう考えると(特に日本の)ロック・バンドはいつからか、”ロック・フェス”という内々のゲームに拘泥してしまっていたように思えてならない。そして、それに対して常にラディカルな抵抗を見せてきたBase Ball Bearは、本作において”どうしようもなくロック・バンドなのに、これまでのロック・バンドとは明らかに違う”という境地に辿り着いた。新たなディケイドの幕開けに相応しい。(金子 厚武)
“3人の音”にこだわったのはライヴにおける再現性の重視が大きな理由だが、それは録音物としてトラック的な音作りと肉体性の同居を表現するための最適解でもあり、間違いなくこれまでのバンド像を更新する作品となった。関根史織(Ba/Cho)のアイディアから曲作りが行われた「試される」と「PARK」は、やはりベース・ラインが楽曲の主役で、存在感抜群のフレージングとミッド・ローの抜けの良さによって強い印象を残す。堀之内大介(Dr/Cho)も含め3人がヴォーカルやソロを担当し、徹底的に”3″にこだわったリリックが小出祐介(Vo/Gt)のナードっぷりを際立たせる「ポラリス」も最高。DISC 2には2018年10月に行った”日比谷ノンフィクションⅦ”のライヴ音源も収録している。(金子 厚武)
本作を前にすれば、『C2』での大胆な音楽的変化は、ここへ向かうための通過点だったように思えてくる。もちろん、それは湯浅将平(Gt)の脱退によって結果的に導かれたものではあるが、国内外の音楽を対象化することによって、自分たちの独自性を獲得してきたバンドが、ここに来て音楽と本質的に向き合ったという事実はとても大きなことだ。一方で、”青春”を対象化することによって、”時間”を描き出すという、コンセプターとしての小出祐介(Gt/Vo)は、本作でもキレキレ。歌詞が青春から今へと向かうのに対して、音楽的には逆にルーツを遡り、ファンキーなカッティングからスタートしつつ、UKロックを経由して、ラストの「Darling」でブルースに辿り着くという構成もお見事。新たな扉を開いた、真の転機作。(金子 厚武)
ベボベことBase Ball Bear初のダブル・タイアップによるダブルA面シングル。RHYMESTERや声優の花澤香菜と共演した『THE CUT』から一転、”締め切りも、契約もある”という一節に思わず、あれこれと想像を膨らませてしまう「ファンファーレがきこえる」と「senkou_hanabi」ともにギター・ロック・バンドとして彼らが持っている醍醐味をストレートに打ち出してきた。焦燥感いっぱいの同世代のリアルと刹那的な10代の青春。それぞれテーマに違いはあってもどこかオプティミズムが感じられるところが清々しい。疾走感で押す「ファンファーレがきこえる」、巧みなアレンジで聴かせる「senkou_hanabi」。それぞれに魅力があるが、個人的には関根史織(Ba)がハーモニーを重ねた後者に聴きごたえを感じる。(山口 智男)
今年2月にベスト・アルバムとシングルを同時リリースし、全国ツアーと6/15の日比谷野外大音楽堂でのワンマンも大成功を収めたBase Ball Bearから、新曲3曲+64分に渡るライヴ音源を収録したミニ・アルバムがリリースされた。RHYMESTERとのコラボ曲「The Cut」はベボベがこれまでで築き上げたダンス・ビート、DJ JINのダイナミックなスクラッチ、小出祐介のソフトなヴォーカル、宇多丸とMummy-Dの切れ味鋭いフロウとライム、全ての相性がばっちり。自然と体が揺れるキャッチーな楽曲だ。関根史織(Ba)と声優の花澤香菜のツイン・ヴォーカル曲「恋する感覚」は小出のポップ・センスが炸裂したキュートなナンバー。ギターが刻む緊迫感が心地よい「ストレンジダンサー」も新たな側面を覗かせる。 (沖 さやこ)
アニメ『惡の華』の主題歌を完全収録したコンセプトEP。宇宙人によるOP曲「惡の華」は、しのさきあさこ、後藤まりこ、の子(神聖かまってちゃん)、南波志帆をそれぞれヴォーカルにフィーチャーした全4種類が収録され、ED曲であるASA-CHANG & 巡礼の「花 -a last flower-」も収録。物語の不穏な空気感、歪さを表現するため、ロトスコープと呼ばれる実写を元にした映像作成も話題を呼んだアニメだけあって、音楽においてもアニメならではの世界観を生み出そうとしていることが、本作を聴けばよくわかる。出口の見えない陰鬱な青春が、それぞれの楽曲に見事に表現されている。その中でボーナス・トラックとして収録されたBase Ball Bearの「光蘇」は、暗闇の中、かすれた瞼に映る微かな光のようで、美しい。(天野 史彬)
「DEATHとLOVE」をテーマに作られたBase Ball Bear 初のコンセプト・アルバム。3.5thアルバムというクレジットの通り、同コンセプトのもと制作された2タイトルの同時リリースとなっている。コンセプトが”DEATH とLOVE”って…。ベタだなーと思っていたが、このベタベタ具合が、ある種J-POP 的ともいえるドラマチックなメロディ・センスと楽曲の構成力を持つ彼らとはベスト・マッチだったよう。様々なジャンルを取り入れた曲作りをしながらも、楽曲のドラマ性を最大限尊重するプロデュース力が際立っているのだ。『CYPRESS GIRLS』は男性目線の情熱的で力強い意思表示の躍動的な作品。『DETECTIVE BOYS』は女性目線の曲が多く、やわかいタッチの作品で、思わずドキドキさせられるロマンチックが溢れた作品。一つ言えることは、確実にベボベの新たな側面が見られますよ!(島根 希実)
Base Ball Bearというポップで可愛いバンド名から想像していたサウンドとは違い驚いた。学園祭に出演するためのバンドとして始まったのが2001年。そこからライヴ・バンドとして着実に力を付けていき2006年にメジャー・デビュー。これまでに2枚のアルバム、11枚のシングルをリリースしている。そしてこの作品は4曲のタイアップ・ソングを含む1 年9 ヶ月ぶり、3枚目のアルバムとなる。エッジーなギターとタイトなバンド・アンサンブル。言葉に気持ちをぶつけていくエモーショナルなボーカル。疾走感溢れるサウンドがとにかく気持ちがいい。今作は加速していく彼らにとっての代表的な一枚となるだろう。(遠藤 孝行)
2019年の自分の体感としては、もう1回”バンドかっこいい”がくるんじゃないかと思ったんです
“0から1″の作業をリズム隊にやってもらうことで、肉体的なバンドの音作りができた
自分にとっての青春が何だったのかようやく言語化できて、”未解決事件”なんだなって思ったんです
2022.11.10 @日本武道館
2022.03.06 @日比谷公園大音楽堂
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Skream! 2022年11月号

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