Mrs. GREEN APPLE | Skream! ライヴ・レポート 邦楽ロック・洋楽 … – Skream!

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LIVE REPORT
Japanese
Skream! マガジン 2023年01月号掲載
2022.12.27 @Zepp DiverCity(TOKYO)
Writer : 石角 友香 Photographer:鳥居洋介
Mrs. GREEN APPLEが全国14公演にわたるツアー”Mrs. GREEN APPLE Zepp Tour 2022 ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~”を完走した。7月のフェーズ2初のライヴ時は彼らの特別な存在感を再認識したが、今回は、バンドはツアーをすることで、その”肉体とシステム”に血液が巡ることを痛いほど実感した。進化と不変。2022年のミセス(Mrs. GREEN APPLE)はそれを証明したのだ。

フル・キャパシティのフロアは久しぶりに開演前の興奮が伝わる賑わい。SEに乗せ、サポート・メンバーも含む5人が2段になったセットに立つ。まず若井滉斗(Gt)のフィードバック・ノイズから「藍」がグッとプリミティヴなリズムで放たれた。Zeppにはオーバー・スペック気味の膨大なムーヴィング・ライトも相まって、ステージ上もフロアも最大限のパワーを放出する。前回がアリーナ公演だったせいもあるが、メンバーがより近く感じられた。テンポ良く「灯火」、「ニュー・マイ・ノーマル」と新旧の楽曲を違和感なく繋いでいく。メンバーは立ち位置から動かず、特に大森元貴(Vo/Gt)はアップ・チューンでも端正な所作で、歌詞を補完していった。

MCでは大森の発言に歓声が上がるだけでなく、直接質問するファンもいて、存外カジュアル且つ頼もしいムードができあがっている。コロナ禍と活動休止期間にファンになった10代のリスナーもいたはずだが、周りに食らいつくというより、楽しさや感激で自然とアクションしているように見受けられた。

イントロが鳴り始めてから”次の曲だけ写真撮影OKです”とさらっと大森が言い、「CHEERS」が演奏されたが、ずっとスマホを掲げているファンは少数。ステージ上に並ぶ4つのミラーボールがフロアや天井にまき散らす光は祝福するようだ。さらにクラカズヒデユキのトライバルなドラムが映える、アリーナに似合いそうな「How-to」。そのままシーケンスで繋いで”行けるか? Zepp、「インフェルノ」!”の叫びもろとも同曲へ。落ちサビのカオスな展開を見せるアンサンブルは、単にこの曲がハードでアッパーなアレンジを超え、ライヴの中でより深い存在に育ってきたことを印象づけた。さらに藤澤涼架(Key)とドラムの掛け合いがシンコペーションになっているイントロは、リアレンジされたものだろう。「No.7」のユニークでちょっとコミカルな展開がさらにブラッシュアップされている。大森のフロントマン気質というか、存在がコンサート・マスターのような司令と飛ばす迫力が完全に戻ってきた。そして若井も藤澤もパーソナル・トレーニングやダンス・トレーニングの成果がパフォーマンスに明確に出ていて、軸がしっかりした姿勢から放たれるリフやフレーズが格段に明快になったのだ。これは本当に頼もしい。
また、3人を支える森 夏彦(Ba)とクラカズのプレイヤーとしての確かさだけでなく、ミセスの楽曲の理解も演奏を深化させている。

爆速で飛ばしたあとメンバーを紹介し、大森が、情緒が一定じゃないセットリストなのでアクティヴな曲のあと急にフラっとするかもしれない、その際は遠慮なく近くの人に声を掛けて、とカーム・ダウンするように「soFt-dRink」へ。転調や大森の地声とファルセットの行き来が、穏やかな曲だからこそエモーショナルだ。ここから内省的なターンに入るのだが、藤澤のピアノをたっぷり聴かせ、大森のヴォーカルも喉の使い方を自在に変化させる新しいアレンジでの「青と夏」、そして大森がフルアコを爪弾きながらポツポツと弾き語りする「僕のこと」。1番をひとりで、2番をバンド結成後ずいぶん経過し、この曲を完成する際に作ったという経緯に沿うように、2番で楽器の音が足されていく。不安や怖さを抱えているのは当たり前のことで、何かを発信することで誰かと出会い、思いが共振する。怖くても止まらないこと。この曲の意味とは違うけれど、年末に労いのメッセージを受け取った気分になってしまった。大人も救われる。

さて、今回のツアーがよほど楽しいのか、MCは彼らのコメント動画などで見られるようなシュール且つインプロのような爆笑モノの会話が頻発。大森が藤澤と若井に、映画“ONE PIECE FILM RED”のウタに提供しセルフ・カバーもしている「私は最強」を、”どこまでノー・ブレスで歌えるか”と対戦を仕掛け、ふたりとも酸欠になるまで歌い切る身体を張った挑戦が笑いを誘う。壮大な前フリを踏まえたうえで披露された「私は最強」は、改めてミセス節をウタ(Ado)というヴォーカリストにストレートに投げた曲だったのだなと認識。ここから始まったブロックはバンドのタフさがさらに冴える。「Soup」、「アボイドノート」と、複雑なリズム・チェンジも含むアンサンブルに5人のグルーヴを存分に感じた。そして、ようやく演奏された大森がハンドマイク、若井がグルーヴィなカッティングをしながらステージを移動する「ダンスホール」も、ロック・バンドが演奏するソウル・ナンバーといった趣きで、ロング・ヒット・チューンであると同時に、ミセスのライヴの幅を大いに拡張した感じだ。

長めのMCでは若井が久々のツアーで、地方でも待っていてくれたファンの存在を確認でき、改めて感謝の気持ちに溢れているとストレートに伝えたところに、大森がコード・カッティングして若井に即興ラップを促すと、なんとか形にしてしまう。ツアーは明らかにメンバーを鍛えたようだ。

続いて、リリースは最近だが、曲を作ったのはかなり前という意外な選曲の「スターダム」。重心の低い8ビートを堂々と届けるタフさがあった。さらに今回のライヴでのリアレンジで大胆に変化していて驚かされたのが、ミセスの基本姿勢であり、人間の倫理観にも触れる「パブリック」。静けさと強めの演奏がスイッチし、トーキング調のヴォーカルを挟むことで、より言葉が刺さるアレンジに進化していたのだ。ミセスのスタンダードと言えるこの曲に続いては実験的な「フロリジナル」。音源でのエディット感のある音の貼り合わせを生でも実現していて、パズルのような演奏に耳を澄ませてしまう。これまで大森の高度な歌唱や彼のカリスマ性を軸に、半ば力技で牽引してきた印象もあったのだが、明らかにメンバー全員でライヴ・アレンジを深め、研ぎ澄ませてきた演奏が続いた。本編ラストの「CONFLICT」も生音の良さに引き込まれてしまった。

アンコールではどデカいお知らせ3連発――結成10周年を迎える2023年は4年ぶりのフル・アルバムのリリース、7年ぶりの対バン・ライヴ、そして3年半ぶりのアリーナ・ツアーを発表し、ファンが狂喜するだけでなく、メンバーも嬉しさを爆発させていた。最後の最後にメジャー・デビュー曲「StaRt」、そして最新曲で”この曲を書けたことで次に行けた”と大森が語った「Soranji」という、ミセスが歩いてきた軌跡を集約するような展開をエンディングで見せてくれたのだ。ブレスからいきなりのトップ・ノートへ突き抜ける「Soranji」の歌い出しの迫力は、巧さだけで実現できるものじゃないだろう。再始動時の不安を、曲を作りライヴをすることで乗り越えてきた2022年の締めくくりに相応しい、記憶に刻まれるツアー・ファイナルだった。
[Setlist] 1. 藍
2. 灯火
3. ニュー・マイ・ノーマル
4. CHEERS
5. How-to
6. インフェルノ
7. No.7
8. soFt-dRink
9. 青と夏
10. 僕のこと
11. 私は最強
12. Soup
13. アボイドノート
14. ダンスホール
15. スターダム
16. パブリック
17. フロリジナル
18. CONFLICT
En1. StaRt
En2. Soranji


“我らは尊い。”という言葉は非常に危うい側面も持つと思うが、それが生死の境目にいる人を生の側に繋ぎ止める言葉だとしたら、と想像する。目の前の人にも遠くにいる人にも伝わるか確信がないとき、魂を振り絞って”そらんじる”ことを、壮大なようでいて勘違いをさせない控えめな品性も伴ったアレンジで仕上げたことが、「Soranji」最大の留意点だったのではないだろうか。映画”ラーゲリより愛を込めて”のどんな場面で響くのか期待が募る。2曲目は”フェーズ2″のキックオフに作られたという、Adoに提供した「私は最強」のセルフ・カバー。自身を鼓舞するニュアンスも含まれたまさにアンセムだ。3曲目はミセスがプロデュースするフレグランスが持つ”香階”にあたる音階から誕生。ポップ且つ幻想的な新たな仕上がりだ。(石角 友香)
『Variety』から7年。同作と対になる部分も散見されるフェーズ2の1作目。サビへの飛翔やビート感にらしさを窺わせながら間奏で若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)共にブラッシュアップしたリフの応酬を聴かせる「ニュー・マイ・ノーマル」、ホーン・アレンジやカウンター・コーラスやギター・カッティングが鮮やかな「ダンスホール」、高速BPMでasmiとスリリングな掛け合いをする「ブルーアンビエンス」、アトモスフェリックなSEがモダンな印象を添えながら、幹になるバンド・サウンドは骨太な「君を知らない」、「インフェルノ」を洗練させたようなソリッドなマイナー・チューン「延々」、90年代的なピアノ・バラードに大森元貴(Vo/Gt)の本音が刻まれた「Part of me」。再開に相応しい6つの表明と言えそうだ。(石角 友香)
日本のミレニアルズ~Z世代の不安と理想を映し出しつつ半歩先を走ってきたミセス、結成からの7年を集約。初期の高速BPM且つ情報量の多い「StaRt」や「Speaking」。人間としての成長がおおらかなサウンド・プロダクションに着地した「どこかで日は昇る」、音楽のエンターテイメント性を積載した「Love me, Love you」。ミセスがミセスたる所以とも言える、人の摂理や矛盾にフォーカスする「パブリック」と「アウフヘーベン」という一対の曲。さらに、生身の音を聴かせる新曲「アボイドノート」。初作品収録で今回再録した「スターダム」が冒頭を飾り、ラストにまったくの新曲「Theater」を配置したことにも注目。バンドという概念を更新し続けてきた、”フェーズ1″を凝縮した初ベストだ。(石角 友香)
オーケストレーションやエレクトロ、R&Bなどウィングを前作で広げ、そもそもミセスがどんな態度=Attitudeで音楽を奏でているかを証明するかのようなアルバム。ギター・ロック成分に驚いた「インフェルノ」やエクストリームな「Ke-Mo Sah-Bee」、より素直なギター・ロック「嘘じゃないよ」、ロマ風の弦のアレンジと日本語に聴こえないAメロがユニークな「Viking」、ヴォードヴィル的な華やかさの中にQUEENを想起させる大仰な転調が盛り込まれた「lovin’」。展開の多さでは「ロマンチシズム」も共通するニュアンスが。また、大森元貴の歌と藤澤涼架のピアノのみで展開する「Circle」のシンプル故の個性。そして、ありのままを定着させた理由は楽曲「Attitude」で確かめてほしい。(石角 友香)
2019年第2弾シングルは資生堂”SEA BREEZE”のCMへの書き下ろし。が、CMで流れるパンキッシュなブロックの次にキモになる”愛を愛し”という威風堂々としたサビが登場する。そのあともめくるめく展開を見せるあたりが『ENSEMBLE』以降の曲構成といった印象。加えてラヴ・ソングにも取れるが、根っこには倫理観がしっかり根を張っているのは大森元貴(Vo/Gt)らしい。「How-to」はアグレッシヴなエレクトロとエッジの効いたギター・リフ、トリガー的なドラム・フレーズが拮抗する仕上がりが痛快だ。そして「月とアネモネ」は2014年にすでにあった曲を今回完成させたもの。キメの複雑なポスト・ロック的なパートや大森と山中綾華(Dr)のAOR的なデュエットも聴きどころだ。(石角 友香)
2019年第1弾リリースは、大森元貴(Vo/Gt)が”勝負やスポーツに対して曲を書いたことがない”なかで、彼ならではのスタンスで”第97回全国高校サッカー選手権大会”のために書き下ろしたナンバー。そのタイトルが”僕のこと”なのは、自分がどう生きているかを歌うことでしか、エールを送ることができないという意味なのではないだろうか。静かな歌い出しから、ストリングスやホーンも加わったスケールの大きなサウンドが立ち上がるアレンジは、顔を上げると仲間やライバルのいるスタジアムを想起させ、ラストは静かに閉じる。見事な構成だ。アッパーななかに切なさが溢れるミセス節と言えそうな「灯火」、サンプリング的な感覚を生で演奏し、ピアノが存在感を示す「Folktale」も新章を示唆している。(石角 友香)
ミセスが3rdアルバム『ENSEMBLE』からわずか3ヶ月半でニュー・シングルをリリース。本作では、久々にバンド・サウンドに回帰している。映画”青夏 きみに恋した30日”の主題歌として書き下ろした表題曲は、疾走感溢れるアッパー・チューンで、同映画の挿入歌「点描の唄(feat.井上苑子)」は、しっとりとしたデュエット・ソング。3曲続けて聴くと「ア・プリオリ」だけが異色に感じられなくもないが、前2曲が体現する夏および青春特有の儚い煌きは、大森元貴(Vo/Gt)に”ア・プリオリ”な視点があるからこそ描くことができるものだ。尖った曲だけでなく、多くの人に対して開かれた曲の中でここまで彼らが裸になれたのは、今回が初めてではないだろうか。(蜂須賀 ちなみ)
音楽そのもので夢や希望や理想を表現すること、それがMrs. GREEN APPLEの指標だったと、そもそもの彼らの志向が実現したことに快哉を叫びたくなる。ミュージカルを思わせる「Love me, Love you」に始まり、1曲の中で楽器編成が変わり、ストリングスも含めすべての楽器が歌うような「PARTY」、ヒップホップやビートに新世代ジャズ的な面白さまである「REVERSE」、MONGOL800のキヨサク(Vo/Ba)を迎えた「はじまり feat. キヨサク from MONGOL800」など、多彩を超えて1曲ごとの強度が凄まじい。そこにこれまでのミセス節が残るシングル群やEDMナンバーも加わり、さながら音楽のアミューズメント・パークが出現。なんとも体験的だ。(石角 友香)
前作『WanteD! WanteD!』、そしてデジタル・シングル「WHOO WHOO WHOO」でバンドが表現するEDMの究極まで振り切ったミセス。2018年第1弾はまた異なるベクトルに振り切ってきた。まず表題曲の「Love me, Love you」はホーンが煌びやかで、ダイナミックに展開するミュージカルのようなビッグ・バンド・サウンドに驚く。だが、大森元貴(Vo/Gt)の脳内に広がる希望の世界を表現するために、このサウンドスケープや世界観は必然なのだろう。早くライヴで自由にリアクションしたい曲だ。2曲目の「Log (feat.坂口有望)」はドラマ”僕たちがやりました”のサントラも作曲している注目のキーボーディスト/プロデューサー Kan Sanoとシンガー・ソングライター 坂口有望が参加。また「春愁」も初音源化して収録。(石角 友香)
メジャー・デビュー2年で早くも5枚目のシングルとなる本作。タイトル・チューンの「WanteD! WanteD!」はコミック原作のドラマ・テーマならではの荒唐無稽さもありつつ、”このままでいいのか?”という10代の焦燥感はドラマ”僕たちがやりました”と自然とリンクする内容。大げさに言えばポスト・トゥルースの時代を君はどうやってサバイヴするのか? という命題をエレクトロ・ファンクやモダンなR&BなどUSのトレンドとも符合するタイトなアレンジに昇華したのが新しい。「On My MiND」は随所にデビュー当時からの代表曲「StaRt」をアップデートしたような仕上がりで、過去と今の対比が最もわかるナンバー。加えて大森元貴(Vo/Gt)が中3のときに書き、ついに音源として完成した「光のうた」の明らかな”祈り”のような優しさにも驚かされる。(石角 友香)
ツアー真っ只中のミセスから早くも4作目のシングルが到着。2ndフル・アルバムから「鯨の唄」が新たなスタンダードとして脚光を浴びる今、今回のリード曲「どこかで日は昇る」もスロー・テンポでストリングスが効果的に施されたアレンジなど、”聴かせる”ミセスの真骨頂だが、名曲的なムードに収まり切れないサビでの違和感のある転調や、大森元貴(Vo/Gt)の振り切れるエモーションに彼らの個性を見る。売れない女漫才師が主役の映画”笑う招き猫”主題歌としてもしっくりくる仕上がりだ。打って変わってアッパーで踊れる「スマイロブドリーマ」は、生音とエレクトロニックのいずれもがソリッド且つポップで突き抜けた仕上がり。ビートのアプローチがユニークな「SwitCh」も含め、バンドがどんどんタフになっていく過程を体感できるシングル。(石角 友香)
これまでの10代の壊れやすくて柔らかい心を誰よりも理解し、並走してきたミセスのエモーショナルな部分はもちろん残しながら、より日本のロック・シーンのトレンドに拘泥することなく、純粋にポップ・ミュージックとしての完成度を圧倒的に上げてきた2ndアルバム。プログレッシヴな展開を持つ「絶世生物」での楽器隊の成長、ストリングス・アレンジも決して大仰に聞こえない歌と演奏のダイナミズムが堪能できる「鯨の唄」や「umbrella」、エレクトロ・サウンドでヴォーカルも全編オートチューンのダンサブルな「うブ」、どこか海外ドラマのワンシーンを思わせる「Just a Friend」など、アルバムの中でピーク・ポイントが何度も訪れる。シングル曲「サママ・フェスティバル!」、「In the Morning」も絶妙な流れで配置されている。(石角 友香)
シンセ・ポップの手法を勢いのあるアレンジで消化したサマー・チューン「サママ・フェスティバル!」の明るさから、硬派なメッセージを歌うバンドとしてのMrs. GREEN APPLEの第2章、そんな胸騒ぎがするのが今回の表題曲「In the Morning」だ。よりピアノ・ロック感が増した印象は、他の楽器の音数も曲に必要なものかどうかを吟味したからだろう。楽しいばかりじゃない、むしろちょっとしんどい朝の始まりに、無理矢理笑顔になることなく心を強く前向きに持てる、そんな1曲だ。Track.2の「ツキマシテハ」での思いを言い放つような強い調子の言葉や、ラストの大森元貴(Vo/Gt)の絶唱は表題曲とは対照的だが、対にして聴いてみてほしい。Track.3の「Oz」は寓話的な展開を様々な楽器の打ち込みで膨らませた音像もまさにマジカル。(石角 友香)
白飛びするような夏の光と解像度の高い情景が、”サママママ・フェスティバル!”という若干突拍子もない歌い出しとともに、すごいスピードで描き出されるミセス流の夏曲が登場。シンセ・ポップ寄りのアレンジだが、スピード感は加速した印象。加えて、シングルでは各々独立した濃い意味合いを持つ楽曲を収録するというスタンスから、ピアノや弦楽四重奏が効果的に配置された「umbrella」は、大森がいつかのライヴで話していた”音楽を作らずにはいられないが、作ることによって苦しみもする”という心情がうかがえる。もう1曲はライヴでも場面転換的な曲として人気の「ノニサクウタ」が音源化。ミセスの特徴のひとつである”音楽隊”としての魅力を表現した、オーガニックなアンサンブルが楽しめる。(石角 友香)
テクニカル且つ踊れるビートのTrack.1「愛情と矛先」や先行シングルのTrack.2「Speaking」で鮮やかに聴き手を受容。そしてライヴのラストなど重要な位置で演奏してきたTrack.3「パブリック」もついに音源化したことから、今のミセスの覚悟が窺える。また、スローなピアノ・バラードに明確に舵を切ったTrack.6「私」の新鮮さ、ミセス流のグランジとも言えるTrack.8「ミスカサズ」のヘヴィネスとソリッドさなど、美しさも黒い感情も振り切ったサウンド・プロダクションで表現。明るくスタートし、徐々に内面に潜り、終盤では未来を見据えるような前向きなニュアンスが訪れるという”体験型”のアルバム構成だ。テン年代ロックの未来を19歳の大森元貴という才能が描いたという意味でも記念碑的。(石角 友香)
空気を読めるようになるとか、SNS上で尖った言葉にも傷つかないように殻を作ることは本当の強さだろうか。シンセや同期が鮮やかに弾けると同時にこれまで以上に重心の低い太いベース・ラインが心臓が脈打つような印象を残し、サビの”僕には話してよ”から繋がるラテン・テイストなコーラスも相まって、大森元貴(Vo/Gt)の”届け、気づけ”という祈りは音楽的にとてつもない情報量をまとったキャッチーさへ昇華されている。メジャー1stシングルとしてもミセスの声明としても最強だ。Track.2「恋と吟(うた)」は曲作りを始めたころの楽曲で、思いの吐き出し先が音楽にしかない苦しさと表現者の宿命すら感じさせる切実さも。Track.3「えほん」は絵本を通じて無償の愛に包まれたころの記憶と自分もそれを持ち得る微かな光が見える。(石角 友香)
遊園地もしくは高速チェンバー・ポップなTrack.1「StaRt」は些細なことでも幸せと気づけないんならスタートに戻ろうという、ミセスの所信表明。続く「リスキーゲーム」は最も古い曲ながら3度目のRECで最新型に。深い海の底に沈むようなイントロが孤独という本質と”Love Person”の存在を示唆する「L.P」。”鈍感vs繊細”という単純な図式に回収できない自分の命の濃さに翻弄されるような「VIP」、ボロボロになった気持ちにそっと毛布をかけてくれるような「ゼンマイ」、そして”こんな世界を未だ憎めないのは何故か”という歌詞の一節をリスナー自身で見つけるようにラストに用意されている「道徳と皿」の平熱のポジティヴィティ。避けては通れないリアルな心情を変幻自在なポップ・ソングに結晶させた新たな世代の1枚。(石角 友香)
家族、恋人、友人、同僚、クラスメイト、その他数え切れないほどの人、人、人。不特定多数の人との繋がりの中で傷つき、転がり、そして救われていくことで自分がやっと見えてくる。感情を共有するから喜怒哀楽が生まれる。Mrs. GREEN APPLEは、初の全国流通盤となる今作でそういった大切なことを歌った。作詞/作曲/編曲すべてを手がける18歳のフロントマン大森元貴の鋭いアンテナでキャッチされた混沌とした不安や孤独、敏感な心で感じる大切な人への願いは、5人の眩しい衝動によってすべて音に刷り込まれている。「WaLL FloWeR」で歌われる”素晴らしいと思えるように醜いと思ってみよう”という言葉の通り、肯定する強さを持った彼らの音は燦々と眩しく光っている。(齋藤 日穂)
バンドが人と連なるってこういうことだなと思うし、それをあえて”Unity”と呼ぶっていうのがこの作品だったんです
ミセスの核を今再び伝えるための姿勢=アティテュードそのものの4thアルバム
何が音楽的なのか考えたとき、この5人でしか鳴らせないアンサンブルを突き詰めることなのかな? と思ったんです。
肯定するような言葉がシングルでは続いてきたけど、今回は”ほんとにそれでいいの?”っていう内容のシングルだと思う
いい映画だし、いい曲を書くのは大前提で、ただの”いい曲”では終わりたくなかった
邦ロックがどうとかじゃなく、自分たちが思う音楽の自由なあり方を提示したかった
「In the Morning」は聴く人を信じて委ねる、今までになかったちょっと大きな曲
難しいことをやってるわけじゃないから、より自分たちの色が濃く出たと思う
アルバム1枚で”12個のコンセプトを歌う”――その濃度の意味
自分たちがいいと思ったものを際限なく取り入れているバンドが織りなすイベントになりそう(甲斐一斗)
より多くの人に聴いてもらいたいという意味で ロック・バンドの概念やプライドがないんです
“出会い”から喜びも悲しみも生まれるけど、悲しみに目を向けるのではなく喜びに目を向けたい
人間讃歌は誰のためのもの?――Mrs. GREEN APPLEが「Soranji」を手掛けた必然性と楽曲の普遍性
時代を映しながら普遍性も追い求めたバンド・シーンのトップ・ランカー、"フェーズ1完結"にして初のベスト・アルバム『5』の意義
ミセスの核を再び伝えるニュー・アルバム 『Attitude』に至るまでの軌跡 2…
2022.12.27 @Zepp DiverCity(TOKYO)
2022.07.08 @ぴあアリーナMM
2020.02.16 @国立代々木競技場 第一体育館
2018.09.08 @幕張メッセ国際展示場
2017.05.19 @東京国際フォーラム ホールA
2016.04.10 @赤坂BLITZ
2015.12.24 @LIQUIDROOM ebisu
2015.12.06 @代官山UNIT
2015.09.26 @渋谷WWW
2015.07.20 @Shibuya eggman
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