孤高の求道者プリンス <さんいん洋楽愛好会> – 山陰中央新報社

POP

 2016年に亡くなった人気歌手プリンスは一見、何だか気持ち悪い。裏声も、ルックスも、やたら肌をさらすところも。それが聴くうちに、かっこよく思えてくる。プリンスになりたいと思うほどに。
 一番好きな曲「KISS」(1986年)はチュパチュパ音が最高だ。ファンキーなギターも聴きどころ。Mrマリックのテーマ曲に使われた「レッグス」などで知られる音楽ユニット、アート・オブ・ノイズがカバーしたが、サラッとしていて原曲のインパクトはない。あのねちっこさはプリンスならでは、か。
 中学時代、友人の勧めで「パープル・レイン」(84年)を聴いたのが最初。8分を超す長い曲なのに、歌はほぼ前半だけというのが大胆だ。後半はギターと「フー、フーフーフーフー」といった声で延々と聴かせ、余韻がすごい。
 当時、聴いていたシンディ・ローパーの「ホエン・ユー・ワー・マイン」の原曲はプリンスだと知り、親しみがわいた。ちなみに、この曲はシンディのカバーの方が好きだ。個性を生かして自分の歌にしているという気がする。
 ほかに好きなのは「リトル・レッド・コルベット」「ビートに抱かれて」など1980年代の曲ばかり。映画とタイアップした89年のアルバム「バットマン」は、悪くないけど何か違うなと思い、その後、記号みたいな名前になって以降は聴いていない。
 多くのミュージシャンに影響を与え、自らもさまざまな音楽を取り込んだ。
 例えば「ソー・ブルー」という曲は、尊敬する歌手ジョニ・ミッチェルへのオマージュだという。ジョニは一時期、エレキベース奏者ジャコ・パストリアスとよく共演していた。そのせいか、この曲にはジャコの曲「コンティニューム」に似たベースのメロディーもあり、興味深い。
 インディーズバンドのコクトーツインズにも注目していたらしい。「ティク・タク・トゥー」は触発されて作った曲だといい、幻想的な雰囲気が似る。コクトーツインズは、ささやくような裏声で「天使の歌声」と呼ばれるエリザベス・フレイザーのボーカルが最大の特徴で、幻想的な曲と相まって個性的なバンド。プリンスが注目したのは曲の方だというのが面白い。
 とても個性的で人気者なのに、飽き足らない。孤高の求道者というべきか。
  (志)
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