スティーリー・ダン/ロックからジャズへの接近 <さんいん洋楽愛好会> – 山陰中央新報社

POP

 スティーリー・ダンは、ドナルド・フェイゲン(キーボード、ボーカル)とウォルター・ベッカー(ベース)が多数のミュージシャンを雇って厳選した演奏で曲を作るユニットとして知られる。初期のバンド形態は途中で崩壊し、曲はジャズ色を強めていった。
 1970年代から80年代にかけてはジャズからロックへのアプローチがある一方で、ロックからジャズへのアプローチもあった。自らのギター演奏で追求したのがジェフ・ベックだとすれば、スティーリー・ダンは外部のミュージシャンを巻き込んだ。
 初期のアルバム「プレッツェル・ロジック」(1974年)でも、ピアノ奏者ホレス・シルバーの曲のイントロを拝借したり、サックスの巨匠チャーリー・パーカーにささげる曲を収めたりとジャズに目を向けていた。
 長い活動休止に入る前の全盛期最後のアルバム「ガウチョ」(80年)は到達点だ。収録曲「タイム・アウト・オブ・マインド」「バビロン・シスターズ」はクールな演奏とコーラス陣の歌声が美しい。
 「タイム―」にサックス奏者デビッド・サンボーンが加わっているのがうれしい。ただし背景的に使われただけで「泣きのサンボーン」と呼ばれる本領は発揮されていない。この曲はフェイゲンとベッカー以外にトランペットのランディ・ブレッカー、サックスのマイケル・ブレッカーら13人も参加し、詰め込みすぎだと思う。ギターのマーク・ノップラーくらいしかソロがなく、もったいない。
 記者は過渡期のアルバム「幻想の摩天楼」(76年)が一番好き。収録曲「アルタミラの洞窟の警告」は映画のようなドラマチックなイントロや美しいキーボードがよく、サックスのソロが情感を高める。ほかの曲もラテン風、レゲエ風などバラエティー豊かで、泥臭さが残るのもいい。フェイゲンの癖のあるボーカルともマッチしていると思う。
 「ガウチョ」同様に洗練度の高いアルバム「彩(エイジャ)」(77年)でも、収録曲の中では異色のポップな曲「ペグ」の方がフェイゲンの歌を楽しめる。
 昨年ライブで鳥取市に来た大黒摩季がMCで下積み時代の米国武者修行に触れていて、ハスキーボイスを褒められ、例えられたという歌手3人にフェイゲンが入っていた(ほか2人はスティングとマライア・キャリー)。大黒摩季の口からフェイゲンの名前が出るとは意外だったが、フェイゲンの歌もダンの魅力なのだと改めて感じた。
  (志)
 
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